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あの日から3年目の7・18を、三浦春馬さんを想う春友さんたちはどう過ごすのか

篠田博之月刊『創』編集長
三浦春馬さんをイメージした海扉アラジン作の切り絵(『創』8月当より)

あの日から3年目の7・18が…

 2023年の今年も7・18が訪れる。三浦春馬さんが突然、いなくなってから3年目のその日だ。三浦春馬さんを慕ういわゆる春友さんたちの投稿や様々な活動「春活」の写真などは、これまでもこのヤフーニュースで随時紹介してきた。

 60~70代女性を中心にした多くの女性たちが突然、喪失感に襲われ、最初の1年間ほどは、春馬さんの映画を上映する映画館に足を運び、膝から崩れ落ちたり、号泣するといった光景が様々なところに見られた。そういう女性たちは相当数に及び、ある種の社会現象と言ってもよい状況だった。

 これまで、このヤフーニュースや私の編集する月刊『創』(つくる)でそうした女性たちの投稿を紹介してきたが、それを見た人たちが、そういう思いに至っているのは自分一人だけでないことを知って救われたという事例は枚挙にいとまがない。

 最初の1年間は、抜け出せない哀しみの沼の底に沈んでいた人が多かったが、2年3年経つうちに少しずつ回復する人は増えてきている。その一方で、春友さんたちはSNSなど多くの手段を使って交流し、連帯するようになった。

2022年7月18日には空羽ファティマさんたちがイベントを開催(『創』編集部提供)
2022年7月18日には空羽ファティマさんたちがイベントを開催(『創』編集部提供)

 春馬さんの誕生日である4月5日や、あるいは今年も7月の七夕の日に、春馬さんの最後の主演映画『天外者(てんがらもん)』を全国で特別上映したり、お金を出し合って追悼の花火を打ち上げたり、「春活」と呼ばれる活動も拡大していった。この7月17・18日も全国で多くの春友さんたちが思い思いの春活を行うはずだ。

銀屋純子さんの「日本製届け隊」が完結

 この3年の春活として、例えば春馬さんを描いた秀逸な鉛筆画で知られるdekoさんこと銀屋純子さんは、「日本製届け隊」と自ら名付けた活動を続けてきた。全国の図書館に三浦春馬さんの著書『日本製』を寄贈するという活動だ。そして先頃、ついに全国の都道府県を網羅し、完結した。計404冊の『日本製』を寄贈したという。

dekoさんこと銀屋純子さんの鉛筆画の展示(2022年7月)本人提供
dekoさんこと銀屋純子さんの鉛筆画の展示(2022年7月)本人提供

 その銀屋さんの投稿を紹介しよう。

《1冊目の寄贈をした日から1年半が経ち、気づけばお願いの電話をした図書館は600カ所を超えていました。

 そして、ようやく北は北海道の稚内市から南は沖縄県の与那国島まで、計404冊の『日本製』を図書館に届けることができました。

 時間はかかりましたが、一冊一冊丁寧に思いを込めて届けられたと思っています。図書館の方からも、有難い言葉をたくさんいただきました。特に

「三浦春馬さんは俳優として大変活躍されていましたが、亡くなられて、今も喪失感に苦しんでおられる方が多いことと思います。町内には図書館が二館あるので、できれば二冊頂けたら大変嬉しいです。春馬さんの素敵な人柄や、素晴らしい本を残されたことをたくさんの人に知ってもらい読んでいただきたいと思います」

 と言ってもらえたときには、嬉しくて涙が出そうになりました。

 届け隊の活動を通して、本当にたくさんの優しさに触れることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

「10冊できればいいね」と始めた届け隊が、ここまで続けられたのは、数えきれないほどの春友さんが協力し励ましてくださったお陰です。有難うございました。

『日本製』は何度も読み返して、読めばそこへ行ってみたくなり、体験してみたくなります。そして、知りたいことが益々増えていき、日本人であることを誇りに思えるような本です。      

 届け隊としての活動は終わりますが、春馬さんが残してくれた宝物のようなこの『日本製』を、これからも大切に広め伝えていけるように努力したいと思っています。》

「貴方の映像を観ながら毎日、泣いた日々」

 3年目の今年、7・18を迎える思いを最近、投稿してきた人も少なくない。宮崎県のみほさんの投稿を紹介しよう。これも読んでいて胸が熱くなる投稿だ。

《春馬くん、もうすぐ3年です。あの時の衝動から3年。今、穏やかな気持ちでこれを書いています。ドラマや映画を観ても泣かなくなっていた私が、あの頃数カ月毎日泣いていたのです。生と死に密接に関わる仕事に就いた私にとって必要不可欠であったのが、精神的に強くなること=泣かないこと、だったのにも関わらず。数え切れないほどの死に向き合い、悪く言うと慣れてしまった私でも、違う方向から刺激されてしまったのでしょうか。

 貴方の映像を観ながら泣いた日々、泣きながら書き殴った日記、久々に入院した患者さんに元気だった?と聞かれて言葉に詰まった日、先の長くない患者さんに見えないように泣いた日、叫びたい気持ちを抑えてひたすらに歩いた日、上手く笑えなくて「大丈夫ですか?」と後輩に声をかけられた日。

 全ては貴方を想う気持ちとともにありました。コロナ禍だけなら平気だったのに、貴方がいなくなってしまったから。

 貴方の死に少なからず影響したであろうコロナ、悪くないこともありました。

 毎年行っていた好きなアーティストのライブ、やっと行けた時には号泣していました。当たり前なんてないと知った3年間、そこに好きな人が存在した時、それはもう感謝でしかなかったのです。職場でクラスターが発生し、大半のスタッフが休職を余儀なくされた時、少ない人数でこなした業務。みんなが一斉に復帰した時の賑やかさ、明るさが嬉しくて、思わず顔が綻んだこの日のことを一生忘れることはありません。

 貴方の苦労を知ってからは、頑張る人を応援したいと思うようになりました。例えば、イケメン俳優と呼ばれる方達、キラキラしたアイドル、みんな中身を知れば、頑張っていて尊い存在だと知りました。

 貴方のような劇的ではない私の人生、正直言うと夢とか希望とかないけれど、こんな人生でも良いかなと思うのです。生きる意味なんて見出せなかったけれど、少し先を見据えて楽しく生きていければ、と思うのです。

 貴方にとって人生は苦しかったかもしれないけれど、人生は素晴らしい。けれど、短くて太い人生を生き抜いた貴方のことも愛おしい。

 追伸 今年の4月、貴方の出身地の土浦に遊びに行きました。もう泣くことはないと思っていたのに、キャッスルのお母さんに会って泣き、土浦セントラルシネマズの館長さんの話を聞いては泣きました。元々は泣き虫だった昔の自分に戻ったようでした。お別れからの出会いだったけれど、貴方を知って私の感情は動き始めました。春馬くん、ありがとう。》

6月26日の「ほっこりツアー in 東京」

 春友さんたちの多くの投稿はヤフーニュースや月刊『創』に掲載し、それを何カ月分かずつ『三浦春馬 死を超えて生きる人』という書籍にまとめてきたが、それももうPart4にまで至っている。改めてまとめて読み返してみると、春友さんたちのこの3年間の「心の軌跡」がよくわかる。

 この1年ほどをとっても、2022年7月18日の築地本願寺への春馬さんの納骨、秋の「キンキーブーツ」3度目の公演など、様々な出来事があった。

 

「ほっこりツアー in 東京」で築地本願寺へ(堀内圭三さん提供)
「ほっこりツアー in 東京」で築地本願寺へ(堀内圭三さん提供)

 京都在住のミュージシャン堀内圭三さんが主宰するYouTube配信「ほっこりカフェ」に集まった春友さんたちも活発に交流しており、6月26日には「ほっこりツアー in 東京」も行われた。6月24日に銀座でのライブが行われたのを受けて企画されたものだが、春馬さんの映画やドラマのゆかりのスポットを1日で回るというハードスケジュールのツアーだった。

ちなみにその6月24日のライブには、映画『ケイコ 目を澄ませて』の主人公である目の見えない女性プロボクサー「ケイコ」(映画では岸井ゆきのさんが熱演)のモデルとなった小笠原恵子さんがゲストとして登壇し、春友さんたちと交流した。その報告は下記記事をご覧いただきたい。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20230717-00358239

聴覚障害の元プロボクサー小笠原恵子さんと三浦春馬さんを慕う春友さんたちのコラボ

 

 6月26日の「ほっこりツアー in 東京」について、堀内さんの報告を紹介しよう。

《京都で毎年開催させて頂いている『Birthday Night』には、全国の春友さんが京都に宿泊をして参加して下さるので、翌日は三浦春馬さんの出演作のロケ地を私が案内させて頂く『ほっこりツアー』を企画させて頂いているんですが、今回6月24日は銀座「サロンドジュリエ」でのライブ、25日は中野ミュージックインでのライブを開催することになり、26日にはライブに参加して下さった『ほっこりカフェ』の皆さんと一緒に、東京のロケ地をまわらせて頂きました。

 今回の『ほっこりツアー in 東京』のプランは、『ほっこりカフェ』で関東でのロケ地情報に一番詳しい、さとさちさんが立てて下さいました。

 26日は午前10時に春馬さんの納骨がされている築地本願寺に集合し、まずは池尻大橋の『僕のいた時間』のロケ地、目黒天空庭園・オーパス夢広場へ。ここでは春馬さんが演じる澤田拓人君が多部未華子さん演じる本郷恵さんにマフラーをかけてあげたり、「俺の隣にいて下さい」と決意の想いを伝えた凄く印象に残っているシーンの撮影がされた場所で、皆さん、拓人君やメグが座ったベンチに座って、記念撮影をされました。

 昼食の後は地下鉄とバスで代沢五丁目に移動して『TWO WEEKS』のロケ地、下北沢グレイスガーデンチャーチへ。

 春馬さん演じる結城大地が追ってから逃げ込んだ教会が、この下北沢グレイスガーデンチャーチで、門の外から見るだけだったので、大地が稲垣来泉ちゃん演じるはなちゃんと幻想で話すシーンが撮られた教会内は見ることが出来ませんでしたが、春馬さんと来泉ちゃんが休憩の時に仲良く遊んでいたのは、教会の中庭で間違いないことも確認させて頂きました。

 そして次は再び『僕のいた時間』のロケ地、井の頭公園へ。

 まずは拓人が、浜辺美波さん演じるすみれちゃんとブランコに乗っておしゃべりした場所へ。そして公園内を移動して、拓人が店のおじさんとなにげない挨拶をしていたカフェへ。

 何か注文をしたら撮影をしてもいいということだったので、みんなで仲良く、すりおろしりんごのソフトクリームを食べました。

 そして次に井の頭公園でのシーンでは一番印象深い、就職試験での不採用が続いていた拓人が、宮前家具からの「採用」のメールを受け取る、ベンチに座っているシーンを撮った場所へ。

『僕のいた時間』ロケ地の井の頭公園にて(堀内さん提供)
『僕のいた時間』ロケ地の井の頭公園にて(堀内さん提供)

 私も『僕のいた時間』は春馬さん主演ドラマの中でも大好きなドラマですが、実際にロケ地に足を運ぶと、そのシーンでの台詞も不思議なくらい思い出してきて、ここであの素敵なシーンを撮られていたんだと、10年近く前に撮られた瞬間のことを、みんなで思い起こしていました。

 そして最後に、映画『真夜中の五分前』では、春馬さん演じるリョウは時計修理店で働いていますが、春馬さんに時計修理を指導された時計作家の大護慎太郎さんが代表をされているアトリエコワンに行かせて頂き、大護さんから実際に春馬さんに指導された時の印象等をお聞かせ頂きました。

 私は東京のロケ地をこうしてまわるの初めてでしたが、やはりさとさちさんのように、詳しい人の案内がないと、なかなかスムーズにまわれないと思いますので、私たちは「ほっこりカフェ」の仲間とまわりましたが、春活を通じて知り合った春友さんと一緒に、映画やドラマのシーンを語り合いながらまわると、その場所で春馬さんが撮影をしていた瞬間が蘇ってくるような気持ちになれるのではないかと思いました。

 また次回も、東京での違うロケ地をみんなで訪ねるのを楽しみに解散し、それぞれの帰路につきましたが、あらためてロケ地を訪ねて、撮影当時の春馬さんに想いを寄せることへの感動で胸が一杯になった一日でした。》

 この2023年7月17・18日も多くの春友さんが春活を行うはずだ。ヤフーニュースでこんなふうに報告したいので、実際に7・18春活を行った報告や写真をぜひ送ってほしいと思う。メールの送信先は下記。創出版宛の封書でも構わない。

mail@tsukuru.co.jp

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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