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まもなく訪れる7・18三浦春馬さん1周忌に、春友さんたちそれぞれの思いと行動

篠田博之月刊『創』編集長
『創』8月号の表紙「TWO WEEKS」をイメージした切り絵(海扉アラジン・作)

 まもなく7月18日三浦春馬さん1周忌がやってくる。ファンたちの関心は、その日、果たしてアミューズは「お別れの会」を開催してくれるのか、ということだった。

 そこへ6月26日、アミューズが発表を行った。コロナ禍の中で感染症が心配なため、「追悼サイト内に特別な場所」を用意するというものだった。

 オンラインとなったことを残念がるファンはかなり多い。ファンたちそれぞれがそれぞれのやり方で7・18を過ごすことになった。

 春友さんにとって、その日をどう過ごすかというのは大きな問題になりつつあるようだ。月刊『創』(つくる)編集部にもそういう人たちからのメールや手紙が届いている。幾つか紹介しよう。

 まずは7月7日発売の『創』8月号に投稿を掲載した大阪在住みさやん(61歳)のメールだ。

春友さん6人で春馬君について語り明かす

●もうすぐやって来る、あの日。

 凄く怖いです。もう、昨年のあの日以降は、春馬君は、いないんだと思いたくない複雑な気持ち…。また一年前のあの気持ちが沸々と沸き上がってくるのかと思うと…。まだまだ辛いし、涙が出てきます。

 そこで、同じ想いで出会ってまだ数カ月の春友さんに、「その日に家に居たくない! 誰かと一晩中、春馬君の事、語り明かしたい!」って、話しました。

 当然、その前には、みんな仕事してるし、主婦だし、家族もいるし、宿泊なんて出来ると思ってなかったんです。けど、話して良かった。同じ想いの春友さんが居てくれたんです。結局、その日から一泊、私を含め6人が一緒に居てくれることになりました。

 コロナ禍の中、集いやカラオケが出来ない分、また、思い切り泣いたりすることが出来なかった春友さんと、春馬君が残してくれたDVD観て語り合ったり、泣いたり、笑ったりして、(一周忌とは言いたくないけど)乗り越えなければいけないと思っているのです

 もちろん、春馬君が繋いでくれた春友さんとの縁は、ずっと続いていきます。春友さんたちは、心の支えです。これからも宜しくお願いします。

事務所のお知らせにショックで涙が…

 続いて雑誌掲載には間に合わなかったが大阪在住の愛さん(38歳)のメール。

●6月26日の土曜日にTwitter上で春馬くんの所属事務所から来月一周忌を迎えるお別れ会についてのお知らせがありました。コロナ禍での開催が難しい為、HP上で各々が彼を偲べるようにするというような内容でした。

 この知らせをみたとき正直かなりショックで涙が出ました。これだけのファンが様々な形で声を上げ、春馬くんを失った悲しみに向き合っている中、私は春馬くんのお別れ会に行くことを目標にこの1年、大きな悲しみを色々なものでごまかしながら何とか耐えて生きてきました。

 春馬君のことを考えれば考えるほど、どうしてこんなことになったのか、何としても助けてあげたかったという後悔で胸が苦しく涙が込み上げてくるのです。

 春馬くんの命日である18日(本当に18日でしょうか)には、毎月お花を買っています。

 初めて行った花屋さんで月命日用でとオーダーしたときに49日は済んだのか、納骨は終わったのか?等、聞かれ身内でも何でもない私が知ることもない内容に思わず「わかりません」とその場で泣いてしまい、店員さんを困らせてしまいました。 

 もう1年、いつまで悲しんでるの?という方もおられると思いますが、私からしたら、まだ1年でまだまだ心穏やかに偲べないのです。

 コロナ禍を理由にお別れ会が開催されないのは理解します。ですが、コロナが終息していない中でハンサムライブやその他イベントが開催できるのは何故なのでしょうか。

 このお知らせが土曜日であることも悲しくてやりきれません。どうして嬉しくない知らせをわざわざ土曜日にして傷をえぐるのかと思ってしまいました。ファンでない人からしたら、そもそも亡くなった曜日など覚えておらず、そんなことに気を使いながら発表などしていられるか、ただの被害妄想だと思われるでしょう。

 ですが、私たちにとって土曜日は今も辛いのです。

 コロナが終息してからでいいので、ファンの方が集まり共に悲しみを共有できる会が開催されるように願います。各々がそれぞれの場所から想いを寄せることなど、もうとっくにしているのですから事務所が主催になって会を開くことに意味があるのです。

 悪い方向に捉えてしまうほど春馬くんを失った悲しみから立ち直れていないと分かってほしい。

 毎月発売される『創』には本当にお世話になっていて、辛いのは自分だけではないと感じることができる大切な場所です。空羽ファティマさん、海扉アラジンさんをはじめこのような活動を続けてくださる創関係者の皆様には大変感謝しています。

追伸:春友さん「藍染め」プロジェクト楽しみにしています!!

一周忌に合わせた映画館のはからいに感謝

 もうひとつ福岡県在住の裕美さん(58歳)のメール。

●ついに7月になってしまいました。春馬君が亡くなってから、一年近くが過ぎました。

 あっという間でした。他の方々と同じように、あの日から、春馬君のことを思わなかった日は一日もありません。

 私には春馬君と同じ歳の娘がいて、春馬君と同じように真面目で繊細です。そのせいか、まるで我がことのように悲しく切ない一年でした。未だに何故彼が死を選ばなければならなかったのか、到底、私たちにはわかるはずもないのに考えることがあります。

 一年近くが経った今でも、彼の死因については色々憶測が止みませんが、私は最近、彼は心身共にひどく疲れていて、ただ休みたかっただけではないかと考えることもあります。ずっとずっと頑張り続けて、しばらく休めたら良かっただろうに、真面目で優しい彼は言い出せずに、休む方法が命を絶つことしか考えられなかったのではないかと思います。

 彼が亡くなった後、彼が出演した映画やドラマを探して観る日が続いています。映画館に足を運んだり、DVDや本を買ったり、多くの他の方と同じような日々を過ごしています。

 私の住んでいる福岡県北九州市には「小倉昭和館」という老舗の小さな映画館があり、過去に上映されたもので映画館が厳選するお薦め映画が2本立てで1,100円で2週間ごとに上映されます。7月10日から2週間は「天外者」と「真夜中の五分前」が上映されます。以前から時々利用している映画館ですが、春馬君の一周忌に合わせた映画館の計らいに感謝です。

 その映画館では、春馬君が亡くなってから「アイネクライネナハトムジーク」と「東京公園」も上映されました。

 最近、春馬君が以前訪問した佐賀県武雄市の金子窯というところに、春馬君を偲んで女性の来訪者が多いという記事を読みました。同じ九州なので、私もいつか訪問したいなと思いました。おそらく今後の私の残された人生は、このように彼を追い続けながら過ごすのかなと思います。

各地に広がるグリーフワークの動き

 7月に入って各地で三浦春馬さんの映画を再上映する動きが広がっている。そもそも『森の学校』のように20年前公開の映画が、ファンたちの熱望により全国各地で再上映されるといったことも、極めて異例だ。春友さんたちの熱い思いはこの1年間、SNSを通して広がり、様々な動きとなって顕在化してきた。

 大事な人を失った喪失感からの回復というグリーフケアの動きとして、いろいろな動きは全国に広がった。大阪の愛さんが楽しみにしていますと書いてくれた春友さん「藍染め」プロジェクトもそのひとつだ。

キセルと馬をあしらった抜染(ばっせん)筆者撮影
キセルと馬をあしらった抜染(ばっせん)筆者撮影

 春馬さんの最後の主演映画『天外者』に出てくる徳島の藍染めを何とかして手に入れたいという春友さんの声が大きいのを知って、地元在住の春友さんに声をかけて始まったものだ。その徳島のharura(ハルラ)さんが、同じく藍染をやっている知人と協力して、1枚1枚手染めでハンカチ(50×50センチの布)120枚を仕上げてくれた。

雪花絞り(筆者撮影)
雪花絞り(筆者撮影)

 『天外者』に出てきた雪花絞り100枚と、キセルと馬をデザインした抜染(ばっせん)20枚だ。haruraさんたちはこの間、不眠不休で作業を行い、ラッピングまでほぼ終えつつある。入手したい方は実費のみ負担いただくので『創』8月号に書かれた応募方法を読んで応募していただきたい。一緒に書かれたメッセージなどを参考にしながら当選者を選ぶ予定だ。

「藍染めプロジェクト」当事者からのメッセージ

 さてここで、そのharuraさんのメッセージを紹介しよう。

●雑貨や物作りに興味がある私は「世界は欲しいものに溢れてる」で三浦春馬さんを観て「キラキラした俳優さん」イメージとは別の一面を知りとても好感を持つようになりました。誰よりも誠実で一生懸命だった彼に何があったのだろう…当時何故ばかり考えていました。

 そんな時通っている料理教室にファンのグループがあることを知り、仲間に入れていただくことができました。LINEで毎日想いを共有することができるようになり、映画が公開されると何度も一緒に通うことが出来ました。

 今も朝一番の「おはよう」「今日も良い日に」からはじまるLINEが励みになっています。本当にありがたい仲間が居て私は幸せです

 子どもたち3人が重度の食物アレルギーで2、3歳までは痒みで眠れず、掻き崩し出血や排膿が酷い状態。喘息、アナフィラキシーショックでの入院。毎食の食事を考えながら母乳育児の為私も卵、乳製品を除去。テレビを観る時間はおろか映画にいく余裕は全く無く芸能人に無頓着な私でした。(現在は少しずつ食べさせて行く治療が効果的だといわれています)大学生、高校生、中学生になった子どもたちはおかげで食べられる物も増えて皮膚にも全く症状無く自分自身で食事のコントロールができるようになりました。

 今振り返ってみても、子育て中も家族や友達に心配を掛けまいと大変さを隠して過ごしてました。本当に困ったとき、心配かけたくない人の前ではニコニコ平気な顔して隠してしまうのかも…と。

 彼の作品を観てこれから自分にできることは何か考えるようになり、藍染をはじめました。はじめは私を支えてくれる周りの春友に喜んでもらい、励みになってる「創」編集長、記事と物語で沢山の方に元気を与えている空羽ファティマさんに贈らせていただきました。

 今回の藍染プロジェクト、はじめは満足出来る品が出来るか不安でした。

「欲しいなら教えてあげるから作りなさい」ときっかけをくださったA工房さん。

 貴重な藍液を使わせていただいた施設のみなさん。

 春友さんの為に素晴らしい企画ですね、頑張ってくださいと応援してくれた料理教室の先生。

 職場や家族の理解があって実現できました。感謝しています。みなさんの協力、励ましを得て、苦労も乗り越えることができました。

 ありがとうございました。

既にラッピングまで完了(haruraさん撮影)
既にラッピングまで完了(haruraさん撮影)

 雪花絞りは何重にも折った生地の中まで藍染液を浸透させる為にただ漬けるのではなく「お世話」(一緒にプロジェクト協力してくれたKさんとそう呼んでた工程)、布を擦って中まで入るように揉んであげることがポイント、その後の酸化では水を直接当てて酸素を含ませ酸化を促す。

 これを計5回、アイロンで型付けてから約40分。広げてみると真ん中に模様が無い状態のこともありました。

 時には職人の方にアドバイスをいただきながらの試行錯誤。

 本物の阿波藍でさせていただく為、仕事、家事をしながら往復1時間半かけて施設に通いました(出来栄えとチームワークを褒めていただき感動しました)。少しでも早くお届けしてみなさんに喜んでいただきたいと思う一心で頑張っています。

 全国にいらっしゃる徳島に帰省できない方へ、故郷の阿波藍の懐かしい話が届きますように。(harura)

あれから1年を経て涙も少しずつ変わりつつある

 昨年11月号から、春馬ロスの女性たちの投稿を掲載してきた『創』は、8月号でもそうした声を掲載している。多くの女性たちが悲しみから脱け出てはいないのだが、読んでいただくとわかるように、悲しみの中でも少しずつ前を向いていこうとしている人たちも少なくない。

 ただ泣いているばかりでなく、三浦春馬さんの映画の再上映運動を起こすなど、喪失感からの回復をめざすグリーフワークと言われる活動も拡大しつつある。

 今回の「春友さん『藍染め』プロジェクト」もそのひとつだが、7・18を迎える春友さんたちに、少しだけでも安らぎを与えるものになってくれたらと思う。なお藍染めの作業工程などは『創』8月号でもカラー写真で紹介したが、このヤフーニュースに書いた以下の記事も参考にしていただけたらと思う。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20210624-00244654/

近づく7・18三浦春馬さん1周忌に心穏やかでない春友さんたちへ「藍染め」を

※月刊『創』8月号の内容は下記をご覧ください。

http://www.tsukuru.co.jp/

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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