人生最期はこうありたい!30歳を迎えた山田裕貴の最終目標とは…

30歳になった山田さん(撮影:島田薫)

 9月18日に30歳になった山田裕貴さん。今でこそ個性派、実力派俳優と言われるようになりましたが、そこに至るまでは同世代俳優への感情、「既成概念を変えてやる!」と訴える熱い思いなど、苦しんだ10年がありました。

30歳のお誕生日おめでとうございます。20代とは何か変わりましたか?

 ありがとうございます。30歳は一歩、一歩、歩いている中の区切りというか、自分の歩み方としては変わらないと思いますけど、見られ方が変わるんじゃないかと思います。“20代の俳優”と“30代の俳優”は多分違うと思うので。僕はあまり変わらなくても、皆さんからは「30歳」「30代の俳優」と見られるようになるので、それ相応の積み重ねたものを見せないと、とは思います。

20歳から仕事を始めて10年…どんな20代でしたか?

 濃かったですね。ずっと、どうやったら上に行けるんだろう、どうやったらお仕事をいただける俳優になれるんだろう、どうやったらあの監督に、スタッフに、世の人たちに振り向いてもらえるんだろうと、ずっと悩んでました。

特に山田さんの世代の俳優は豊作と言われていますね。

 昔はテレビを見ていて、同世代の活躍に嫉妬心を抱くこともありました。でも、そんな気持ちでテレビを見ていたら、「もう見られないや。なんで俺はここに行けないんだろう」って考えるようになって。そしたら、その感覚がそう言わせているだけで、別に誰も悪くないし、僕が悪いだけだし、実力がないだけだからって気付いて。今になれば、ただ尖(とが)っていたというか、自分の弱さだったと思えるようになりました。

どうやって乗り越えたんですか?

 ある時から「俺は俺じゃん」と思えるようになったのかな。それでも、『ストロボ・エッジ』の映画に出演した時は、学校で撮影していて、主演の福士蒼汰が外に出たら「きゃ~」ってなって、有村架純ちゃんが出たら「きゃ~」ってなって、僕が出たら「し~ん」ってなって。やっぱり悲しいですよ(苦笑)。

画像

あの映画は、私は山田さんの役が一番好きでしたよ。

 それは作品を見てもらったからであって、現場はまだ見てもらう前だからそんな雰囲気は全然なくて。「あれ誰だろう?」みたいな感じだったんです。別に人気者になりたくてやっているわけでもないけど、ちょっと悲しいなと思ってしまって。何か見てもらえてない気がしたんですよね。

そこからまた一歩進めたんですか?

 自分を許せるようになりました。人のことをいいなと思っても、自分は別にそうならなくてもいいと分かったんです。ここに来るまでに、人をうらやんだり、ねたんだりもしましたけど、今は友達であり仲間だと思っています。

 皆、どこか寂しいんです。同じ職業でも自分たちの仕事は作品も違うし、出方も違うし、道のりが違うし、皆が同じようなタイミングで注目されたわけでもない。そういう話をすれば自慢に聞こえるかもしれないから、ちょっと気にしたりして。ほどよい距離を保って、普通のことを話して、という部分があるかもしれない。

この仕事をしていくうえで、どうなっていきたいですか?

 一番は、お芝居を認められたいです。俳優と呼ばれている以上、「芝居うまいね」とか「芝居がいいんだよ」って言われるのがうれしいかな。でも、たとえば『ストロボ・エッジ』の時のように、近くに光輝く存在があると、どう頑張ったらああいうふうになれるんだろうと思ってしまう。それって2人が人の心を動かしているってことじゃないですか。人の心を動かせるってすごいと思います。

 今はあの2人から、「あの時の裕貴はがむしゃらだったね」と言われます。「本当に変わったね。自分のスタイルと道を見つけたんだね」って。僕もせっかくこの地球上に生まれたのだから、やはり人と関わっていきたい、影響を与えられる人になりたいです。

憧れや目標にしている人はいますか?

 誰かを参考にするというよりは、普段から全部自分で考えるようにしています。なぜかというと、何が響いているのか、何が良くて何が良くないのか、どうしたら伝わるのか。今良かったのはセリフの音なのか、表情なのか、ここで音楽が流れるからなのか。いろいろな要素があると思うんです。その時に人のせいにしたくないんです。「あの人がこう言ったからこうした」とか思いたくないんです。だから自分で考えます。

画像

演技はどうやって学んでいますか?

 日常を大事にしています。たとえば、すごく怒っている人がいて、なんでこのタイミングで怒るんだろうって思ったとします。台本を読んでいて「え?なんでこれこのタイミングで怒るの?」となった時に、「そういえばあんな人いたな。あれが実際にあったなら、ありえないことはないな。じゃあこの台本は自分が読めていないだけだ。ちゃんと読もう。なんでこの感情になるのかを考えよう」となれるんです。

 他にも、「え?このシーンでこの流れありえなくない?このセリフありえなくない!?」と思ったとしても、実は現実にもありえないことが起きていたりするんです。だから、日常から心を動かしていた方がいいのかなと思っています。僕にとっては日常が勉強です。

30代はどうしていきたいですか?

 実はSNSを少し変え始めました。昔はハジけた動画をたくさん上げてたんです。本当は今も「イェ~イ」ってやっているのを上げたいんですよ(笑)。でも30歳だし、いい大人として、いい男だな、いい俳優だなと思われるように、僕なりに少しずつ方向転換していってます。

 今は30代のいい時期なんで、カッコよくしておかなきゃいけないみたいな感じがあるんですけど、見栄えじゃないだろとか思っちゃうんですよね。

見栄えがいいからそう思うんですよ。

 でも、昔からそうなんですよ。それで一回、むちゃくちゃ太ってやろうと思って太った時期があって。「見栄えじゃねえだろ、ハートだろ!」とか言ってたら、めっちゃ仕事なくなって。あの時は体重75kgまでいきました。今63kgなんで、ちょっとムチムチしてました(笑)。映画『ホットロード』の頃かな。

やっぱりシュッとしてた方がいい?

 そうですね。…っていや、それも気に食わなくて。「なんでシュッとしてないといけないの?」と思うんです。僕は(韓国ドラマの)『愛の不時着』にハマりまして、彼らはとにかくお芝居がうまいっていうか、思いの強さが伝わってきて、俳優ってこういうことだろうと思うんです。

『愛の不時着』なら、あのお金持ちの役がいいですね。

 ク・スンジュンですか?3番手キャラの。それは言われがちでして、ちょっと脱却したいですね。本当に脱却したいです。だいたいドラマのちょっと気が抜けるシーンの役とか、明るいムードメーカーとか。僕も(主役の)ジョンヒョクをやりたいですよ。

主役希望?

 2番手、3番手の役が嫌なんじゃないですよ。この作品ならこの役がやりたいということで、主役がやりたいという意味ではないです。僕、頼まれると燃えるタイプなので、矛盾しているかもしれないですけど、声をかけていただくものは全てやりたいです。声をかけてもらえない時代が長かったから、言われるとうれしくなるんです。「本当に山田くんにこの役をやってほしいんだよね」「山田くんじゃないとできないと思うんだよね」と、必要とされる存在になりたいです。

今後の計画や目標はありますか?

 最終目標は自分が死んだ時にニュースになる俳優。緊急速報で出てくる俳優になりたいです。遺影は「イェ~イ」ってやってるおじいちゃんで、出棺の時には『まんが日本昔ばなし』の『にんげんっていいな』って曲で送ってもらうのが夢。

 こんなにふざけているけど、みんな泣いていて、泣いてくれているか分からないけど、「すっげぇ愛されたね、この人」っていう人になりたい。そしたら、もう俳優とか関係なく人間としてよかったって思えるんじゃないかな。人間ができてないと俳優はできないと思う。人の気持ちが分からない人に俳優はできないと思うから。

 どれだけの人が集まってくれるか分からないけど、愛される存在でいなきゃと思う。現場のスタッフさんにも俳優さんにもお客さんにも、人生で関わった人たちに愛される人でいなきゃ、人生がもったいないなと思います。

画像

【インタビュー後記】

一言で言うと、話していてとても楽しくなる方でした。全てに一生懸命で、人への感謝、仕事への感謝の気持ちを持っているのがよく分かります。本来なら気取って隠しておきたいような気持ちも素直に話してくれる。そしてひとたび画面やスクリーンに入れば、眼光鋭く見る人の目を引きつけて離さないのです。この魅力と人間力があれば、ますます人に愛されていくんだと思います。

■山田裕貴(やまだ・ゆうき)

1990年9月18日生まれ。愛知県出身。高校卒業後、ワタナベエンターテインメントカレッジで2年間演技を勉強。2011年に『海賊戦隊ゴーカイジャー』でデビュー。『HiGH&LOW』シリーズ、『闇金ドッグス』シリーズ、NHK連続テレビ小説『なつぞら』など、映画・ドラマに多数出演。文化庁芸術祭賞新人賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020ニューウエーブ賞受賞。31日スタートのテレビ朝日系『先生を消す方程式。』に頼田朝日(よりた・あさひ)役で出演予定。