Official髭男dismはなぜプロの絶賛を集めるのか? 新曲「Universe」の巧みな韻を分析

(提供:ポニーキャニオン)

Official髭男dismが「プロが選んだ最強の名曲」の作り手として、大きな話題を呼んでいる。

■「J-POPの金字塔」と評された「Pretender」

3月3日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW ゴールデン2時間SP』(テレビ朝日系)では、「関ジャム J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30」と題したランキングを発表。その中で、数々のヒット曲を抑えて1位に輝いたのがOfficial髭男dism「Pretender」だった。

番組で発表されたのは、アーティスト、作詞家、作曲家、プロデューサーなど音楽のプロフェッショナルな作り手48人にアンケートを実施し「J-POP史に残したい!」という観点から各自のベスト30を選出、それを1位=30P、2位=29P……のように順位に応じてポイント化して集計したランキングだ。つまり、セールスや人気という基準ではなく、プロから見た評価を示す順位となっている。

1位となったOfficial髭男dism「Pretender」については、YOASOBIのAyaseが「嫉妬してしまうほど大好きな楽曲」、シンガーソングライター・堂島孝平が「J-POPの金字塔」、音楽プロデューサー・丸谷マナブが「J-POPの気持ちの良い要素が満載」、音楽プロデューサー・多保孝一が「非の打ち所がないメロディ、歌詞、アレンジ、歌唱、演奏。どこを取っても超一級品の最高レベル」と絶賛。東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦は「こんなに美しい未練は今まで見たことがない。〈とても綺麗だ〉に至るまでの心の葛藤も生々しく魅力的に響きました」と歌詞の魅力を解説し、他にも20人以上が選曲したことで1位となった。

また、音楽プロデューサーの松尾潔は「名曲を生み出す打率が圧倒的!! 2020年以降に日本の音楽シーンに登場した最高最強のバンドマン」とコメント。楽曲単体だけでなく、Official髭男dismへのアーティストとしての高い評価も浮き彫りとなった。

実際、メジャーデビューから3年というキャリアの中で、Official髭男dismは多くのヒット曲を送り出している。ストリーミング総再生回数4億回を突破した「Pretender」を筆頭に、「I LOVE...」「宿命」「イエスタデイ」「115万キロのフィルム」「ノーダウト」「Stand By You」と、計7曲が1億回超の再生回数を記録している。CD時代と違い「繰り返し聴きたくなる」ことがヒット曲の条件となるストリーミング時代の音楽シーンにおいて、Official髭男dismは、現時点で“最強”のヒットメーカーと言えるだろう。

■韻を踏むことで言葉の響きが心地よく耳に残る「Universe」

『Universe』ジャケット写真(提供:ポニーキャニオン)
『Universe』ジャケット写真(提供:ポニーキャニオン)

2月27日にリリースされたニューシングル『Universe』も、そんなOfficial髭男dismの魅力である「J-POPの気持ちの良い要素」を存分に感じられる一曲だ。

映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』主題歌として書き下ろされたこの曲にも、これまでのOfficial髭男dismの楽曲に通じる沢山の「気持ち良さ」のポイントがある。

なかでも特筆すべきは、韻を踏むことで言葉の響きが心地よく耳に残る歌詞だ。

全編で韻が踏まれているのだが、特に印象的なのはBメロ部分。

嬉しい悲しいどっち? 正しい間違いどっち?

夕日に急かされ 伸びた影見つめ

公園にひとりぼっち 砂場の解答用紙

しゃがんで分かるはずなくても探した

(「Universe」作詞作曲:藤原聡)

「嬉しい」「悲しい」「どっち?」「正しい」「間違い」「どっち?」「夕日に」「公園に」「ひとりぼっち」「解答用紙」と、ひたすら「イ」の母音で終わる言葉を繰り返していく。さらに「どっち」と「ぼっち」という印象的なフレーズで「っ」の促音を使うことで言葉にリズムを生む。

サビの韻の踏み方も巧みだ。

0点のままの心で暮らして

笑って泣いて 答えを知って

満天の星の中の僕の惑星

彷徨ってないで こっちへおいで

涙とミステイク 積み重ね 野に咲くユニバース

ただひとつだけ

(「Universe」作詞作曲:藤原聡)

こちらは「エ」の母音がキーになっている。「0点」や「満天」の「て」も含めると、「0点」「心で」「暮らして」「笑って」「泣いて」「知って」「満天」「惑星」「彷徨って」「ないで」「こっちへ」「おいで」「積み重ね」「ひとつだけ」と、歌詞のほとんどの部分が「エ」の母音で終わる言葉によって紡がれている。しかも、そのほとんどが「テ」という破裂音で、それゆえに言葉のリズムが強調される。

2番のサビはこうだ。

0点のままの心を覗いて

悩んで泣いて時間になって

暗転した舞台明かりは灯って

怖がってたって 傷ついてたって

世界は回っていく 拍手も声もなく未来は

ただ流れてく

(「Universe」作詞作曲:藤原聡)

こちらも「テ」の音が繰り返される。さらに「なって」「灯って」「怖がってたって」「傷ついてたって」と、促音と破裂音を組み合わせることで、さらにリズミカルな響きを生み出している。

ちなみに1番の「涙とミステイク」と2番の「世界は回っていく」の「ていく」で韻を踏むところも巧い。

こうした韻の踏み方はOfficial髭男dismの歌詞の大きな特徴となっている。

「Pretender」のサビはこう。

グッバイ

君の運命のヒトは僕じゃない

辛いけど否めない でも離れ難いのさ

その髪に触れただけで 痛いや

いやでも 甘いな いやいや

(「Pretender」作詞作曲:藤原聡)

やはり「イ」の音を繰り返していくことで言葉のリズムを生むような仕掛けになっている。

■最も大事な箇所はあえて韻を踏まず、メロディの最高音に「ア」の母音を当てる

さらに踏み込んで分析するならば、これだけ繰り返し韻を踏むことで、あえて“踏まない”箇所が浮かびあがって印象的に聴こえるという技も駆使している。それが「Pretender」の《「君は綺麗だ」》や「Universe」の《野に咲くユニバース》というフレーズ。曲の最も大事な箇所はメロディの最高音に「ア」の母音を当ててハイトーンボイスで伸びやかに歌い上げている。こうすることで、曲を聴き終わった後にその言葉が強く記憶に残るような作りになっている。

他にもメロディやリズム、ブラスセクションを効果的に使ったアレンジやサウンドメイキングなど語るべきポイントは沢山ある。ともあれ、こうした巧みな仕掛けを散りばめつつ大衆性を持ったポップソングとして聴かせることに注力しているからこそ、Official髭男dismの楽曲は「プロが選んだ最強の名曲」として評価されているのだろう。

【関ジャム J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30】

1位  Official髭男dism「Pretender」(19年)

2位  SMAP「世界に一つだけの花」(02年)

3位  MISIA「Everything」(00年)

4位  BUMP OF CHICKEN「天体観測」(01年)

5位  King Gnu「白日」(19年)

6位  サザンオールスターズ「TSUNAMI」(00年)

7位  Foorin「パプリカ」(18年)

8位  YOASOBI「夜に駆ける」(19年)

9位  森山直太朗「さくら(独唱)」(03年)

10位 平原綾香「Jupiter」(03年)

11位 AKB48「恋するフォーチュンクッキー」(13年)

12位 椎名林檎「ギブス」(00年)

13位 中島美嘉「雪の華」(03年)

14位 Perfume「ポリリズム」(07年)

15位 平井堅「瞳をとじて」(04年)

16位 キリンジ「エイリアンズ」(00年)

17位 米津玄師「Lemon」(18年)

18位 レミオロメン「粉雪」(05年)

19位 あいみょん「マリーゴールド」(18年)

20位 宇多田ヒカル「traveling」(01年)

21位 SMAP「らいおんハート」(00年)

22位 ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」(15年)

23位 星野源「恋」(16年)

24位 サカナクション「新宝島」(15年)

25位 元ちとせ「ワダツミの木」(02年)

26位 Superfly「愛を込めて花束を」(08年)

27位 夏川りみ「涙そうそう」(01年) 

28位 Mr.Children「HERO」(02年)

29位 ピコ太郎「PPAP」(16年)

30位 B'z「ultra soul」(01年)