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保育・幼児教育は「出身家庭に起因する機会格差」を軽減する

柴田悠京都大学大学院人間・環境学研究科 教授
(写真:Paylessimages/イメージマート)

「機会の格差」の実態

欧米と同様に日本でも、「どのような家庭に生まれたか」(親の学歴・所得・養育態度など)は、子どもの成人後の社会生活状況と、偶然では説明しがたい確率で(=統計的に有意に)関連している

日本での既存研究によれば、幼少期に親が(原因が何であれ)低学歴や低所得だった場合は(つまり出身家庭が社会経済的に不利だった場合は)、傾向として、親に心理的・身体的な余裕がなく、親の養育態度の質が低くなりやすく(Yamaguchi et al. 2018)、子どもの0-2歳時や小学校入学時での健康や発達に困難が生じやすく(菅原 2012)、子どもはその後、低学歴になりやすく、成人後も、非正規雇用・低所得・相対的貧困・生活困窮状態になりやすく(阿部 2011)、健康感や幸福感も低くなりやすい(Oshio et al. 2010)。

このように、「出身家庭の不利」が「成人後の不利」につながっている現状は、現代日本社会に「出身家庭に起因する機会格差」が存在していることを意味する。

保育・幼児教育は「機会の格差」を軽減する

経済協力開発機構(OECD)が広範な文献レビューとメタ分析に依拠して報告しているように、人生の最初の数年間は、個人の将来の能力開発と学習の基礎となる。質の高い「保育・幼児教育」(Early Childhood Education and Care, ECEC)への人的資本投資は、子どもたちの短期的・長期的な発達を通じて、社会的利益をもたらす特に社会経済的に不利な立場にある子どもの場合には、そのエビデンスは強固である(OECD 2018)。つまり保育・幼児教育(ECEC)には、「出身家庭に起因する機会格差」を軽減する効果が認められるのである。

多くのOECD加盟諸国はこのことを認識しており、ECECへの公的支出を増やし、特にそのアクセスを拡大している。その結果、ECECへの少なくとも1年間の普遍的または準普遍的なアクセスがほとんどの国で実現しており、これはSDGsの目標4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」に向けた大きな進歩となっている(OECD 2018)。

機会格差を軽減する「低所得家庭の子どもを対象とした教育・医療」は、福祉政策のなかで最も費用対効果が高い

保育・幼児教育(ECEC)の費用対効果は、他の福祉政策と比べても、最も高いレベルに属する。アメリカでの過去50年間の133の福祉政策(妊婦胎児対象のものから高齢者対象のものまでをカバーし小規模実験を含む)を評価した研究によれば、福祉政策としての費用対効果(「対象者が得る総利益〔福祉〕を支払い意思の金額に換算した値」÷「政府の長期的純費用」)が最も高かったのは、主に、「低所得家庭の子どもを対象とした、教育と健康への人的資本投資」だった。それらの政策においては、「対象となった子どもが将来もたらす納税額の増加などによる財政貢献が、投資費用を上回ったために、政府の長期的純費用がマイナスとなり、費用対効果が無限大と推定された政策」が比較的多かった。しかも、その費用対効果の95%信頼区間の下限値が正と推定された政策も、比較的多かった(例えば、妊婦と乳児への医療費補助や、低所得家庭の主に3-5歳児への教育プログラムであるヘッドスタートなど) (Hendren & Sprung-Keyser 2020)。

また、上述の通り、子どもへの人的資本投資は、政府の長期的純費用がマイナスとなる場合が比較的多かった。これは、子どもへの人的資本投資が、福祉政策としてだけでなく、経済政策としても有益に機能しているということを意味している。よって上述のHendren & Sprung-Keyser (2020)の推定結果は、「人的資本投資のリターン率は、より幼い子どもを対象とするほど、また、より不利な家庭の子どもを対象とするほど、高い」という良く知られた仮説(Heckman 2006; Heckman & Masterov 2007)を、概ね支持している(とはいっても、上述のHendren & Sprung-Keyser (2020)の推定結果は、この仮説に一致しない部分もある。具体的には、10歳前後の子どもへの医療費補助や、優秀な大学生への授業料補助も、費用対効果が無限で、その95%信頼区間の下限値が正だった)。

0-2歳では保育・幼児教育(ECEC)がまだ普及していない

保育・幼児教育(ECEC)は大まかに見て、「0-2歳向け」と「3-5歳向け」に分かれる。

OECD加盟諸国の2018年頃のデータでは、80%以上の国で、3-5歳児のECEC参加率が80%を超えている(日本は92%)(図(b))。他方で、2018年頃の0-2歳児のECEC参加率は、約10%から約60%までさまざまであり(日本は33%)、教育に熱心な北欧諸国でも、フィンランドの33%からノルウェーの57%、アイスランドの59%まで幅がある。とはいえ多くの国で、0-2歳児のECEC参加率は上昇している傾向にある(図(a))。したがって、0-2歳児のECEC参加について今後どのように考えるべきかは、政策の議論において、いま重要な岐路にある

図: 保育・幼児教育(ECEC)への参加率
図: 保育・幼児教育(ECEC)への参加率

0-2歳向けのECECの政策的展開を考えるうえで、重要な論点の一つは、ECECへの参加が子どもたちの成人後(約20歳以降)の状況にどのような影響を与えるか、という長期的な因果効果である。成人後の時期は、教育達成がおおよそ終わってその後の就業生活の基礎がだいたい固まるとともに、就業や家族形成、その他の拡大した社会的行動によって、社会への影響力が大きくなる時期である。その時期にECECの効果がどのように表れるのかは、ECECの政策的展開を考えるうえで看過できない論点である。

保育・幼児教育(ECEC)の長期効果のメカニズム

アメリカでの123の研究(10歳以降まで追跡した研究も含む)を対象としたメタ分析によれば、保育・幼児教育(ECEC)が知能指数や学力に対してもたらすポジティブな効果は時間とともに有意に弱まる傾向があったが、社会情緒的能力に対するポジティブな効果は時間とともに弱まる傾向がなかった(Barnett 2011; Camilli et al. 2010)。

また、「不利な家庭の子どもたちへの少人数での実験的なECECが、『彼らが40歳になったときの社会生活上のアウトカム(収入や遵法など)』に与えたポジティブな長期効果」は、主に、知能指数ではなく社会情緒的能力の向上によって、もたらされていた(Heckman et al. 2013)。

さらに、教育年数や収入や遵法などのアウトカムに対するECECのポジティブな長期効果は、その後の学校教育の質とポジティブな交互作用をもち、学校教育の質に左右されていた(Johnson & Jackson 2019)。

したがって、社会生活上でのアウトカムに対するECECの長期効果は、ECECに参加した後の学校教育の質に左右されながら、社会情緒的能力を媒介して、長期的に持続する可能性がある

保育・幼児教育(ECEC)の長期効果のレビュー

因果推論(ランダム化比較試験、回帰不連続デザイン、差の差法、操作変数法、傾向スコア)を用いて保育・幼児教育(ECEC)の約20歳以降への長期効果を推定した先行研究(ただしそれらの多くは社会経済的に不利な立場の子どものみを対象としていた)によれば、ジェンダーや人種や地域などで区分されたサブサンプルの少なくとも一部に見られた傾向として、以下の主にポジティブな長期効果がECECに有意に認められた。(ただし以下は、各ECECの質や文脈は脇に置いて、これまで効果が見られた主なアウトカムを単純に列挙した「リスト」にすぎないため、詳細は各文献を参照されたい。)

まず、教育面では、知的水準(Campbell et al. 2001; Heckman et al. 2018; Yang 2021)、高校卒業率(Arteaga et al. 2014; Cascio 2009; Deming 2009; Garces et al. 2002; García et al. 2020; Havnes & Mogstad 2011; Herbst 2017; Reynolds et al. 2010, 2011)、大学進学率(Deming 2009; Garces et al. 2002; Havnes & Mogstad 2011; Ludwig & Miller 2007; Reynolds et al. 2011; Yang 2021)、教育年数(Arteaga et al. 2014; Campbell et al. 2012; García et al. 2020; Havnes & Mogstad 2011; Ludwig & Miller 2007; Palfrey et al. 2005; Reynolds et al. 2010, 2011)、大学卒業率(Campbell et al. 2012; García et al. 2020; Herbst 2017; Yang 2021)がそれぞれ高まるという各知見がある。

つぎに、就業面では、失業しにくくなる(Heckman et al. 2010)、被雇用率が高まる(Campbell et al. 2012; Heckman et al. 2010, 2013; Herbst 2017)、低所得になりにくくなる(Havnes & Mogstad 2011; Heckman et al. 2010; Palfrey et al. 2005)、所得が増える(Belfield et al. 2006; Garces et al. 2002; García et al. 2020; Heckman et al. 2013; Herbst 2017; Reynolds et al. 2011)、職業威信が高くなる(Arteaga et al. 2014; Reynolds et al. 2011)、資産形成率が高くなる(Heckman et al. 2010)、という各知見がある。

最後に、その他の面では、通学せず無収入である確率(Carneiro & Ginja 2014; Deming 2009)、肥満(Heckman et al. 2018)、抑うつ(Arteaga et al. 2014; Heckman et al. 2018; McLaughlin et al. 2007; Palfrey et al. 2005)、喫煙率(Heckman et al. 2013)、アルコール使用頻度(Heckman et al. 2010)、薬物乱用(Reynolds et al. 2011)、ドラッグ使用(Heckman et al. 2013)、薬物・アルコール依存(Reynolds et al. 2011)、そして犯罪率(Carneiro & Ginja 2014; Garces et al. 2002; García et al. 2019; Heckman et al. 2010, 2013; Reynolds et al. 2010, 2011)がそれぞれ減る結婚期間が長くなる(Heckman et al. 2013)、投票行動が増える(Heckman et al. 2018)、健康的な行動が増える(Palfrey et al. 2005)、健康状態が良くなる(Deming 2009)、社交性が高まる(Yang 2021)、という各知見がある。

場合によっては「ネガティブな効果」も…

他方で、約20歳までの中期効果の研究も含めてではあるが、ネガティブな効果を見出した研究もある。

カナダのケベック州では、1997年以降に0-4歳向けのECECを安価で提供する政策が導入された。ECEC職員児童比率と ECEC職員最低学歴要件に基づく多くの国で比較可能な基準に基づけば、そのケベック州のECECの質は最低レベルと評価される(van Huizen & Plantenga 2018)。このような質の低いECECに参加した人々は、その後、5-9歳での社会情動的能力(多動性・不安・攻撃性・対教師関係)が悪化し、12-20歳での健康状態と生活満足感が悪化し犯罪率が高まった(Baker et al. 2019)。ただ、この悪い効果は、加齢とともに弱まった。9歳までに(とくに母親が高学歴な場合に顕著に)見られた健康・運動・社会的発達・行動への悪影響は、12-19歳ではほぼ消えていた(Haeck et al. 2018)。

北イタリアの裕福なボローニャ地方では、0-2歳でECECに参加すると、所得の高い家庭の子どもでは、8-14歳時の知能指数や性格(開放性・快活さ)に悪影響があった。この理由として、この地域では、稼ぎ主が勤務しているときに主に母親(51%)や祖父母(45%)がほぼ1対1で子どもの世話をした家庭が多かったため、とくに高所得の家庭では、ECECの質よりも、平日昼間の家庭育児の質のほうが高かったからだ、と解釈されている(Fort et al. 2020)。

ノルウェーでは、3歳以上の子どもを対象としたECECが1976〜1979年に一部の自治体で拡大したことを利用して、ECECの30-36歳での効果が、差の差法によって推定された。その結果、高所得である確率、親である確率、福祉を受給する確率が減った。また女性のみに見られた効果として、低所得である確率が減り、独身で子どもがいない確率が増えた。また、高卒未満の母親をもつ子どものみで見られた効果として、教育年数、高校卒業率、大学進学率が上がり、独身で子どもがいない確率が増えた(Havnes & Mogstad 2011)。このように、不利な立場の子どもでは経済的自立の面だけで見ればポジティブな効果が見られたが、その結果として家族形成が遅れた。また全体として、高所得になる確率が減っており、ECECによって所得が平準化される傾向が見られた。

ただし、ノルウェーでの追加の研究では、同じデータと手法を使って、30代での教育年数と所得への効果が、生まれた家庭の所得レベル別に推定された。その結果、低所得家庭に生まれた子どもでは、ECEC参加によって30代での教育年数と所得が有意に上がった。中所得家庭に生まれた子どもでは、30代での教育年数は有意に上がったが、所得には有意な影響はなかった。高所得家庭に生まれた子どもでは、教育年数には有意な影響はなく、所得は(有意確率10%の水準だが)有意に下がった(Havnes & Mogstad 2015)。ノルウェーの1979年当時のECECの質は、ECEC職員児童比率とECEC職員最低学歴要件に基づく基準(0~4点)で評価すると4点であり、欧米先進諸国において最高レベルに属していた(van Huizen & Plantenga 2018)。そのような極めて高い質のECECであっても、社会経済的に有利な立場の子どもにとっては、ポジティブな効果が認められないか、あるいはネガティブな効果が認められた、ということは留意に値する

フランスでは、1960年代から1970年代にかけて2歳以上の子どもを対象としたECECが大幅に拡充されたことを利用して、11歳と16歳での累積留年回数と、高校卒業確率に対する効果が、操作変数法によって推定された。その結果、ECECへの参加が1年早いと、16歳での累積留年回数が減り、高校卒業確率が増えた。また、因果推論によらない推定結果だが、社会経済地位が低い子どもや中程度の子どもでは、ECEC参加が早いと留年確率が減って高校卒業確率が増えたが、社会経済地位が高い子どもではECEC参加が早いと留年確率が増えて高校卒業確率が減った(Dumas & Lefranc 2010)。フランスの1980年頃のECECの質は、ECEC職員児童比率とECEC職員最低学歴要件に基づく基準(0~4点)で評価すると2~3点であり、欧米先進諸国において中程度のレベルに属していた(van Huizen & Plantenga 2018)。そのような中程度の質のECECは、不利な子どもにはポジティブな効果を持ち、有利な子どもにはネガティブな効果を持ち、子どもの家庭の社会経済的地位によって効果が反転することが示唆される

効果の違いの主な要因

このように、保育・幼児教育(ECEC)の長期効果がポジティブなのか、ネガティブなのか、それとも有意な効果が認められないのかは、研究によってさまざまである。しかし、そのような効果の違いは、主に、ECECの質と、ECECに参加しなかった場合の成育環境の質との差によって、説明できるだろう。そして、後者のECECに参加しなかった場合の成育環境の質は、親の学歴や所得などで測られる家庭の社会経済的地位(Socioeconomic Status, SES)にかなり相関していると考えられる。

実際に、長期効果だけでなく短期・中期効果も含めた、欧米での自然実験による因果推論の結果を集めたメタ分析によれば、ECECのポジティブな効果を高める要因は、ECECの質(ECEC職員児童比率とECEC職員最低学歴要件によって点数化)、フルタイムでの参加であること、公営であること、非認知能力ではなく認知能力に対する効果であること、そしてECECに参加する子どもが高SES家庭の子どもではなく低SES家庭の子どもであること、であった。他方で、3歳未満での参加や、参加終了からアウトカム測定までの年数(効果が短期なのか長期なのか)は、効果の強さに対してとくに有意な関連はなかった(van Huizen & Plantenga 2018)。

ここから予想すると、さまざまなアウトカムに対して、0-2歳でのECECは、もし3-5歳でのECECと比べて質や参加時間の長さが同じであれば、同じような強さの効果をもたらすと考えられる。また、その効果は、たとえ長期効果であったとしても、短期効果と同じような強さの効果をもたらすと考えられる。さらに、もし通う子どもの家庭の社会経済的地位が低ければ強いポジティブな効果が、社会経済的地位が高ければ弱いポジティブな効果(あるいはネガティブな効果)がもたらされると考えられる

今後に残されている課題

では、日本ではどうか? 残念ながら日本での保育・幼児教育(保育所・幼稚園・認定こども園など)への通園が「成人後」に与える長期効果についての因果推論の研究は、まだ発表されていない(短期効果・中期効果については研究がある)。今後の研究が待たれるばかりだ。

また、世界的に見ても、保育・幼児教育(ECEC)の長期効果の研究においては、「0-2歳向けの」ECECの長期効果の研究は不足している。とりわけ、低所得層に限定されずに現在も提供されている、全国規模で公的に標準化され財政補助された0-2歳向けECECの、教育達成に限定されない幅広いアウトカムに対する長期効果の研究は、これまで発表されたことがない。よって国際的には、そのような長期効果についての研究が、今後の課題だろう。

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[謝辞] 本記事の執筆には、MEXT科研費学術変革領域研究(A)「生涯学」(JP20H05805)のサポートを受けました。

(10月20日までに本文とタイトルを一部修正しました。)

京都大学大学院人間・環境学研究科 教授

1978年、東京都生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は社会学、幸福研究、社会保障論、社会変動論。同志社大学准教授、立命館大学准教授、京都大学准教授を経て、2023年度より現職。著書に『子育て支援と経済成長』(朝日新書、2017年)、『子育て支援が日本を救う――政策効果の統計分析』(勁草書房、2016年、社会政策学会学会賞受賞)、分担執筆書に『Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia』(Brill、2015年)など。

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