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夜間の監視偵察に適したウクライナ製監視ドローン「Fury」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍はウクライナ国内のドローンメーカーが開発したドローンの提供も受けているが世界中から寄付や供与されたドローンを攻撃や監視・偵察に使用している。そんななか、ウクライナのメディアのUATVでは、夜間の監視・偵察に適した監視ドローンとしてウクライナ製の「Fury(Furia)」をバフムトの最前線で使用している部隊を紹介していた。

「Fury」は2014年に開発された。夜間だけでなく昼間の偵察も行っている。サーマルカメラが搭載されており夜間にロシア軍の歩兵や塹壕、戦車など軍事施設を検知するのに適している。「Fury」が上空から敵軍を検知するとウクライナ軍がミサイルなどで攻撃を行って破壊している。

ウクライナ軍だけでなくロシア軍も夜間や早朝などに暗闇でドローンを使用して偵察・監視を行っており、敵軍を見つけたら攻撃をしている。ドローンやミサイルによる奇襲のほとんどは夜間か早朝である。夜間や早朝の暗闇の方が、暗くて視界が悪く、防衛している兵士の神経も昼間よりも鈍っているので、攻撃には適している。そのため夜間など暗闇においての敵軍の監視・偵察は、敵軍の破壊だけでなく自軍の防衛にとっても重要である。ドローンは昼でも夜でも敵軍に検知されるとすぐに破壊されるか、電波妨害(ジャミング)などで機能停止されてしまう。

ウクライナ軍では多くのドローンを使用して監視・偵察を行っているが、夜間の監視・偵察に適しているのは「Fury」だけでなく、ウクライナ軍のドローン部隊「エアロロズヴィドカ(Aerorozvidka)」が開発した「R-18」というドローンも使用している。

▼夜間の偵察に適したウクライナ製のドローン「Fury」

▼「Fury(Furia)」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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