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ウクライナ領土防衛隊、最大7キロ先のロシア軍のドローンを上空で網で捕獲「ドローン・キャッチャー」

佐藤仁学術研究員・著述家
(ウクライナ領土防衛隊提供)

戦場で重要な上空のドローン対策

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

そんななか、ウクライナ領土防衛隊は公式SNSで「ドローン・キャッチャー」と呼ばれるドローンを紹介していた。ウクライナ領土防衛隊の第251大隊の「ドローン・キャッチャー」はリモートのレーダーが敵軍のドローンを探知すると、7キロメートル先までの標的に対してネット(網)で捕獲することができる。

ドローンは攻撃用も監視・偵察用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止させる必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

特に偵察ドローンは発見したら、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンに居場所を探知されたら、その場所をめがけてミサイルで大攻撃をしかけられてしまうので非常に危険である。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。

偵察ドローンを兵士が地上からドローン迎撃銃や地対空ミサイルで迎撃するのはコストもかかる。また監視・偵察用の民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載して落下させて爆発するので命の危険性もある。

まだウクライナ領土防衛隊の「ドローン・キャッチャー」の精度と捕獲力は明らかにされていない。だが上空のドローン対策は戦場においては急務であり非常に重要な任務である。

▼ウクライナ領土防衛隊の公式SNSで紹介された「ドローン・キャッチャー」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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