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英国カンタベリー大司教 COP26で議論されている気候変動をホロコーストと比較して大炎上・謝罪

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「1930年代にナチスドイツが台頭してきた時に周辺国の政治家が何もしないでホロコーストの惨劇を生んでしまった」

英国のカンタベリー大司教のジャスティン・ウェルビー氏が英国グラスゴーで開催されていたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)での気候変動問題についてBBCでインタビューを受けていた。その中で気候変動問題の悪化を第二次世界大戦時のナチスドイツのユダヤ人大量殺害のホロコーストに例えて、大炎上して、大司教自身が謝罪していた。

ジャスティン・ウェルビー大司教はインタビューの中で「1930年代にナチスドイツが台頭してきた時に周辺国の政治家が何もしないでホロコーストの惨劇を生んでしまった。現代の政治家が地球温暖化などの気候変動問題について何も対応をしないと、将来の気候変動によって世界中で多くの人たちが死んでいき、ホロコーストのような大量虐殺の被害者になってしまう」と語っていた。

この大司教の気候変動問題によって多くの人が生命の危機に脅かされることをホロコーストと比較した発言に炎上していた。第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。ホロコーストやナチスドイツに関する公的な場所での不適切な発言や、ホロコーストに関するファッションや商品は販売されると必ず炎上する。

ホロコーストは多くのヨーロッパの人やユダヤ人にとって悪夢のような出来事だったので"悪夢のように酷い"ことを"ホロコーストのようだ"と表現して語ることは多いが、このような公的な立場の方が公の場所で使ってしまうと、「ホロコーストの犠牲者に対する敬意がない」と炎上する。今回も「ホロコーストと気候変動とは違う」と炎上していた。またユダヤ系メディアのジューイッシュ・クロニクルの編集者のステファン・ポランド氏は「どうして大司教が気候変動問題をホロコーストに例えたのか全く理解できない」と非難していた。特にウェルビー大司教は父親がユダヤ人だったことからユダヤ人からの理解が多かったので、今回の発言には多くのユダヤ人が落胆して怒りを表明している。

このように大炎上したことを受けてウェルビー大司教は「COP26で議論されている問題の重要性を語る時に使う言葉を間違えました。決してナチスが引き起こした大量殺戮を正当化したり、ホロコーストの犠牲者やユダヤ人を攻撃しようとしてホロコーストと比較したのではありません。ユダヤ人の皆さんに対して大変申し訳ございません」と謝罪していた。

▼大司教のツイッターでも謝罪を表明

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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