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ロシア、攻撃型ドローンを追跡するヘリコプター型ドローン開発中:元ソ連空軍大佐は懐疑的な見方も

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

増加する「神風ドローン」の脅威に対抗

 ロシア軍は敵国のドローン対策にヘリコプター型ドローンを2020年11月から開発しているとロシアの地元メディアが報じていた。特に2020年に勃発したアルメニアとアゼルバイジャンの紛争で「神風ドローン」と呼ばれる攻撃型ドローンが開発されてから、そのような攻撃型ドローンの対策が急務になってきている。「Kamikaze Drone(神風ドローン)」「Suicide Drone(自殺ドローン)」と呼ばれる標的を察知したら突っ込んでいき攻撃を行う徘徊型の攻撃型ドローンは中国でも開発しており、イランでも飛行試験が行われ、インドでは軍事パレードでデリー上空を飛行していた。

 周辺の小国が攻撃型ドローンを開発や使用して、簡単に攻撃を仕掛けることができるようになってきていることから大国ロシアとしても、このような攻撃型ドローン対策は重要である。ロシア軍のヘリコプター型ドローンは小型で低空飛行している攻撃型ドローンや偵察ドローンを追跡することができる。

 今回のヘリコプター型ドローンが敵の攻撃型ドローンを攻撃して破壊をするかどうかは明らかにされていない。だが、過去にはロシア空軍の科学技術センターが、重量3トンで約20~30キロ飛行できる攻撃型ヘリコプタードローンを開発しているとロシア新聞が報じていた。ヘリコプター型ドローンの開発は以前からロシアでは進められており、2012年にはロシア海軍が、オーストリアのシーベル社が開発していたヘリコプター型ドローン「カムコプターS-100」のライセンスを受けてロシア国内のメーカーに開発をさせようとしていたが実現できなかった。

元ソ連空軍大佐「従来の陸上のレーダーの方が精確で効率的」

 元ソビエト空軍の大佐で現在は軍事アナリストをしているミハエル・クオダリョノク氏はロシア軍が開発しているヘリコプター型ドローンについて「ヘリコプターは多くの装備を搭載する必要があり、コストが高いです。ヘリコプター型ドローンで敵のドローンを追跡するのではなくて、従来のように陸上からのレーダー型でのドローン偵察による追跡の方が精確で効率的ではないか。またロシアは自国で高品質のヘリコプターのエンジンを開発して製造する技術では他国に大きく後れを取っている。それが最大の問題だ」と懐疑的な見方を示している。

 AIを搭載し標的を察知したら攻撃を行う「Kamikaze Drone(神風ドローン)」「Suicide Drone(自殺ドローン)」とそれら攻撃型ドローンを偵察、攻撃を行うヘリコプター型ドローンが相互に攻撃を行うようになると、上空での戦闘方法も変わっていくだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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