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インド軍「AI搭載の自律型攻撃ドローン」初披露:軍事パレードで75機がデリー上空を飛行

佐藤仁学術研究員・著述家
インド国民軍の軍事パレードで初披露された自律型ドローンの飛行(インド国民軍提供)

 2021年1月15日にデリーでインド国民軍の軍事パレードが開催された。その軍事パレードの中でAI(人工知能)を搭載した75機の徘徊型の自律型攻撃ドローンが初めて上空を飛行するところが披露された。

 AI技術は軍事分野でも多く活用されており、アメリカ、ロシア、中国などでもAI技術を軍事に積極的に活用している。兵器の自律化も進んできている。インド政府も自律型ドローンの開発は次世代戦争において重要な兵器と位置づけて積極的に開発の支援をしてきた。ドローンなので無人機だからインド軍の軍人が犠牲になることはない。

 インド国民軍のスポークスパーソンのバート・バブ氏は「このドローンは自律して軍事活動を行い、標的への攻撃を行うこともできる」と語っている。標的に突っ込んで敵にダメージを与えたり、敵側の人々を殺傷するいわゆる「Kamikaze Drone(神風ドローン)」「Suicide Drone(自殺ドローン)」と呼ばれる小型の徘徊型攻撃ドローンだ。「神風(Kamikaze)」がこのようなところで使われるのに不愉快な想いをする日本人も多いかもしれないが「Kamikaze Drone(神風ドローン)」は一般名詞になっており欧米や中東のニュースではよく見かける。

 AI技術の軍事分野での活用で、自律型殺傷兵器の開発は進んできているが、ついにインドで自律型攻撃ドローンが披露された。人間の判断を介さないでAI技術を搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行うことが非倫理的であると国際NGOや世界の30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を訴えている。

 インドは自律型殺傷兵器の開発と使用には反対していない。アメリカ、ロシア、イスラエル、欧州主要国も自律型殺傷兵器の開発と使用に反対していない。インドと国境を接して敵対している中国は使用には反対しているが、開発には反対していない。また同じようにインドと敵対しているパキスタンは自律型殺傷兵器の開発と使用に反対している。だが、今回インドで自律型攻撃ドローンが披露されたことから、今後はパキスタンも自律型殺傷兵器を開発してくる可能性もある。

▼インド国民軍のスポークスパーソンのツイッターでの紹介

▼インドメディアでの紹介

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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