トランプ大統領、「宇宙軍」創設を指示:ますます重要になるサイバーセキュリティ

(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は2018年6月18日、「宇宙軍」を米軍に創設する考えを明らかにした。トランプ大統領は、以前から宇宙軍の創設を検討していたが、国防総省から反対されていた。トランプ大統領はホワイトハウスで開催された国家宇宙会議(National Space Council)において「宇宙でアメリカのプレゼンスがあるだけでは防衛の観点では不十分。宇宙でもアメリカの支配力が必要」と語った。現在の空軍と同等の「宇宙軍」を別に作るように指示した。また、トランプ大統領は新たな月面着陸を目標に据える指令を出している。

重要になるサイバーセキュリティ

 アメリカが宇宙での支配力を強調するのは、ロシアや中国の積極的な宇宙への進出がある。冷戦期にはアメリカとソ連の2大国が宇宙の覇権をめぐって争っていた。だが2000年代からは中国が積極的に宇宙に進出してきた。2011年11月には中国は、アメリカとロシアに次いで宇宙で無人宇宙船のドッキングに成功した。アメリカが優位だった宇宙においても、中国の台頭を無視することができなくなっている。

 中国はサイバースペースと宇宙ではアメリカにとって脅威だ。そして宇宙の安全保障においてもサイバーセキュリティは重要になってくる。2011年10月の報道によると、2007年から2008年にかけて、中国軍部のハッカーが4回にわたり、2機の米国衛星にサイバー攻撃を仕掛けたと報じられた。アメリカ議会の諮問機関「米中経済安全保障委員会」が、 アメリカ政府の人工衛星2機が中国からとみられるサイバー攻撃を繰り返し受けたとする報告書案をまとめた。

 同報告では中国政府が実施したとは明言していないが、これらのハッキング行為は中国軍部が推し進めた「敵の宇宙システムを故障させる」理念と一致し、特に中国軍部が興味をもつ「衛星の制御システムなどの地上設備をダウンさせる」手段と同じだと指摘。ハッカーによる干渉行為は「多くの潜在的な脅威をもたらす」と報告書では警告し「衛星のアクセスを手に入れれば、ハッカーらはその衛星を破壊し、または、衛星からの送信信号を偽造・操作・拒否することができる」と述べていた。

宇宙への攻撃はサイバースペースから

 宇宙に存在する衛星を破壊することは容易ではない。技術的に出来る国も限られてくる。また実際の戦争になっていない限りにおいて、外国の衛星をいきなり破壊するようなテロや宣戦布告を意味するような攻撃は仕掛けることは出来ない。そこで、相手に対する挑発としてサイバー攻撃を仕掛ける可能性が高い。サイバー攻撃の種類が情報窃取やシステム破壊など、どのようなものであれ、相手に対して「いざとなったら、宇宙を乗っ取る行動に出ることができるのだ」という威嚇にもなる 。

 実際に宇宙での衛星を破壊することができなくとも、地上の衛生を操作しているシステムにサイバー攻撃を平時に仕掛けておき、攻撃力を見せつけることによって、アメリカは警戒せざるを得なくなる。 

 アメリカが優位であった宇宙空間において中国が台頭してきており、さらにアメリカの宇宙を制御する組織に対してサイバー攻撃を仕掛けてくる中国に対してアメリカが警戒をするのは当然である。宇宙での支配力の強化には、平行してサイバースペースの強化も重要だ。