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Facebook、全世界で利用者21億人突破「2017年は力強くも、厳しいものだった」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ついに21億人突破した月間利用者

 Facebookは2018年1月31日、2017年第4四半期(10~12月期)の業績を発表した。第4四半期の売上高は前年同期比47%増の129億7200万ドル(約1兆4200億円)で、純利益は前年同期比20%増の42億6800万ドル(約5500億円)と大幅な伸びを見せた。モバイルでの広告売上高は広告売上高全体の約89%を占めており、モバイルと広告収入に依存の収益構造は以前と変わらない。

 Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2017年12月時点、全世界で14億100万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、全世界で同14%増の21億2900万人だった。ザッカーバーグCEO自身のFacebookへの投稿によると、バイラルビデオ(不適切な動画)の表示方法を変更したことによって、1日当たりのFacebookでの滞在時間は5000万時間減った。また北米でのデイリーアクティブユーザー数は100万人減少しているが、世界規模での毎月の利用者は順調に伸びており、ついに21億人を突破した。

 そしてFacebook利用者の約70%の15億人以上がアジア太平洋地域やその他の新興国市場で、これらの市場が占めるシェアは毎期ごとに増加している。新興国でもスマホの普及によって、Facebook利用者数が大きく伸びている。だが、まだ売上のほとんどは北米(アメリカ)と欧州だ。アジアや新興国でのマネタイズにはまだ時間がかかりそうだ。

Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)
Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)

「2018年は、楽しいだけでなく人々と社会にとって良いものにしていく」

 ザッカーバーグCEOは今回の業績発表を踏まえて「2017年は力強くも、厳しいものだった」と発表した。フェイクニュースの拡散にFacebookを利用されたことを踏まえてのコメントだ。2016年の米国大統領選挙で、ロシアを拠点とした情報組織「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」が、約120件のページを開設して、8万件以上の記事を投稿。政治宣伝を目的とした広告がFacebookに掲載されたことについて批判が高まった。さらに英国のEU離脱の国民投票にもロシアが介入したとの嫌疑からFacebookに対して英国政府が調査を依頼していた。

 Facebookが全世界でのコミュニティとなっており、情報発信のプラットフォームとして影響力が強いことの裏返しだ。Facebookのメディアとしてのインパクトは世界規模で大きくなっている。同社は1月30日に、仮想通貨や、企業が独自の仮想通貨を発行して資金調達するICO、外国為替相場の値動きを予想して投資するバイナリ―オプションの広告を「誠実に運営されていない企業が多い」という理由で広告出稿に禁止している。

 ザッカーバーグ氏は自身のFacebookで「2018年は、楽しいだけでなく人々と社会にとって良いものにしていく」(Our focus in 2018 is making sure Facebook isn't just fun, but also good for people's well-being and for society. )と投稿している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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