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オランダ警察、違法ドローン捕獲に「鳥の王者」鷲を採用:NATO首脳会議を空から警備

佐藤仁学術研究員・著述家

オランダ警察では鷲(わし)を活用して違法ドローンの取り締まりを行うために、鷲の訓練を行っていた。ドローン禁止区域や禁止時間帯での飛行や盗撮、スパイ目的や犯罪にドローンが上空を飛行したら、「鳥の王者」の異名を持つ鷲が違法ドローンを捕える。

「ドローンのようなハイテクソリューションに、鷲というローテクなソリューションで対抗する」と警察広報官のDennis Janus氏は2016年10月に語っていた。鷲にとっては空飛ぶ小さなドローンを空中で捕えるのは獲物を捕獲するようなものらしい。約100人の警察官が鷲を使った違法ドローン捕獲のためのトレーニングを受けていた。

NATO首脳会議やサッカーリーグの祝賀会での空からの警備に

当初2017年夏から、4羽の5歳になる鷲を「空飛ぶ警察分隊」として採用し、オランダの上空を飛ぶ違法ドローンの捕獲にあたると報じられていたが、既に実際に警備に出ているようだ。

2017年5月にブリュッセル(ベルギー)で開催されたNATO首脳会議では、オランダの「空飛ぶ警察分隊」である鷲らが警察と一緒に警備を担当。米国のトランプ大統領ら各国のリーダーが集まるNATOの会議で、空からの警備に鷲が抜擢された。またオランダのサッカーチームのフェイエノールトの祝賀会がロッテルダムで開催された時にも、鷲が違法ドローンの警備にあたっていたと報じられている。

だが実際には違法ドローンは現れなかったようで、鷲がドローンを捕獲するシーンは見られなかったようだ。もちろんNATOのような重要な会合だから、鷲が捕獲できないような大型飛行物体による空からの攻撃も懸念されていたため、鷲以外にも軍用機なども待機していた。

フランスでも鷲による違法ドローン捕獲は進められているようだ。特にテロリストによる違法ドローンへの警戒が強い。ついに違法ドローンの捕獲には鷲が活躍する時代になった。訓練時の動画も公開されており、空飛ぶ大きな体の鷲が小さなドローンを捕えて空中から突き落とし、地上で鷲が捕獲するシーンは圧巻だ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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