Facebook、Messengerアプリのビデオ通話機能は世界のコミュニケーションを変えるか?
FacebookのMessengerアプリにおいて2015年4月からビデオ通話が利用可能となった。いわゆるテレビ電話である。スレッド画面右上のビデオアイコンをタップするだけで、メッセージをやりとりしていた相手とすぐにビデオ通話を開始できる。Messengerアプリからのビデオ通話は、スマートフォン同士で利用でき、iOS端末とAndroid端末の間でも通話可能である。そして2015年5月14日から日本でもMessengerアプリでビデオ通話が利用できるようになった。
日本では2001年に第3世代携帯電話「FOMA」をNTTドコモが開始した時に、「テレビ電話」を1つのウリとして販売していた。日本では14年以上も前から携帯電話でのテレビ電話のサービスがあったが、テレビ電話、ビデオ通話は浸透しなかった。現在でも利用している人はほとんどいない。通話料がかかることもあるが、LINEのように無料でビデオ通話を提供していても、利用している人はほとんどいない。FacebookのMessengerアプリでビデオ通話機能が開始されても利用する人は少ないだろう。
日本では音声通話も減少しており、コミュニケーションのほとんどがテキストによるやり取りや、写真やスタンプ・画像などの送信になっている。テレビ通話は日本での生活習慣や文化にはあっていないのだろう。
Facebookが提供するMessengerでは音声通話、テキスト、ビデオ通話ともに無料で利用できる。現在、全世界で6億人がMessengerを利用しており、Facebook傘下で8億人が利用しているWhatsAppに次ぐメッセンジャーアプリである。Facebook自身が全世界で14.4億人のアクティブユーザーを抱えるソーシャルメディアである。
■日本では浸透しなかったテレビ電話だが
日本では人気がなく浸透しなかったテレビ電話・ビデオ通話だが、全世界で6億人のMessenger利用者は利用するのだろうか。かつては海外では3Gの携帯電話でもテレビ電話機能を搭載している端末は少なかった。当然対応した携帯電話同士でしか、テレビ電話はできなかったことや、電池がすぐになくなることが海外でテレビ電話が利用されなかった要因である。
現在では世界中のMessenger利用者のほとんどがスマートフォンであり、さらにWi-Fi環境など無料でインターネットに利用できる場所も海外では普及しおり、ビデオ通話が利用できるプラットフォームは整って来ている。
日本では14年以上前からあったが、ほとんど誰にも利用されることのなかった携帯電話でのテレビ電話だが、海外の人にとっては「初めてテレビ電話をする」「ビデオ通話で、相手の顔を見ながら話すのは初めて」という人が非常に多く、興味を集めている。日本人にとってはビデオ通話開始のお知らせだけでは興味も関心ないだろうが、世界的には「新たなコミュニケーション手段の登場」というインパクトがあるニュースだった。
スマートフォンの世界的な拡大、無料で利用できるWi-Fi環境の整備、メッセンジャーアプリによる無料でのビデオ通話の登場で、これからMessengerのビデオ通話機能開始を機に、ひょっとすると海外では、多くの人がビデオ通話を利用するかもしれない。
そして全世界で6億人の利用者がいるMessengerは現在、無料で利用できるため、世界中の多くの人のコミュニケーションのプラットフォームになっている。Facebookの収入の90%以上が広告収入であり、Messenger利用による課金は検討していないようだ。Messenger機能の充実による利用者拡大は、広告ビジネスの拡大にとっても重要である。
▼Messengerのビデオ通話機能(出典:Facebook)
日本人にとっては珍しくもないビデオ通話だが、海外の人にとっては「ビデオ通話で、相手の顔を見ながら話すのは初めて」という人も多く興味を集めている。