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メーガン妃とハリー王子、パパラッチに追われ深刻な恐怖を体験。だが警察によると…

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

 メーガン妃とハリー王子がまたもやメディアを騒がせている。東海岸時間16日、夫妻とメーガン妃の母が乗る車がパパラッチに追われ、生きるか死ぬかの恐怖体験をしたというのだ。

 カーチェイスが始まったのは、「Women of Vision」授賞式が行われたニューヨークのジーグフェルド劇場。メーガン妃は受賞者のひとりで、ハリー王子、母ドリア・ラグランドに付き添われて出席していた。授賞式が終わったのは午後10時頃。会場を出た3人が車に乗ると、ただちに12人ほどのパパラッチが追いかけてきたという。メーガン妃とハリー王子の関係者がメディアに語るところによれば、その間、パパラッチは、一般車と衝突したり、警察官を危うくはねそうになったりした。途中で車を降り、タクシーに乗り替えるなどして撒いた結果、最終的に追いかけてくるのは4人ほどに減り、ようやく宿泊先の家に到着したのは午前零時だった。

 現地時間17日朝、メーガン妃とハリー王子のスポークスパーソンは、この事件について、「昨夜、サセックス公爵、公爵夫人、ミズ・ラグランドは、非常に攻撃的な複数のパパラッチのせいで、悲劇の一歩手前のカーチェイスに巻き込まれました。2時間以上にわたって執拗に追いかけられる中では、ほかの車、歩行者、ふたりの警察官を巻き込む衝突が複数起きました。公の人物は一般人の興味を惹きつけるものですが、誰かの安全を犠牲にすることになってはいけません」と声明を発表している。

 この話を聞いてただちに思い浮かぶのは、ハリー王子の母、故ダイアナ妃だ。イギリス国民に強く愛されるダイアナ妃がパパラッチに追われて事故死した時の悲しみは、決して忘れることができない。だが、ソーシャルメディアには、パパラッチを責める声よりも、疑問の声のほうが多く見られる。いくら深夜帯とはいえ、マンハッタンで2時間にも及ぶカーチェイスがあったとすれば、すごいことだからだ。

 ツイッターには、「マンハッタンに25年以上住んできたからいうけど、ミッドタウンで猛スピードのカーチェイスをするのは不可能。道は車と歩行者で1日中混んでいるし、50フィートごとに信号がある。ダイアナ妃と同じようなことがあったというのはばかげている」「何百万もの防犯ビデオがある大都市で、複数の衝突があったというこの事件の記録がどこにもないの?おかしいよね」「2時間も追いかけられたなら途中警察署に逃げ込めばよかったのでは」「マンハッタンで2時間もほかの車に追いかけられることを、交通渋滞と呼ぶ」などという投稿が寄せられた。ヘイトクライムを自作自演した俳優と比較し、「まるでジャシー・スモレットみたい」と揶揄するものも見られる。

 そこへきて、ニューヨーク警察が、次のような声明を出したのだ。

「5月16日の夜、ニューヨーク警察は、サセックス公爵夫妻を守るプライベートの警備のお手伝いをしました。カメラマンが多数いたせいで移動は難しかったですが、夫妻は目的地に到着しました。衝突、召喚、負傷、逮捕などは何も報告されていません」。

 つまり、警察は、パパラッチがたくさんいたのは事実ながら、夫妻の、あるいはほかの人たちの身が危険にさらされることはなかったというのだ。また、3人を乗せたというタクシーの運転手は、「Washington Post」に対し、2台ほどの車が後をつけてはきたが、カーチェイスと呼ばれるものではなく、危険は感じなかったと述べている。ここには明らかな矛盾がある。

このタイミングは偶然ではない?

 メーガン妃とハリー王子が危険に遭遇したと訴えたのがこのタイミングだったことについても、偶然ではないのではとの憶測が聞かれる。イギリスの警察から警備を拒否されたことを不服に思うハリー王子は、その件をめぐってイギリス政府と裁判で争っているところなのだ。

 ハリー王子の弁護士は、イギリス政府にはハリー王子が自分でお金を払ってイギリス警察を警備に雇いたいという願い出を拒否する権利はないと主張している。一方、イギリス政府の弁護士は、ハリー王子を警備するのは、マラソンやサッカーの試合など大きなイベントのために警察を駆り出すのと一緒ではないとし、警察が金持ちの個人的なボディガードを務めるわけにはいかないと拒否を続けている。

 1週間ほどで判決を出すつもりでいるという判事が、この出来事からなんらかの影響を受けるのかどうかはわからない。そもそも、つい先日、ハリー王子は単身でチャールズ国王の戴冠式に出席したが、その間、何か危険があったという報道は聞かれなかった。しかも彼は、批判を避けるべく、プライベートジェットではなく一般航空機で往復しているのだ。

 この件が裁判を有利にするかどうかは不明ながら、ソーシャルメディアには、「この事件の詳細は数ヶ月後にNetflix作品で語られるのでは」など、夫妻がこれを何かのネタに使うのではないかとの書き込みが見られる。彼らが次に製作するドキュメンタリーは、メーガン妃が南アフリカの人々に「安全な出産」を教える様子を追うものになりそうとの報道が出ているものの、夫妻はNetflixと複数の契約を結んでいるし、ハリー王子も回顧録「Spare」の出版社とまだ契約が残っていて、ネタはいくらでも必要だ。カーチェイスになるかどうかはさておき、世界に話題を提供し続ける彼らは、これからもパパラッチを呼び寄せ続けることになりそうである。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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