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毒舌ジャーナリスト、「ハリー&メーガン」を猛批判。「あのふたりは最後に負ける」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

「このシリーズは、私が彼女について思っていたことをすべて確認させることになった。そのどれも、良いことではない」。

 恐れを知らず発言することで知られるイギリス人ジャーナリストのピアース・モーガンが、「New York Post」に寄稿した意見記事で、またもや厳しくメーガン妃を否定した。

 モーガンは、2021年3月、オプラ・ウィンフリーによるメーガン妃とヘンリー王子(ハリー)のインタビューが放映された時、「メーガンの言ったことはどれも信じられない」と発言し、レギュラー出演していた朝番組を降板させられるはめになった人。当時は人種差別者扱いまで受けたのだが、その後も彼は、あのインタビューでメーガンの言った事実に反すること、根拠のないことを具体的に指摘し、このカップルを批判してきている。

 ハリーとメーガン自身のプロダクション会社が製作したNetflixのドキュメンタリーシリーズ「ハリー&メーガン」については、最初の3話が配信されて以来、ネガティブな感想が聞かれてきた。15日に配信された残りの3話を見終わったモーガンは、「貪欲で、上昇志向が強く、手段を選ばず、王室を利用してきたこの人物について、もう言えることはない」と、冒頭から手厳しく書く。続いて彼は、第4話に出てくる、メーガンが王室に入った時を振り返るシーンについてこう述べた。

「吐き気がしそうに下品で、とんでもなくナルシスティックなこのリアリティシリーズで、メーガンは、やっと少し自分の立場を理解したのかと思わせる様子を見せた。宮殿のスタッフにとって、自分はそこに紛れ込んできた異質の生命体だと、彼女は知ったのだ。私に言わせれば、彼女はウィルスだと思うのだが。それも悪性の」。

 そうやって潜り込んだ彼女は「望んでいたものを手に入れた」と、モーガン。「世界的知名度、大金、王室の肩書き。そして彼女はそれを、できるだけ高いお金をオファーしてくれる人たちを探しつつ搾取するのである」と、このシリーズもまさにそのひとつにすぎないことを、モーガンは読者に思い出させる。

 だが、モーガンをもっと怒らせるのは、「このバツイチのC級アメリカ人女優」ではなく、「家族と母国を裏切った」ハリーだ。

 第5話で、ハリーは、「妻と一緒に王室を出たいが、公務はそれまでの半分をこなしていきたい」ということについて、家族会議を持った時のことを語る。そんな自分の希望を家族は聞き入れてくれなかったと、ハリー。兄を悪人、父を嘘つき、祖母を助けてくれない冷たい人呼ばわりする彼の言葉を聞いて、「胃が痛くなった」とモーガンは嘆く。

 また、最終話にはメーガンの流産についての話が出てくるのだが、ちょうどメーガンがイギリスのタブロイドに対して起こした訴訟のせいでストレスを抱えていたタイミングだったことから、ハリーはそれをメディアのせいにした。それについて「何の証拠もない」というモーガンは(もっとも、ハリーも番組の中で『証明はできない』と言ってはいるのだが)、「予想がつく通り、家族の悪口を言っていない時、ハリーはメディアを攻撃するのだ」と非難している。

事実と違う描写はこの後半部分にも

 このシリーズは、予告編が出た時から、意図的に視聴者を誤解させるべく、関係のない映像を混ぜ込んでいるとの批判が出てきた。今回、新たに配信された部分にも事実と違う描写があると、モーガンは指摘する。

 第6話には、王室離脱をしたハリーとメーガン夫妻が、アトランタに大邸宅を持つ映画監督タイラー・ペリーの元に身を寄せる様子が出てくる。ふたりの居場所は王室にも知らせておらず、6週間ほどは静かな時間を過ごせたのだが、ある日を境に、上空をヘリコプターが飛ぶようになった。

 それを見て、視聴者は、招かれないパパラッチが空から襲ってきたととらえるはずだ。しかし、彼らはハリーとメーガンの許可を得てやってきた王室フォトグラファーだというのである。モーガンによれば、「これまた、ドーナツがダイエットに効果的と平気で言いそうなふたりによる、わざと誤解を呼ぶためのばか騒ぎ」だ。

 夫妻がペリーの家に住んでいたのは、アメリカとイギリスがコロナでロックダウン状態にあった時。そんな中で、イギリスのメディアや王室から受けた仕打ちのせいで妻がどれほど辛い思いをしていたのかを語るハリーを、モーガンは「世の中の空気がまるで読めない」人だと呼ぶ。

「新型コロナウィルスのせいで、文字通り、毎日大勢の人が死んでいた。さらに多くの人が、とても狭い家に何ヶ月も閉じこもっていなければならなかった。(イギリスを)逃亡し、ビリオネアの豪邸に住まわせてもらっていながらそんなことを言うとは、衝撃である」。

このふたりがやっているのは「不誠実で卑劣なこと」

 シリーズの最後で、メーガンは、結婚式のために書いたロマンチックなエッセイを、カメラの前で朗読する。読み終えると、彼女は「愛は、何にもまして勝つのよ」と、余裕の笑みを見せる。しかし、モーガンは「このふたりがやっていることは、愛や勝利を推奨することではない」と、冷ややかだ。

「彼らは毒まみれのヘイトを自分たちの家族に向けてひたすら撒き散らす。その過程で、多くの人たちに辛い思いや怒りを抱かせる。ハリーの家族の場合、公に反論することができないのに、そうわかっていてやっているのだ。彼らは、自分たちが非難し、打ちのめし、蔑ろにする王室を、喜んで利用する。そうやって王室にとても大きなダメージを与える。臆病者のやる、不誠実で卑劣なことだ」。

 そして最後に、モーガンはこう宣言する。

「最終的に、メーガンとハリーは負けるだろう。彼らは、金のために、冷酷にも自分の家族をけなす人たちだから。そんな人が他人から嫌われる負け犬以外のものになることは、ほとんどないのだ」。

 メーガンとハリーの愛は、この宿敵の予想を打ち負かしてみせるだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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