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セレブの婚約解消。その後、指輪はどうなった?

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
婚約解消したアリアナ・グランデとピート・デビッドソン(写真:Splash/アフロ)

 愛らしいカップルが、また一組、破局を迎えた。アリアナ・グランデとピート・デビッドソンだ。

 シンガーソングライターのグランデとコメディアンのデビッドソンが交際を公にしたのは、今年5月。それから1ヶ月するかしないかのうちにデビッドソンはグランデにプロポーズしたのだが、今週、ふたりは婚約の解消を決めた。

 気になるのは、さんざんメディアの注目を集めた指輪の運命。およそ10万ドル(約1,100万円)するという、そのカスタムメイドの指輪は、いくら「Saturday Night Live」にレギュラー出演しているとはいえ、まだ24歳のデビッドソンには、思いきった出費だったはずだ。報道によると、すでにこれはデビッドソンの手元に戻り、代わりにペットの子豚はグランデが引き取ることで決まったとのことである。別れは誰にとっても辛いものながら、揉めることなく終わらせられたのは、せめてもの救いだったかも知れない。

 さて、ほかのセレブの場合は、どうだったのだろうか。グランデのように素直に相手に返した女性には、ジェニファー・ロペスとレディ・ガガがいる。

 ロペスは、挙式の数日前になって、及び腰になったアフレックのせいで式をキャンセルする羽目になっている。そんな大恥をかかされたにもかかわらず、ハリー・ウィンストンのピンクダイヤモンドをあっさり返してあげたというのは、なかなかあっぱれだ。もっとも、アフレックとの破局から数ヶ月後にマーク・アンソニーと結婚してみせたことこそ、ロペスにとっては仕返しだったといえる。もうすでに次の男を確保するつもりでいっぱいならば、前の男のくれた指輪などにこだわってはいられなかったのかもしれない。

 実際、関係修復を望んでいたレディ・ガガは、テイラー・キニーとの破局後も、彼からもらったハート形の指輪を手元に置いていた。指輪を返すと決めたのは、タレントエージェントとの間に新しい恋を見つけてからだ。それが、彼女なりの、ひとつの恋の終わらせ方だったのである。

話題の指輪も、破局後にはそんなに高値が付かない

 一方で、もらった物は私の物と割り切り、売って現金化した女性たちもいる。たとえばマライア・キャリーだ。オーストラリア人ビリオネアのジェームズ・パッカーから婚約を破棄された時、怒ったキャリーは、パッカーに5,000万ドルを要求したり、結婚式で着るはずだったドレスをミュージックビデオの中で燃やしたりするなどの腹いせをした。35カラットの婚約指輪も、L.A.の宝石店に売却している。クリス・ハンフリーズとの結婚式がテレビ中継までされたのに72日で破局したキム・カーダシアンも、1年半かかった離婚調停で、20.5カラットの婚約指輪をオークションに出した。

 だが、世界中のメディアを賑わせたこれらの指輪に付いた値段は、意外にも安い。1,000万ドル(約11億円)相当と言われたキャリーの指輪の買い取り価格は、わずか250万ドル。200万ドル(約2億2,300万円)したとされるカーダシアンの指輪は、10万ドルで競売が始まり、62万ドルで競り落とされたと報道されている。

 売るという選択肢すらなかったのは、アン・ハサウェイだ。ハサウェイが婚約していたイタリア人不動産デベロッパー、ラファエロ・フォリエリは、2008年、詐欺の容疑で税務署とFBIから捜査を受け、4年半の実刑判決を受けた。ハサウェイがもらった婚約指輪は、フォリエリの資産の一部として押収されてしまっている。この指輪の行方は、もはや知るよしもないし、ハサウェイとしては知りたくもないだろう。

ジョリー、アニストンの指輪の行く末は?

 これら居どころが決まったもののほかに、ハリウッドには、いくつか宙ぶらりんの指輪がある。ブラッド・ピットがアンジェリーナ・ジョリーに贈った指輪は、そのひとつ。2年前に離婚を申請したジョリーの指に、今、この指輪はないが、ピットに返してもいないようだ。

 また、破局発表から3年、離婚申請から1年半を経て、今月、ついにベン・アフレックとの間に離婚条件の合意がなされたジェニファー・ガーナーも、もうだいぶ前に指輪をはずしている。アフレックがガーナーのための指輪を求めたのは、ロペスの時と同じハリー・ウィンストンで、ジーンズのポケットに手を入れる時に邪魔になるほど大きい。十数年間もそうだったのに、突然、すんなり手が入るようになったとあれば、さすがに感じるところが大きかっただろう。ジェニファーと言えば、ピットの最初の妻ジェニファー・アニストンも、今年、ジャスティン・セローとの破局を発表している。セローがアニストンに贈った8カラットの指輪は、推定50万ドル(約5,500万円)だった。

 何度となくレッドカーペットに登場し、カメラマンのフラッシュを浴びてきたこれらの指輪が、ひっそりと引き出しの中に眠っているというのは、なんとも無念なことだ。今、それらは、あげた人ともらった人が流した涙や苦しみ、憎しみを受けて、輝きたくても輝けないでいるのである。生まれて以来、それらの指輪は、ずっと称賛だけを受けてきた。だが、人が婚約指輪を美しいと呼ぶのは、それが愛の象徴だからなのだ。罪のないこれらの指輪は、将来、どんな状況のもとで、再び輝きを見せてくれるのだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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