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ジョニデ離婚:コンシェルジュ2人が「アンバーの顔には痣などなかった」と証言

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
グロリア・オールレッドの事務所の駐車場で目撃されたアンバー・ハード(写真:Splash/アフロ)

ジョニー・デップに、有力な証人が現れた。デップとアンバー・ハードが住むL.A.ダウンタウンのコンドミニアムのコンシェルジュふたりが、ハードがDVを受けたという日の直後に彼女を見たが、痣も何もなかったと語ったのである。

デップがハードにiPhoneを投げつけられたとされるのは、5月21日(土。)TMZ.comが伝えるところによると、このコンドミニアムのコンシェルジュは、その2日後の23日(月)の昼間にロビーでハードを見たが、痣などなかったどころか、ノーメイクなのに肌がとてもきれいで、褒めようと思ったと語っているという。さらに、25日(水)には、別のコンシェルジュがハードを見たが、彼も、その時ハードはノーメイクで、顔にはまったく痣がなかったと証言している。

ハードが接近禁止命令を申請したのは、29日(金。)この日、ハードは、痣のある顔で裁判所を訪れている。また、すでに削除されてしまったが、22日(日)にインスタグラムにアップされた写真の彼女にも痣はなかった。この痣に疑問をもっている人は少なくなく、「Dr. パルナサスの鏡」でデップと仕事をしたテリー・ギリアム監督は、30日、Facebookに、「ジョニーの多くの友達同様、僕も、アンバーは思っていたより演技が上手かったんだと気付かされたよ。ただ、痣が動くのが気になるけどね」と書いている。接近禁止命令をめぐる裁判は今月17日に行われる予定で、デップ側の弁護士は、このふたりのコンシェルジュに証人として出廷してもらうことを考えているようだ。

一方、ハードのほうも、次の動きを始めそうな気配だ。先週金曜日、ハードが、大物弁護士グロリア・オールレッドと会い、4時間かけて相談を受けたことが判明したのである。オールレッドは、テレビやラジオにも出演し、世間で注目される事件の弁護に関わってきた超有名人。現在は、レイプ問題で訴えられているビル・コスビーがらみのケースで、コスビーの被害者50人のうち29人を弁護しているし、過去にはジャスティン・ビーバーに暴力を受けた被害者の弁護もした。女性の権利、セクハラ、レイプ、LGBT差別、子供の虐待などを専門とする弁護士として知られ、オバマ大統領にも、「わが国で最高の弁護士のひとり」と言わしめている。

L.A.のオールレッドの事務所で相談を受けたのと同じ日に、ハードは、ビバリーヒルズとアリゾナの弁護士を使って、アリゾナ州で、デップの友人ダグ・スタンホープを名誉毀損で訴えている(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160604-00058442/)。離婚申請と接近禁止命令を出すのに使った主要弁護士ふたりはまた別なので、オールレッドを入れると、ハードは5人の弁護士と話していることになる。

バンド活動でヨーロッパをツアーしているデップは沈黙を守り続けてきており、デップの弁護士ローラ・ワッサーも、ハード側がデップからDVを受けていたと言い出した時に、「彼女は早くお金が欲しいだけ」とする文書を送ったにとどまっている。しかしハード側は、その後、「People」誌にDVの証拠写真を、またテレビ番組「Entertainment Tonight」に、デップのパーソナル・アシスタントとの2年前のメッセージのやりとりを流出するなど(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160603-00058395/)、メディアに話題を提供し続けている。

あえてプライバシーを犠牲にしてまで家の中の事情を全世界に向けて次々に公開しているのは、ワッサーの言うとおり、早くお金をもらいたいからではないかと見る向きは多い。このような醜い離婚劇がいつまでも長引くと、来年には「パイレーツ・オブ・カリビアン」新作が控えている大スターのデップにとって損害が大きいため、裁判を待たずして、示談で片付けてしまおうとなることは、十分ありえる。とっとと終わらせるため、裁判所が命じたであろう金額よりも多い金額をオファーする可能性も高い。たとえば、ちゃんとprenup(婚前契約)をしていたブリトニー・スピアーズも、ケビン・フェダーラインとの離婚を素早く終わらせるために、契約内容よりも多い金額をフェダーラインに与えている。

しかし、デップが折れず、裁判になった場合、カリフォルニアには日本の慰謝料に当たるものがないため、DVを出してきたからといって、それを理由にごっそりと取ることはできない。DVがあったと証明された場合、裁判所が、配偶者サポートの金額をやや多めにしたり、支払い期間を少し長くするよう命じることもあるが、デップとハードの結婚期間は、そもそも15ヶ月と、とても短い。ケースにもよるが、基本的に、カリフォルニアでは、配偶者サポートを受け取れるとなった場合、その期間は、結婚していた期間の半分である。結婚している間に得た財産は、基本的に半分に分けられるが、その前に所有していた物は、個人の財産として守られる。

あるいは、ハードはただ、世間に同情してもらいたいだけなのかもしれない。いずれにせよ、現在のところ、ふたりは、17日に裁判所で再び顔を合わせる予定だ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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