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じつは前代未聞。転売禁止期間を設けなかった「HARUMI FLAG」の小さからぬ懸念

櫻井幸雄住宅評論家
晴海フラッグの選手村マンションは転売禁止期間を設けずに分譲された。(写真:イメージマート)

 東京都中央区で分譲されているHARUMI FLAG(以下、晴海フラッグ)で東京五輪選手村として使われたマンションの分譲が終了。今は、新たに建設される超高層棟の販売に移っている。

 晴海フラッグの選手村マンションが大人気で終了したのはご存じのとおり。人気が高かったのは、価格の手頃さが大きな要因になったことは疑いようもない。

 晴海フラッグのように東京都や国が所有する土地など、公共性の高い土地を活用してマンションが分譲される場合、割安価格になりやすい。だから、人気が高くなる。それについては、遡ること5年近く前、2018年10月に東京五輪選手村は20年に一度のお宝物件かの記事で書かせていただいた。

 なぜ、公共性の高い土地を活用したマンションは人気になるのかは、同記事を参照いただきたい。晴海フラッグの選手村マンションが販売開始となったのは2019年の夏。販売期を重ねるごとに人気が盛り上がったのだが、お買い得物件=お宝物件になることは、販売開始前から容易に想像できたのである。

 そして、そのようなお宝物件には「転売禁止期間」が設けられるのが普通であることも解説。5年前の記事は、晴海フラッグの選手村マンションも当然、転売禁止期間が設けられるという前提でまとめた。

 ところが、晴海フラッグの選手村マンションには転売禁止期間が設けられなかった。これは、従来の不動産事情からすると、前代未聞の出来事となる。

 なぜそのようなことになったのか。そして、転売禁止期間が設けられなかったことによる、今後の懸念を解説したい。

建物の引き渡しは半年後に迫っているのだが……

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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