急に気温も上がってきましたね。そんな中「外に出るときの子どもの日焼けをどう考えればいいの?」という質問をいただきました。日焼けによる紫外線の影響を考えると注意した方がいいと思うけど、日光に当たらないことでビタミンD不足になり、骨の異常も増えているというニュースもあります。そこで今回は子どもの日焼けについて考えてみたいと思います。

日焼けは体に悪いのか

昔は子どもの日焼けと言うと小麦色の健康なイメージでした。その一方で日光に含まれる紫外線が皮膚がんのリスクを高めることも分かってきました。

特に子どもは成人よりも表皮が薄くて紫外線に対するバリア機能が弱いこと、細胞分裂が活発なため紫外線曝露によるDNA損傷を受けやすい懸念点があります。また、人間が60歳までに浴びる総紫外線曝露量の40-50%は20歳までに浴びるとされています[1]。

こうしたことから、子どもの紫外線防御は重要と考えられ、以前は乳児期からの日光浴を積極的に推奨していた母子手帳の記載は98年に削除され、変わって外気浴(戸外の新鮮な空気に触れること)が推奨されるようになりました。

ビタミンD不足の子どもが増えている

一方で、最近はビタミンD欠乏の子どもが増えていることも話題になっています。ビタミンDは骨の成長と維持に必要で、不足することでくる病やX脚・O脚といった骨の変形が生じ、骨折しやすくなったりするため、おろそかにできません。

ビタミンDの取り込みは食事から栄養として摂取する場合と、紫外線に当たることで皮膚で合成される場合の2通りがあります。最近は子どもが紫外線に当たる頻度が減ることでビタミンD欠乏が増えている傾向が指摘されています[2]。

専門家の中には、昨今のコロナ禍で外出の機会が減っているため、ビタミンD欠乏はより広がっているのではという意見もあります[3]。

では、実際にどれくらいの子がビタミンD不足なのでしょうか。日本の報告では、乳幼児でビタミンDが不足している割合は、生後5か月以下で52%、6~15カ月で14%、16~48カ月で15%だったというものがあります[4]。ビタミンD不足は特に母乳栄養の赤ちゃんに多いともされており[5]、離乳食を開始する生後5か月前は不足が目立つのかもしれません。

では、ビタミンDのレベルを保つためにどれくらいの日光を浴びればよいのでしょうか。

地域や気候、時間帯によって大きく変わるので一概には言えませんが、日本人の肌で8月1日の昼の東京では、皮膚の25%(両腕と顔)を日焼け止めせずに露出して日に当てると約3分、1月1日に皮膚の12%(顔と手程度)では約50分としています[6]。このデータだと、夏はそんなに苦労しないけれど、冬はちょっと大変かもしれませんね。

ちなみにたくさん浴びるほど無制限にビタミンDが多く合成されるわけではなく、一定の限度があることが分かっています[1]。一方、DNA損傷による皮膚がんのリスクは日光をたくさん浴びるほど増えていきます。

紫外線曝露のリスクを回避しつつビタミンD欠乏に対処するには、まずビタミンD欠乏がリスクになる人を知ることが大事です。それは妊婦や授乳中の女性、母乳栄養児、日照時間の少ない高緯度地域の人とされています。

したがって対策としては、たとえば妊婦さんの過剰な紫外線防御を避けることや、また特に欠乏がリスクとなりやすい母乳栄養の赤ちゃんにビタミンDサプリメントの補充を行うことなどが有効とされています。現在乳児用のビタミンDサプリメントも市販されています。

日焼け止めは生後6か月から

とはいえ、やはり子どもの紫外線対策は重要です。紫外線対策と言えば日焼け止めが思い浮かびますが、基本的には日焼け止め製品の使用試験が報告されているのは生後6か月以降になります。したがって、日焼け止めは生後6か月以降を目安に考えるのがよいでしょう。

また、乳児期には乳児湿疹が見られる場合もありますが、湿疹がある場所に日焼け止めを使うと悪化する可能性があり、避ける必要があります。

乳児期は皮膚が薄いため基本的には帽子や衣類などによる物理的防御が優先されます。

紫外線は正午前後がもっとも強く、日かげに入ると紫外線量は日なたの50%になります[7]。こうした時間や場所の工夫を知っておくのも有用です。私たちのプロジェクトでは子どもの日焼け対策のフライヤーを制作しています。こちらもご参考になさってください。

出典:教えてドクタープロジェクト(イラスト:江村康子)
出典:教えてドクタープロジェクト(イラスト:江村康子)

日焼け止めフライヤーはこちらから

こども用の日焼け止めはSPF15以上、PA++~+++で十分

 では、こどもに日焼け止めを使おうと考えた場合、何を選べばよいのでしょうか。日焼け止めには散乱剤と吸収材がありますが、吸収剤は白くなりにくい反面、まれに接触性皮膚炎を起こすため注意が必要で、こどもの場合には散乱剤のみを用いた商品が多いです。

 最近日焼け止め製剤の塗布について調査した研究では、4種類の日焼け止め製剤を投与して、体内に吸収される吸収剤の成分を調査しました。その結果、吸収剤の有効成分6種類すべてが皮膚を通して体内に吸収され、いずれも安全性の閾値を超える血中濃度だったことが分かりました[8]。この研究では日焼け止めの使用を中止すべきというわけではなく引き続き推奨するとしていますが、やはりこどもは念のため吸収剤を含まない「紫外線吸収剤無配合」「ノンケミカル」の製品を選ぶのがよさそうです。

なお、子ども用の製材は通常SPF15以上、PA++~+++で十分とされています[7]。

日焼け止めはこまめに塗り、しっかり洗い流す

 日焼け止めを初めて使用する際には、かぶれのリスクを減らすため、最初は限られた範囲に2-3日使ってみて、かぶれないかを確認した後問題なければ広い範囲に塗るのがよいと考えられています。また、時間が経つと汗で流れてしまうため、2-3時間おきにこまめに塗りなおすのがよいでしょう。そして、洗い流すときには石鹸を十分に泡立てて丁寧に落とすことが必要です。日焼け止めは意外にしつこく、軽く洗い流すだけでは落ちないことがあるためです。

「保湿剤を外用すると日焼けしやすくなる」って本当?

 ちなみに、日焼け止めの話から少し外れますが、保湿剤を使うと日焼けしやすくなるのですか?と外来で聞かれたことがあります。実際にはそんなことはなく、むしろ積極的に保湿剤を使うことで皮膚のバリア機能は安定します。そういった点から保湿剤はむしろ紫外線対策になるともいえるでしょう。ちなみに保湿剤を使うときには、保湿剤を先に塗り、日焼け止めが外側に来るように塗ります。

 コロナ禍で家にこもる時間も多いですが、外のお散歩はお子さんへの刺激になりますし、親自身もリフレッシュできる機会です。紫外線対策を心掛けつつ楽しんでいただければと思います。

<参考文献>

1.上出良.散歩・日光浴. 小児科, 2017. 58(9):951-956.

2.日本小児内分泌学会. 患者さんおよび保護者の皆様へ(ビタミンD欠乏性くる病) .

3.時田章.ビタミンDの補充をどうするか. 外来小児科, 2021. 24(2): 115-120.

4.Nakano S, et al. Current Vitamin D Status in Healthy Japanese Infants and Young Children. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo), 2018. 64(2): 99-105.

5.富本和彦. 北日本の一地域における母乳栄養児のビタミンD充足状態評価. 日本小児科学会雑誌, 2018. 122: 1563-1571.

6.環境省.紫外線環境保健マニュアル2015.

7.日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会. 保育所・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解 2015.

8.Matta MK, et al. Effect of Sunscreen Application on Plasma Concentration of Sunscreen Active Ingredients: A Randomized Clinical Trial. JAMA, 2020. 323(3): 256-267.