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竹野内豊と山田孝之を女たちが監禁。無垢な少女役の桃果が「辛いことが多いから何が起きても楽しもうと」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)2023「唄う六人の女」製作委員会

人里離れた深い森に迷い込んだ二人の男が、美しくも奇妙な六人の女に監禁されるサスペンススリラー『唄う六人の女』が公開された。竹野内豊と山田孝之がW主演。六人のうちの一人の“見つめる女”を桃果が演じている。小学生でデビューしてモデルから女優と活動を広げ、一昨年からは主演映画も続いている。現在は事務所を離れてフリーになったが、愛らしいルックスの裏で、数々の荒波を乗り越えてきたようだ。

フリーになって作品への想いも変わりました

――桃果さんは小学生の頃から仕事をしていますが、この芸名で行くことは自分で決めたんですか?

桃果 前の事務所で名字がなくなっていました(笑)。でも、私が小さい頃、初めて好きになった女優さんが香里奈さんだったんですね。本当に好きで、家でモノマネをしていたほど(笑)。だから、私も名前だけになって「一緒だ!」と嬉しかったのを覚えています。

――本名の名前ではあるんですか?

桃果 本名です。親がかわいい名前にしようと、「桃ちゃん」という響きにこだわったらしくて。私も“桃花”でなくて“果”なのが珍しくて、気に入っています。

――今、事務所には入ってないんですよね?

桃果 フリーでやっています。自分でいろいろ向き合って、今後のことを考える期間にしようと。9歳からずっとマネージャーさんにやってもらっていたことを、全部自分でするようになって、大変さもわかったし、人との向き合い方も作品への想いも全然変わりました。

――演者に台本が来るまでに、どれだけの苦難があったかわかって?

桃果 そうですね。今までも一生懸命演じていましたけど、作品全体がどう作られていくのか、いろいろ知ると、台詞ひとつでも簡単に言ってはいけないなと。一緒に作り上げる気持ちが強くなりました。

けがれがない役は演じられる気がしました

――『唄う六人の女』の見つめる女役での出演も、自分のジャッジで決めたんですね。

桃果 そうですね。脚本を読ませていただいて惹かれるものがあったのと、見つめる女の役を「絶対にやりたい! 自分がやるべき!」と思ったんです。

――まず、作品に惹かれたというのは、どんな観点からですか?

桃果 今までにない感じの世界観ですよね。ファンタジーだけど、監督が伝えたいテーマもある。当たり前のようにある自然に人間は助けられていて、共生の大切さに気づかされる。最初はそこまで深く考えていませんでしたけど、現場に入ったら、いろいろ知れるだろうなと思っていました。

――そして、見つめる女は自分が演じるべきだと?

桃果 純粋無垢な少女で、けがれたところがないイメージの役ですよね。私は23歳ですけど童顔なので、きっと演じられる気がしました。

――見た目もさることながら、桃果さんも純粋無垢だから?

桃果 それはわかりません(笑)。生きていると、いろいろなことを知ってしまいますから。でも、幼い頃の気持ちを大事にはしています。経験を積んで成長しても、黒くなってしまうのは違う。純粋に喜んだりする気持ちは、普段から忘れないように心掛けています。

キョトンと人を見つめるところはあります

――六人の女は台詞を発しません。

桃果 そこもどうやって伝えるのかワクワクしましたけど、監督が伝えたいものはわかって、難しくは感じませんでした。ただ、最初は殴られたりしても呻き声を出したらいけないのかと思って、一生懸命こらえていたら、それは出してもいいということでした(笑)。

――あと、見つめる女だけに目に訴える力があるのも、キャスティングのポイントだったのでは?

桃果 キョトンと人を見つめることはあります。監督がそこが合っていると言ってくださったので、たぶん普段からしているんだろうなと。

――目のアップも多くありましたが、何か意識はしました?

桃果 まばたきをしないことですね(笑)。あと、純粋だから、あれこれ考えない。子どもの好奇心で、興味を持った相手に近づくようにしました。私も普段から、触ったらいけないものに触りたくなるとか(笑)、子どもっぽいところがあって。

――学校で非常ベルを押したくなったタイプ?

桃果 そうです! 押しはしませんけど、どのくらいの力で押したら鳴るのか、すごく興味を持って。今でも、たとえば柱があると、押したら倒れるんじゃないかと触ってみたり(笑)。親友に「なぜ何でも触るの?」と言われます。

――見つめる女は何も考えてないわけではないんですよね?

桃果 考えていることはあります。ただ、状況的に怖いシーンで山田さんが怖い笑顔をしていても、単純に「この人、笑っているな」と受け取っていて。だから、ダマされてしまうんですよね。

嫌いな虫も「友だちになろう」と思って

――ウサギにかぶりつくシーンもありました。

桃果 あれは剥製らしくて、本当にかぶりついて、血がベタッと口に付くようになっていました。一発OKを出さないといけなくてドキドキしましたけど、おいしそうに見せるのは得意なので、ゴムみたいなものを食べても大丈夫でした(笑)。

――あと、ニワトリの頭をずっと握っていて。

桃果 あれも剥製で、見つめる女のお守りなんです。

――そういうものに触れることに、特に抵抗はありませんでした?

桃果 最初は「ちょっと待って! 怖い!」となってましたけど、慣れました。やっぱり自然を守ることがテーマだったので。虫はすごく嫌いなんです。特にアリは小さくてどこに付くかわからないから「ギャーッ!」となるし、ゴキブリが出たら、高いところに上って「助けてー!」と叫んでいて(笑)。でも、撮影では「虫と友だちになろう」という気持ちでいたら、一緒に生きているんだと思えました。近づいてくると「イヤッ!」となっていたのが、「私に興味を持ってくれているんだな」というふうに変わって。

――20数年ダメだったものが大丈夫になるとは、女優魂ですね。

桃果 撮影が終わって時間が経つと、また「ギャーッ!!」となりましたけど(笑)、考え方を変えるだけで全然違うんだと感じました。

――森での撮影では、虫以外に困ることはありませんでした?

桃果 もともと自然や緑は好きで、虫だけ大丈夫になれば、森の中で本当に癒されて。毎回、気分良く帰っていました。

撮影でドッと疲れて死んだように寝ました(笑)

――山田孝之さん演じる宇和島には、だいぶ酷いことをされていました。

桃果 体当たり系は好きなので、心の中でワクワクしていました。

――演技とはいえ、怖くなかったですか?

桃果 お芝居をしていて怯みそうになりました。でも、見つめる女には怖いという感覚はなくて。無垢な少女だから「この人、何をするんだろう?」というだけ。いろいろ知っていたら「何かされる」と怖がるけど、そういう気持ちになったらいけなくて、負けずにただ前に行くように心掛けました。

――後半には、雨の中で泣き叫ぶシーンがありました。

桃果 前から気持ちを作り込んでいたわけでなく、その場でアドレナリンが出て、ああいう気持ちになって。本当は突き飛ばされる前でカットのはずが、監督からカットが掛からず、サポーターも何も付けないまま突き飛ばされました。でも、アドレナリンが出ているから、痛さは感じなくて「何が起きた?」くらい。叫んだりするのも、どうにかなりました。

――エネルギーは使いましたよね?

桃果 はい。ドッと疲れて、ホテルに帰ったら死んだように寝ていました(笑)。雨に濡れて泥だらけにもなって、いろいろな意味で体力を消耗しましたね。早く帰れた日に、気がついたら夜ごはんまで寝ていて、スタッフさんからの連絡に気づかなかったりもしました。

――他のシーンでも、そういうことがあったと。

桃果 お芝居をして感情を出すのも、体を使うのとはまた違う疲れで、終わったらバタン、みたいな(笑)。叫んでいるとノドがやられて、声が出なくなったりもしました。でも、やるならとことんやらないと、痛みも伝わらないので。そんなお芝居をするのが、すごく楽しかったです。

若い頃にいろいろありすぎて

――昨年の『IDOL NEVER DiES』に続く主演映画『消せない記憶』も好評で、アメリカの映画祭にも出品されました。良い流れになってますね。

桃果 大変なこともいろいろあって、誉めてもらったりして自信は徐々に付いても、なくすときはなくします。焦ったり落ち込んだりもするし、ずっと楽しい状態ではありません。でも、人生に必要ないことは起こらないと思っていて。目の前のことを一生懸命やっていれば、絶対に良いことが起こると信じて、何があっても楽しむ気持ちでいます。

――今は良い時期ではありますよね?

桃果 うーん……。そうだとハッキリは言えません。私、若い頃にいろいろありすぎて(笑)。だけど、その経験が自分を強くしてくれて、フリーでも堂々としていられるんだと思います。この先もどんどん向上して、今を越えていくつもりです。

――若い頃にキツいこともあったんですか?

桃果 たくさんありました。誰でもそうかもしれませんけど、はっきり言えば、辛いことのほうが多かったです。そこで小さな幸せでもいいから見つけて、生きがいにしていました。辛いからこそ楽しさや嬉しさが何倍にも感じられるんです。

斎藤工さんに言葉をもらって続けてきました

――一番落ちていた頃は、もう芸能界をやめようと思ったり?

桃果 それは1回もありません。この仕事はとても好きなので。でも、「本当に辛かったらやめてもいい」という選択肢を持つだけで違うんです。絶対この世界でやらなきゃと思っていたら、苦しくて潰れてしまうかもしれない。やめたらやめたで違うことができると考えていたら、逆にただ一生懸命頑張れる。私は満足できるまではやりたいので、まだそこまで考えたことはないですけど。

――何か支えになっていたものもありますか?

桃果 『最上の名医』で斎藤工さんとご一緒したとき、私が14歳で妊娠する役で、工さんが泣くシーンでないところで泣いてくれて。そのあとに、長いLINEで「この仕事に向いている天性があるから、これからも続けてほしい」と素敵な言葉をくださったんですね。自分の好きな仕事が向いている仕事でもあるのかなと思えて、ここまで続けてきました。

カラオケによく行って昔の曲も歌います

――『唄う六人の女』では文字通り唄ったわけではありませんが、『消せない記憶』ではミュージシャンの役でした。ギターはもともと弾いていたんですよね?

桃果 コロナ禍のとき、兄にちょっと教えてもらったくらいですけど、GReeeeNさんのMVで弾いて、そのあとに『消せない記憶』があったから、わりと機会があって。多少なら弾けるようになりました。

――歌うことは好きなんですか?

桃果 好きです。カラオケに親友と行ってます。よく歌うのはYUIさん、西野カナさん、Mrs.GREEN APPLEさん、家入レオさん……。

――西野カナさんは音域が高いですよね。

桃果 頑張って高い曲を歌って、疲れたらあいみょんさんとか、音程的には歌いやすい曲にしたり。ラップもたまに歌いますし、昔の曲もめっちゃ歌います。ZARDとか『世界中の誰よりきっと』とか『PRIDE』とか。

――そういう90年代の曲をどう知ったんですか?

桃果 兄と父がいろいろな音楽を聴くので、教えてもらいました。グリーン・デイ、イーグルスとか昔の洋楽や、山下達郎さんも聴きますし、本当に幅広いです。ライブにもよく行っていて、10月はモンパチ(MONGOL800)を観ました。

塚原あゆ子さんのドラマにいつか出たいです

――映画やドラマもよく観るんですか?

桃果 映画は勉強のためにちょこちょこ観ています。ドラマは昔から好きで、いろいろな作品から刺激を受けました。石原さとみさんの『ディア・シスター』とか。とてもかわいくて、ハッピーな気持ちになりますね。あと、私、幼い頃から塚原あゆ子さんのドラマの大ファンで、毎回刺激ばかりです。

――特にどの辺の作品ですか?

桃果 選べないんですよね。本当にどの作品も面白くて。演出も音の入れ方も編集も全部が最高です。自分もいつか絶対出たいと思っています。

――ドラマといえば、『セクシー田中さん』などで演技もビックリするほどうまい生見愛瑠さんは、「ニコ☆プチ」モデルを一緒にやっていたんですよね。

桃果 「ニコ☆プチ」では後輩でしたけど、いろいろすごいなと思います。タレントとして思ったことをズバッと言えるのもめるるっぽくて。でも、会うと昔と変わりません。みんなが頑張っていると、私もいっそう頑張ろうという気持ちになれます。

太らないから調子に乗って偏食に戻って(笑)

――プライベートでは、7月にパワースポットとして知られる三峯神社に行った写真がインスタに上がっていました。毎年行ってるんですか?

桃果 何年も前から行きたいと思いながら、タイミングが合わなかったんです。行こうとしたら台風が来たりで、「まだ呼ばれてないんだ」という気持ちになっていました。そしたら、いろいろ大変だった時期に、父が「行こうか」と誘ってくれて。おみくじで初めて大吉を引いたり、落ち気味だったところにパワーをもらえたと感じて、テンションが上がって帰りました。

――他にも夏の思い出はできました?

桃果 バタバタしていて、あまり夏を感じずに過ごしましたけど、お墓参りには行きました。ドライブは好きです。自分で運転するときもあれば、父の助手席で出掛けたりもします。

――8月に23歳になって、より大人のたしなみも?

桃果 お酒はごはんのときにつき合いで飲む程度ですけど、フリーになったこともあって考え方は大人になって、人間としてはすごく成長したと思っています。あと、体質が変わって、顔にあまり付かなくなりました。小さい頃は偏食で中・高で直したのが、最近また戻ってきて。食べても太らなくなったから、調子に乗ってしまってます(笑)。

――どんな食生活になったんですか?

桃果 アイスやチョコだけ、1日じゅう食べていたり(笑)。本当に偏っていて、豆腐ばかりの日や卵ばかりの日もあります。お米しか食べたくなくて、朝昼晩とおかずナシで、ただごはんに塩を掛けている日も(笑)。

――それだと、太らなかったとしても……。

桃果 健康も意識しなきゃと思っています(笑)。でも、嫌いなものはないので、基本何でも食べます!

「何だろう?」と思ったことはやってみます

――女優力を上げるために、普段からしていることもありますか?

桃果 いろいろな経験を大事にしています。「何だろう?」と思ったら、やってみる。今しかできないこともありますし、経験したことは役で来たときにできるので。

――最近だと、どんな経験をしました?

桃果 演技に役立つようなバイトもしました。どこかに出掛けて感じることもあるし、服もいろいろ挑戦していて。ストリートファッションが大好きで、探究し続けてます。

――しばらく前まで金髪にしていましたね。

桃果 絶対いつかしたかったんです。ちょうど作品に入ってなくて、この先できなさそうだったので、今しかないと思い切りました。自分に何が似合うかもわかって、今後の作品のための資料にもなりました。

――そういうことの積み重ねなんでしょうね。

桃果 本当は海外留学もしたいんですけど、そこまでの余裕はないので。とにかく、たくさんの経験をしていきたいです。

Profile

桃果(ももか)

2000年8月25日生まれ、神奈川県出身。

小学生の頃にスカウトされ、2013年から「ニコ☆プチ」専属モデルに。2015 年にドラマ『5人のジュンコ』で女優デビュー。主な出演作は映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』、『ほうきに願いを』、『IDOL NEVER DiES』、『消せない記憶』、ドラマ『最上の命医2017』、『美しい彼』など。映画『唄う六人の女』が公開中。

『唄う六人の女』

監督・脚本・編集/石橋義正 脚本/大谷洋介

出演/竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈ほか

TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

公式HP

40年以上も会っていない父親の訃報が入り、遺された山を売るために生家に戻った萱島森一郎(竹野内豊)と、土地を買う開発業者の下請けの宇和島凌(山田孝之) 。人里離れた山道を車で帰る途中、二人は事故に遭い気を失う。目を覚ますと体を縄で縛られ身動きができない。彼らの前に美しい六人の女たちが現れて……。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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