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ゼクシィ新CMガール・茅島みずきがお金だけを信じてソープで働く役 「家で涙が出るほど引きずりました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS

過去に広瀬すず、吉岡里帆らが名を連ねる「ゼクシィ」CMガールとなった茅島みずきが、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』のシーズン2に主演している。レンタル彼女、ホスト沼など女性たちのリアルな心情描写が話題を呼んだマンガ実写化の続編で、お金だけを信じてソープで働く女子大生役。美貌と相まってCMとは裏腹のクールな役がハマるが、今回は精神的に辛くなることもありつつの挑戦だったという。

高校を卒業して自炊をするようになりました

――3月に高校を卒業して、生活や心境の変化はありますか?

茅島 まず、仕事と学業の両立が大変だったので、そこから解放された感じがあります。一番大きいのは、夜10時以降も仕事ができるようになったことです。今まで、自分だけ先に帰るのは心苦しくて。ようやく皆さんと最後まで撮影できるようになって、すごく嬉しいです。

――学校がなくなった分、何かを始めたりは?

茅島 ひとり暮らしを始めて、自炊をするようになりました。まだレパートリーは少ないですけど、ハンバーグとか親子丼とかパスタとか、簡単なものはもう作れます。手の込んだ料理にもチャレンジしていきたいと思っています。

――料理していて、失敗したことはないですか?

茅島 あります。みそ汁を作ったら、みそを溶いても溶いても薄く感じて、何回も味見しているうちに感覚がわからなくなって。あとから飲んだら、すごくしょっぱかったんです。薄めるために水を加えたら、結局8人前くらいの量になってしまって(笑)、全然食べ切れなかったことがありました。

素は役と正反対で常に笑顔で明るいです

――茅島さんは中学生でデビューして、ポカリスエットのCMに始まり、登竜門的な仕事を次々とものにしてきました。

茅島 最近だとゼクシィのCMだったり、今回の『明日カノ』では大好きな原作のドラマで主演させていただいたり、目標を少しずつ実現できている感じはします。

――ゼクシィのCMはやっぱり反響が大きいですか?

茅島 大きいです。電車でCMの動画を観た友だちから、「今日もみずきと会ったよ」という連絡をたくさんもらっています。テレビで流れる回数もすごく多くて、ありがたいです。

――あのCMではドラマなどでのイメージと違って、笑顔が溢れていますね。

茅島 今まで演じてきた役が、どちらかと言うと自分と正反対のことが多くて。素はゼクシィのCM寄りで、常に笑顔で明るいです。

――オーディションから手応えはありました?

茅島 あまりオーディションっぽくなかったんです。お芝居は一切なくて、自分の好きなことを語ってきました。韓国ドラマの話をしたら、審査員にも好きな方がいらっしゃって。ワーッと盛り上がったんですけど、終わってから「あれで大丈夫だったのか?」と思って(笑)、自信はありませんでした。

――どんな韓国ドラマについて語ったんですか?

茅島 私は『愛の不時着』が大好きで、もう3周くらいしました(笑)。女優さんで選ぶというより、いろいろな韓国ドラマを観ています。

どんどん難しい役柄が増えています

――これまで順調に来た中でも、陰で行き詰まっていた時期もありました?

茅島 あります。私は落ち込むときはとことん落ち込むタイプで、そういうときは長崎の実家に帰ったりもしていて。やめたいとまで思ったことはなくて、成長する良い機会だと前向きに捉えますけど、しょっちゅう落ち込んではいます。

――仕事がうまくいかなかったときとか?

茅島 そうですね。一番悩んだのは、初舞台の『ロミオとジュリエット』が終わったあとでした。自覚はなかったんですけど、映像のオーディションで「舞台芝居になっている」と言われて。たぶん動きが大きくなりすぎていたんです。どこをどうしたらいいかわかなくて、1~2ヵ月くらい直りませんでした。そのときは辛かったです。

――それだけ舞台に打ち込んだ裏返しでもあったんでしょうけど。『卒業式に、神谷詩子がいない』など主演も増えて、自信も付いてきたのでは?

茅島 全然そんなことはなくて、作品に入るたびに緊張します。ただ、最初の頃はカメラの前に立つだけで緊張して、台詞をちゃんと覚えられているかが不安だったのですが、それはなくなりました。今は心配になるのは演じ方。それでも、これまでの経験があるから、ちゃんと自信を持ってお芝居できるようになってきました。

――『教祖のムスメ』はミステリアスな役でゾッとするところもあって、インパクトがありました。

茅島 何を考えているかわからないキャラクターで、狂気をのぞかせる演技も初めてでした。どんどん難しい役柄が増えていて、壁にたくさん当たりましたけど、やり甲斐も感じています。あと、どんな作品でも純粋にお芝居が楽しいので、とことんガムシャラに頑張ろうと思っています。

わからない部分が多くて悩みました

――『明日カノ』は元から原作を読んでいたんですね。

茅島 マンガは幅広く読んでいます。小さい頃は恋愛マンガが好きでした。最近はアニメで話題になった『鬼滅の刃』や『ブルーロック』とか、男の子が好きな『NARUTO』も読みました。『明日カノ』は若い子に人気で、友だちからもオススメされていたんです。

――今回演じる留奈は、原作だと第5章の『洗脳』の主人公ですが、どんな印象がありました?

茅島 自分が演じるとは思っていなかったので、留奈を深く読み込んでいたわけではなかったんですけど、作品全体を通して、女の子の悩みや苦しみをこんなに繊細に表現しているマンガはなかなかないなと。読んでいると自分も感情移入して落ち込みますけど、最後は前を向いて生きていこうと思えて、心に刺さりました。

――お金だけを信じて高級ソープランドで働く留奈は、演じるうえではチャレンジでした?

茅島 今まで演じた役は自分が経験した部分がありましたけど、今回は馴染みのない職業で、わからない部分が多くて。最初はどうしたらいいのか、すごく悩みました。初めてマンガを切り取って台本に貼ったりして、普段と違う角度からいろいろな役作りを試しました。

一番かわいい角度を鏡を見て練習したり

――撮影に入ったときには、自分の中で留奈像はできていたんですか?

茅島 役を落とし込めているのか不安はあって、初日は「大丈夫かな?」とめちゃめちゃ緊張しました。でも、権野(元)監督に「ちゃんとできてるよ」と言ってもらって、心が軽くなりました。権野監督とは半年前まで『相棒21』(元日スペシャル)でご一緒していて、安心感があって。悩みも全部受け止めてくれるので、戻ってきた感覚で入れたのは大きかったです。

――その初日は、どんなシーンだったんですか?

茅島 隼斗の行きつけのバーで、店長と3人でお酒を飲んでいて、「堅実にお金貯めてまーす!」というところです。ナッツを食べていて、緊張しすぎて、剥いた皮をポーンと飛ばしてしまって(笑)。それで、逆に緊張がほぐれました。

――留奈は店では愛想の良い接客をしています。客が帰ると冷めた顔を見せますが、そういう風俗嬢の営業スマイルみたいなものも、研究したんですか?

茅島 どういう角度が一番かわいく見えるだろうとか考えて、鏡を見て練習もしました。どこまでの笑顔だとウソっぽくないか。でも、心から笑ってもいないので、バランスがすごく難しくて。留奈はオン・オフがちゃんとある子で、基本的には声のトーンをちょっと上げて、女性らしい感じは意識しています。

似ているところは少なくても共感でき部分は多くて

――留奈が「お金が一番大切」「お金は裏切らない」と言うのは、茅島さんもわかることではありますか?

茅島 お金に依存しているところは自分と違いますけど、人って何かに依存していると思います。留奈は誰からも愛されない環境で育って、だからこそ1人で生きていく強さを持っているけど、お金にしか依存できなかった。それが隼斗と出会ったことで、どんどん変わっていく。自分と似ているところは少なくても、共感できる部分は多かったですね。

――「欲しいものは自分の力で手に入れる」とか、自立心が強いところは茅島さんとも重なりませんか?

茅島 私は見た目のイメージから「芯が強そうですね」と言っていただきますけど、どうなんですかね(笑)。ひとり暮らしをしている分、ちょっと自立できているくらいです。悩んだら、すぐ母に相談しますし、1人でも生きていける強さは持っていません(笑)。

――茅島さんがお金より大事だと思うものは何ですか?

茅島 家族や友だちはお金より大事だと思います。芸能界の友だちも何人かいて、自分が悩んだときにすぐ話を聞きに来てくれたり、体調を崩したときに差し入れを持ってきてくれたりもします。本当にいろいろな人に助けられて、今の私がいるので、恩返しをしたいです。

――一方で、お金がいっぱいあったら、何に使いますか?

茅島 旅行をしたいです。よく家族で夏に海外旅行に行っていたのが、最近はコロナで全然行けなかったので。ハワイやグアムのような定番のリゾート地に行きたいです。

取り繕ってないかわいらしさも感情の爆発も

――店の客からつき合うことになる隼斗とのシーンでは、留奈の女の子らしさが出ているようですね。

茅島 最初は隼斗にもちょっと壁があったのが、時が流れるに連れて、素の留奈のかわいらしい表情が出てきます。隼斗のことを好きだなと思っているときの顔とか、本当に取り繕っていません。だからこそ、喧嘩してぶつかるときは、ものすごく感情が爆発していて。隼斗といるときは、留奈のいろいろな顔が見られると思います。なかなかカットが掛からなくて、アドリブが入ったりもしたので。

――ラブラブなシーンで?

茅島 そういうシーンだったり、一緒にパスタを作るシーンだったり。ゲームをやっているシーンでも、台詞を全部言い終わってもカットが掛からないので、「あれ?」と思いながら、お互い演技を続けていました。私もまだ、どこが使われたのか知らないのですが、そこで結構アドリブが多くなりました。

――茅島さんは意外と恋愛ものはあまりなかったですよね。

茅島 片想いとかはありましたけど、誰かとつき合う役はあまり経験してなくて。イチャイチャするところも最初はどうしたらいいか、ちょっと難しかったですね。

――キスシーンは緊張しました?

茅島 役としてのドキドキ感はありましたけど、私は割り切れるタイプなので、そこまで緊張はしなかったです。留奈は仕事モードのときと隼斗といるとき、入山(法子)さんが演じる江美と飲んでいるときと、相手によって態度や表情がコロコロ変わるので、そこを意識しました。

精神的に辛くなることが多い役でした

――最初は悩んだという留奈役ですが、撮影を振り返ると、特に難しかったシーンはありますか?

茅島 どのシーンも大変でした。撮影期間が短くて、ギュッと詰めた感じで撮ったので、1日の台詞量がとんでもなく多くて(笑)。毎日「ヤバいよ~」となっていました。でも、未知の役柄で本当に良い経験になって、次に繋がると思えた作品です。

――比べるものでもないかと思いますが、『教祖のムスメ』とどちらが難しかったですか?

茅島 どちらの作品でも言えるのは、精神的に辛くなることが多かったです。私はあまり役を引きずらないんですけど、キツいシーンがあると、家に帰ってもすごく落ち込むこともあって。どっちも本当に難しくて、より引きずったのは『明日カノ』ですね。家で涙が出てくることがよくありました。

――そんな中で、女優として新たな何かが開けた感覚もありませんか?

茅島 高校を卒業したタイミングでこの話をいただけて、役の幅が少しずつ広がっていると思います。これから年齢が上がっていくに連れて、たぶん役柄もどんどん変わっていくので、対応できるようにしていきたいです。

――見た目が大人びているだけに、社会人役も増えていくかも。

茅島 医療ものやコメディも私には未知の世界で、そういった作品にもチャレンジしたいと思っています。

いつかコメディもやってみたいです

――茅島さんはクールな役がハマる印象がありますが、コメディもやりたいと?

茅島 いつかはやってみたいです。いろいろなジャンルの中で、私が一番難しそうだと思うのがコメディなんです。笑いを取るのは大変なこと。間とか言い方ひとつで全然変わってきて、今回のような繊細なお芝居とまた違うものがありそう。いつもすごいなと思っています。

――コメディを観るのは好きなんですか?

茅島 はい。笑える映画とか大好きです。事務所の先輩の吉沢亮さんは振り幅がすごくて、繊細な役もできればコメディの振り切った役も面白くて。『銀魂』では俳優の皆さんが全員そうでしたね。いつか自分も……と思ったりします。

――先ほど韓国ドラマの話が出ましたが、それに限らず、いろいろな作品を観ているんですか?

茅島 映画館にも行きますし、配信でもいろいろ観ています。最近のドラマだと、『夕暮れに、手をつなぐ』の広瀬すずさんのお芝居は圧巻でした。感情を爆発させるのがものすごくうまくて、刺激をもらいました。

やり残したことがないくらい10代を楽しんでいて

――7月で19歳になりますが、10代最後の夏はどう過ごしますか?

茅島 私、もうやり残したことがないくらい、10代を楽しんでいて。高校生活も、この世界では「お仕事で青春できなかった」という方が多いですけど、私はまったくそんなことはありませんでした。

――茅島さんも仕事は忙しかったと思いますが。

茅島 お仕事をしながらも、高校時代にやりたかったことは、全部叶いました。制服ディズニーも行きましたし、思い出がいっぱいできて、心残りはありません。

――では、特に10代最後とかは意識してないと。

茅島 でも、やっぱり20代になると、大人に見られますよね。なので、最後まで目いっぱい、子どもを楽しむつもりです(笑)。卒業旅行をまだしてないので、友だちと計画して行けたらいいなと思っています。

Profile

茅島みずき(かやしま・みずき)

2004年7月6日生まれ、長崎県出身。

中学1年のときに「アミューズ 全県全員面接オーディション2017 ~九州・沖縄編~」でグランプリ。2019年に「ポカリスエット」CMに出演。同年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『ここは今から倫理です。』、『おかえりモネ』、『卒業式に、神谷詩子がいない』、『教祖のムスメ』、映画『青くて痛くて脆い』、『女子高生に殺されたい』、舞台『ロミオとジュリエット』など。ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』(MBS・TBS)に出演中。映画『スパイスより愛を込めて』が6月2日、『交換ウソ日記』が7月7日に公開。「ゼクシィ」CMに出演中。

ドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』

MBS/火曜24:59~ TBS/火曜25:28~

公式HP

(C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS
(C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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