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北陸銀行のローカルCMから話題に。噂の16歳・宮本和奏の素顔と抜擢の背景

斉藤貴志芸能ライター/編集者
北陸銀行CM「きらりファミリー」シリーズ(デビデビュー篇)より

富山、石川、福井の三県で放送されている北陸銀行のCM。2021年10月から続く「きらりファミリー」シリーズで、メインキャラクターとして出演しているのが宮本和奏だ。ハツラツとした笑顔を見せて、最新の第5弾では元気いっぱいにダンスを披露。北陸から人気を呼び、ウェブでも話題が広がっている。4月から高校2年になる彼女の素顔をクローズアップする。

鬼ごっこをして木に激突している子どもでした(笑)

 宮本和奏さんは小学6年のとき、女子中学生向けファッション誌「ニコラ」のモデルオーディションに合格。専属モデルとして活躍してきた。高校2年への進学を前に、この3月で卒業する。大人カジュアルが似合うきれい系だが、ニコラモデルになる前は「おしゃれな人ではなかったです」と言う。

「毎日、男の子と鬼ごっこをして遊んで、日焼けしていて。木登りもしましたし、木に激突したこともあります(笑)。走っていると周りが見えなくなって突っ込んで、額に傷ができて大泣きでした(笑)」

 目立ちたがりで、人前に出ることが好きだったとも。

「学芸会や音楽発表会では、主人公の役や一番大きい音の楽器をやりたがって(笑)。『魔法をすてたマジョリン』のお話で、悪いことをする魔女の役をやったりしました」

 「ニコラ」は「姉が買ってきたのをチラッと見ていた程度」だったが、母親に勧められてモデルオーディションを受けることに。

「受けるなら絶対受かりたいと思って、遊ぶときも長袖、長ズボンで日焼けしないようにしました。もともと人が笑顔になってくれると、自分が嬉しかったんです。モデルになってからは、芸能のお仕事を通じて元気を届けたいなと思いました」

 小学生の頃から「かわいい服を着たい」といったことより「人を笑顔にしたい」というモチベーションがあったのは、芸能界に向いていたのだろう。

レプロエンタテインメント提供(撮影/横山翔平)
レプロエンタテインメント提供(撮影/横山翔平)

ニコラモデルの4年半で見た目も中身も変わって

 4年半続けたニコラモデル。発売中の最新号で、同じ高1で卒業する7人で表紙を飾ったのが最後になった。

「ニコラ中心の生活だったので、土・日の撮影や毎月来ていたアンケートが来なくなったのが寂しくて、何をしようかという感じです。4年半で見た目だけでなく、自分の中身も変えてくれたのがニコラでした。小・中学生の間に大人の方たちと接して、いろいろな知識や言葉づかい、上下関係とかメンタルの保ち方とか、たくさんのことを学べて。この4年半がなければ、今の私はいません」

 一番の思い出として挙げたのが、中3のときに同学年の関谷瑠紀さん、凛美さんと3人で初の表紙を飾ったこと。

「表紙に出られるまで長かったんです。同学年の子や後輩に先を越されて……。サプライズで表紙が決まったと知らされたときは号泣でした。それまでスタイルキープはもちろん、インスタの更新頻度も上げましたし、毎回の撮影で『こういう表情もできます』と頑張りました。それが編集さんに伝わって、表紙ができた感じでした」

元気と笑顔が大切なのは感じました

 そんな中、中3だった2021年から出演しているのが、北陸銀行のテレビCMシリーズだ。銀行のイメージキャラクターで中学生は珍しいが、「お客さまの夢や未来を応援」といったコンセプトから、宮本さんが演じる歌手を目指す北きらりを中心に、ファミリーの姿が描かれている。

「オーディションはコロナでリモートでした。簡単な設定だけがあって、自由に動いて歌も歌って。特技披露ではダンスをしました。実はそんなに得意ではなかったんですけど(笑)、その頃たまたま体育の授業でダンスをやっていたので。家だったからリラックスした状態で、自分を出せたと思います」

 きらりは「好奇心旺盛で明るい笑顔がトレードマーク」とのキャラクター。そこも合っていたようだ。

「撮影を通じて、監督が元気と笑顔を大切にしているのは感じました。私自身、人を笑顔にするために自分も明るく笑顔でいたいし、そうしていれば自己肯定感も上がると思っています」

レプロエンタテインメント提供(撮影/Yusuke Narita ヘア&メイク/Yuri Shirai) *以下同
レプロエンタテインメント提供(撮影/Yusuke Narita ヘア&メイク/Yuri Shirai) *以下同

撮影では北陸の寒さも吹っ飛ばすつもりで

 元気なきらりを演じるこのCMシリーズの撮影では、テンションを上げて臨む感じ?

「常にニコニコでいます(笑)。北陸で撮っていて、寒さもきらりちゃんなら吹っ飛ばすと思っていて。それくらいの元気さを意識しています。カットがかかったら、ストーブに駆け寄りますけど(笑)」

 今も北陸銀行のホームページなどで観られるシリーズ第1弾「夢はひとりじゃない篇」では、ギターを手にするシーンもあった。

「弾く場面はなくても、ギターは持つのも初めてで、どうしようかと思いました。最後のシーンはライブ会場で、ジャーンとキメる振りをしていて。CMで私の歌声は使われていませんけど、現場では画面を通じて伝わるように歌っていました。しっかり歌手になった気持ちでやっていました」

 普段はカラオケで歌ったりは?

「あまり行きません。でも、家では1人で歌っています。TikTokで流行っている曲をワンフレーズとか、リビングで家族がいる前でも歌うのが日常茶飯事です(笑)」

ダンスは手のキレが必要で何テイクも撮りました

 最新の第5弾「デビデビュー篇」では、軽快なダンスを披露している。

「私は高校からダンス部に入ったんです。楽しいし、やっぱり目立つのが好きなので(笑)、文化祭で踊ったりしています。小学生のときも、サルサダンスを習っていました。母の友だちに教室を紹介されて、友だちと一緒に入って、小4から小6までやっていました」

 では、今回のダンスもそれほど難しくなかったと?

「難しかったです。リズムが速いからタイミングがズレやすいのと、手の動きにキレが必要だったので。何より、私の後ろで踊っている方たちが全員、バリバリの経験者でキレキレなんです。追い付けるように、ホテルでもずっと鏡を見て練習していましたし、撮影当日もギリギリまで先生に教わっていました」

 その成果で本番はスムーズに?

「監督が納得いくまでこだわる方で、最後の最後まで何テイクも撮りました。“デビデビュー”の口の形をちゃんとするように言われたのと、指も“ビ”の形を作っていて。その手が傾くと注意されたので、細かいところも頑張りました」

 踊りながらも、満面の笑みを浮かべていて。

「笑顔を忘れたらいけないCMなので。ダンスは体に染み込ませて、いっぱいいっぱいにならないようにしておきました。今回は歌も自分で歌って、いつも以上に気合いが入って。完成したら家族や友だちに好評で嬉しかったです」

テレビでCMを観るために北陸旅行に行きます

 宮本さんは東京出身。北陸とは何か縁は?

「北陸銀行さんのCMが決まるまで、行ったこともなかったです。撮影で富山に行ったのが初めてでした。最近だと2月の初めに行ったら、寒さが東京とは違っていて。東京ではまだ耐えられる寒さですけど、北陸の寒さはツーンと来る感じ。雪も積もっていて、東京ではあまり見られないので、楽しかったです(笑)」

 では、北陸銀行のCMも、自分ではウェブ以外では観たことがないとか?

「そうなんです。東京の白山支店にポスターを見には行きましたけど。でも、4月に母たちと、CMを観るために金沢に旅行に行きます(笑)。祖母も観たいと言うので、一緒に行くことになっていて」

 テレビCMが流れている富山、石川、福井では、顔を知られているはず。街で声を掛けられるかも。

「そうなったら嬉しいです。北陸に住んでいるニコラ読者の子や先輩モデルさんが『テレビで観たよ』と連絡をくれたりはしています」

モデルを続けながら女優もやっていきたい

 この3月には「ニコラ」卒業と共に、レギュラー出演していた教養バラエティ『すイエんサー』も14年の歴史の幕を閉じる。

「聞いたときはビックリして、悲しくなりました。私はすイエんサーガールズで一番後輩で、中2から出させていただいて、すごく濃い2年でした。初めてのバラエティでしたけど、課題が解決するまでロケが終わらないという特殊な番組で。その分、達成感をすごく味わえました」

 特に印象的だった企画というと?

「紙ひこうきを10秒以上飛ばそう、という回です。普通に折ると2~3秒で落ちてしまって、どうすればいいかヒントをいろいろ教えていただいたんですけど、私だけ全然飛ばなくて。みんなを待たせてしまって、焦りながらすごく考えて、正解に辿り着きました」

 今後もモデルは続けていくつもり?

「モデルも続けながら、女優としても活動していきたいと思っています。今、少しずつ準備をしているところです」

演技は身を削ってでもやるべきものだなと

 昨年には、若手俳優の発掘・育成プロジェクト『私の卒業』の第3期で、 741人からオーディションで選ばれ、映画『あしたのわたしへ』に出演した。女優への意欲はいつ頃から生まれたのだろうか?

「小学校で学芸会に出ていて、中学では演劇部に入って、もともとお芝居に興味はあったんです。モデルになって、女優にも手が届くところに来たのを感じました」

 確かに、ニコラモデル出身で活躍中の女優は多い。遡れば蒼井優や新垣結衣から、川口春奈、永野芽郁、清原果耶など、そうそうたる顔ぶれだ。

「先輩たちもすごいですし、私の憧れは新木優子さんです。『コード・ブルー』や『六本木クラス』に出てらっしゃって、モデルさんとしてもトップ。そういう活躍の仕方が素敵だなと思います」

 現在は事務所でレッスンを受けながら、自分で映画やドラマもたくさん観て、イメージトレーニングをしているそう。

「心に染みたのは『ラーゲリより愛を込めて』です。実際にあった辛い出来事を再現されていて。お芝居は台本の台詞を言うだけでなく、自分の身を削ってでもやるべきものだと感じました。二宮(和也)さんが映画の中で病気になって、どんどん痩せていくのを観て、すごいと思っていました」

普段の生活での感情を忘れないように

 身近な学園ドラマなどはどうだろう?

「研究しています。小学生の頃、『今日から俺は!!』が面白くて、大好きでした。橋本環奈さんが白目をむいていたり(笑)。だから、コメディにも興味あります」

 同世代でも、すでにドラマなどに出ている女優もいる。

「凛美ちゃんはニコラで中1からずっと一緒に頑張ってきて、『リバーサルオーケストラ』とかに出ていると観ています。私も頑張ろうと刺激をもらえるし、お芝居についてわからないことを聞いたりもします」

 女優活動に向けた準備は、日常生活でもしている。

「お芝居には普段の生活で感じたことが役立つなと思ったんです。悲しいことがあっても、この感情を忘れないようにしようと考えたり、泣いているときの自分がどんな顔をしているのか見るために、鏡をいつも持ち歩いています。本当の表情をお芝居に繋げたくて。ただ楽しく過ごすだけでなく、いろいろな経験をしたほうが、その分の表現をできるかもしれない。だから、視野を広げるようにしています」

ダメでもまた次の一歩で進んでいきます

 現在16歳の宮本さんだが、見た目はより大人っぽい。

「ずっと実際の年齢より上にしか、見られたことがありません(笑)。今も私服だと大学生だと思われます」

 精神的にも周りの16歳より大人だったり?

「普通にはしゃいだりは全然します。真顔だと怖いと見られがちですけど(笑)、友だちには『意外と明るくて、たくさん話すよね』と言われます」

 4月からは高校2年生。仕事以外の青春も楽しめそう?

「高校に入った頃は、友だちができるか不安でしたけど、仲良しができました。私は文化祭とかイベントもすごく参加したいタイプなんです。去年もダンス部の発表の1週間前から、夜の7時までずっと練習していて。大変でしたけど、青春だなと感じました」

 北陸銀行CMの北きらりは「夢は絶対に叶うと信じるまっすぐすぎる性格」となっている。宮本さんはどんな夢に向かっていくのか?

「今はお芝居を通して名前を知ってもらうことが目標です。オーディションも受けていて、落ちてヘコんだりもしますけど、切り替えて、また次の一歩という感じで進んでいきたいと思います」

Profile

宮本和奏(みやもと・わかな)

2006年5月30日生まれ、東京都出身。

2018年に「ニコラ」の専属モデルオーディションでグランプリ。今年3月で卒業。2021年から北陸銀行のイメージキャラクター。『すイエんサー』(NHK Eテレ)、映画『私の卒業-第3期-あしたのわたしへ』などに出演。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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