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『SKI SKI』『女神の教室』の南沙良が『君に届け』ドラマ化で主演。初の恋愛もので胸キュンの裏は?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

冬の風物詩『JR SKI SKI』のCMキャラクターに選ばれ、最終回を迎えるドラマ『女神の教室』ではロースクールの生徒を演じる南沙良。女優デビューした中学時代から類まれな演技力が評判だったが、注目をより広げている。30日からNetflixで配信されるドラマ『君に届け』では主演。原作は少女マンガの金字塔的な名作で、シリアスな役が多い南には初の青春恋愛ものになるが、また観る者の胸を揺さぶりそうだ。

原作は小学生の頃に「カッコ良すぎる」と話してました

――昨年末から『JR SKI SKI』CMに月9ドラマ『女神の教室』出演と続いて、反響は大きいですか?

 あまり実感することはないですけど、「駅で『SKI SKI』のポスターを見たよ」と言っていただくことが多くて、嬉しいです。

――たくさん張られていましたからね。自分でも見掛けました?

 見ました! たくさん私がいました(笑)!

――『君に届け』はもともと原作を読んでいたとか。マンガやアニメはファンタジー系が好みとうかがいましたが、恋愛ものも好きだったんですか?

 大好きです。『君に届け』は小6から中1の頃に読んでいて。クラスで流行っていて、「風早くんがカッコ良すぎる」という話をみんなでしていました(笑)。見た目も性格もすごくいいですよね。

――主人公の爽子を演じることになって、改めて読み返すと印象が変わった部分もありませんでした?

 純粋に楽しんで読んでしまいましたけど(笑)、友情とか恋とか、いろいろなことが繊細に描かれていると思いました。日常の中にある幸せを、改めて実感できる作品だなと感じます。

――名作だけに主演のプレッシャーもあったり?

 もちろんありましたけど、あまり考えないようにしました。私なりに精いっぱい爽子に近づけたらと思って頑張りました。

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

感情が表に出なくても芯が強いことを意識して

『別冊マーガレット』で連載されていた椎名軽穂の代表作が原作の『君に届け』。高校1年の黒沼爽子(南)は長い黒髪と青白い肌から「貞子」と呼ばれ、クラスで孤立していた。明るい人気者の風早翔太(鈴鹿央士)だけが、爽子が人の嫌がる作業を引き受けていることを知っていた。彼と接して他のクラスメイトとも徐々に打ち解けていく爽子。風早への気持ちにも変化が……。

――王道の恋愛ものは初めてということで、こういう作品ならではの演出もありました?

 原作があったので、胸キュンシーンも原作と照らし合わせながら、進めていった感じです。

――演じていてキュンとなる場面も?

 席替えをするとき、他の人が嫌がっていた爽子の隣の席に、風早くんが番号を交換して来てくれたところは、マンガでも好きでした。鈴鹿さんが演じる風早くんの笑顔がさわやかで、すごく救われました。

――事前に恋愛系の作品を参考に観たりはしました?

 あまりしなかったです。

――今回に限らず、役作り的なことはしないんでしたっけ?

 自分でしたことはないかもしれません。でも、監督とお話は重ねました。

――監督からはどんなことを言われたんですか?

 最初のほうで「もうちょっと意思がある爽子で」と言われました。周りから見たら爽子は暗くて、感情があまり表に出ない子ですけど、自分の中には芯があって。「もっと強くていい」ということでした。

――爽子の見た目や振る舞いで意識したこともありますか?

 シーンごとに、動きとか目線とか語尾は原作を参考にしました。背筋はいつもシャキッとするようにしていました。

想いをはっきり人に伝えられるのが素敵だなと

――爽子に関して「真っすぐな想いに私自身も動かされることが何度もあった」とのコメントがありました。

 爽子ちゃんは意外と自分の想いをはっきり人に伝えられるので、そこはお芝居をしていても素敵だなと思いました。

――南さん自身と通じるところも?

 私もはっきり言うタイプではあるんですけど、爽子ちゃんほど真っすぐではなくて(笑)。周りから暗いと言われることがあるのは、共通点かなと思います。

――今回、泣くシーンも多いですよね。涙が止まらない、溢れる……とか。

 気持ち的に大変な部分はありましたけど、それほど気にしてはいなかったかもしれません。

――リハーサルから自然に涙が出たり?

 そんなことはないです。やっているうちに、だんだんそうなっていったと思います。

――昔の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』でも印象的な号泣シーンがありましたが、普段は涙もろいほうですか?

 涙もろいです。最近だと、YouTubeで流れてきた犬の動画を観て、すごく泣きました。捨て犬にごはんをあげていたら、お返しを毎日してくれるようになったというお話で、号泣レベルでした(笑)。

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

高校生が制服で遊んでいるのが羨ましいです

――南さんは『君に届け』で描かれているような青春は経験しましたか?

 全然なかったんですよね(笑)。だから、街で高校生の人たちが制服で遊んでいるのを見ると、すごく羨ましい気持ちになります。

――劇中では高校3年間が描かれていて、イベントごともいろいろ出てきますが、そういう思い出もないですか?

 体育祭とか参加したことがなくて、みんなでひとつのことを頑張るのが楽しそうだなと思いました。玉入れや騎馬戦をやりたいです。ストレス解消になりそう(笑)。

――爽子は昼休みに友だちと机を付けてお弁当を食べることも、「夢だった」と感動していました。

 私もそういう経験があまりないので、憧れはありました。

――クリスマスとか初詣とか、学校外での行事はどうですか?

南 私はクリスマスは昔から大好きです。去年もツリーを買って、部屋に飾りました。おととしも買ったんですけど、もっと大きいサイズのものにして(笑)。その下にたくさんプレゼントを置いておいて、12月25日に開けて盛り上がりました。ツリーは2月になっても、まだしまわずに飾ったままでした(笑)。

――初詣には行きました?

 年が明けてから、1月10何日とかに行きました。混んでいる間は行きにくくて。

――爽子たちみたいに大みそかの夜から出掛けたりはせず?

 したことないです。そういうのはしたいと思わなくて、寝正月でいいです(笑)。

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

「お芝居しようとしない」ことを大切にしてます

――今回の現場では思い出はできましたか?

 おととしの11月から撮り始めて、ちょうど雪の時期だったんです。鈴鹿さんと私とスタッフさんで雪合戦をしました。でも、すごく寒くて雪が冷たかったことしか覚えていません(笑)。

――学園もので同世代のキャストが多いと、溶け込みやすいですか?

 私は人見知りなので緊張してしまって、話し掛けられるのを待ってしまいます。でも、今回は鈴鹿さんとは『ドラゴン桜』でご一緒させていただいて、友だち役の久間田琳加さんや中村里帆さん、香音さんも『ニコラ』で一緒にモデルをしていて。すごくやさしくしてくださいました。

――爽子は最初、「私も風早くんみたいにさわやかな人になりたい」と言ってました。南さんも誰かみたいになりたいと思ったことはありますか?

 素敵だなと思うのは、やっぱり誰とでもすぐ話せる人ですね。私はできないので。

――他の現場でも、話そうと努力はしているんですか?

 頑張って自分から話そうとするんですけど、うまくいきません(笑)。

――「風早くんの言葉が動くきっかけになる」との台詞もあります。そういうふうに人の言葉に動かされた経験は、実際にありました?

 最初に出演させていただいた『幼な子われらに生まれ』という映画で、監督の三島(有紀子)さんが「お芝居しようとしなくていい」と言ってくださって。「相手からもらったものに対して役を通じて感じたことを、そのまま投げ返しなさい」というお話で、今もすごく大切にしています。

――それが南さんの自然な演技に繋がっているんですね。

 演じ方はずっと変わっていません。

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

朝はアラームを40コ掛けています(笑)

――今回は高校生役でしたが、南さんご自身は6月で21歳。普段、大人モードになってきた部分はありますか?

 今のところ、何も変わっていません(笑)。早く成長したいと思っていますけど、朝も相変わらず起きられなくて、困っています(笑)。

――ドラマ撮影とか、朝が早いことも多いと思いますが。

 携帯のアラームを40コくらい掛けています(笑)。目覚まし時計もひとつ置いているんですけど、鳴っていても気づかないんです(笑)。

――ある意味すごいですけど(笑)。観るアニメや本の傾向が変わってきたりは?

 あまり変わらず、ファンタジーやSFが好きですけど、小説だと『同志少女よ、敵を撃て』が面白かったです。主人公の女の子が強くて好きでした。アニメでは『ぼっち・ざ・ろっく!』がすごく良かったです。

――「陰キャならロックをやれ!」ですね。

 ライブシーンも良いし、主人公のぼっちちゃんが面白くて。ぼっちならではの共感と笑える部分があって、ハマりました。やっぱりアニメを観ているときが、一番の癒しかもしれません。

――映画では最近、面白かった作品はありますか?

 最近、映画は全然観られてないんです。

――『女神の教室』とかで忙しいでしょうからね。

 それもありますけど、家にいるとすぐ眠くなってしまって(笑)。気づいたら、ベッドに入らず寝ていることが多いです。それで、朝は起きられなくて(笑)。

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

何かを抱えている役とは別の挑戦もできたら

――仕事については、南さんは中学時代から演技力の高さが絶賛されてきましたが、自分の中で目指すものが見えてきたりはしていませんか?

 今まで、何かを抱えている役やわりと重い役が多くて。それはそれで楽しいですけど、また違った、経験ない役にもたくさん挑戦したいです。『君に届け』も初めての恋愛もので楽しめましたけど、学生でない役も増えたらいいなと思います。

――4月になると、学生と違って新学期ではないにせよ、新たな気分で何かに取り組もうと思ったりはします?

 運転免許を取りたいです。2年前から言っていて、一向に取れてないので(笑)、春から心機一転でちゃんと考えたいです。

――免許が取れたら、どこかにドライブに行きたいとか?

 飼っている犬を、開けた場所やドッグランに連れていってあげられたらなと思っています。

Profile

南沙良(みなみ・さら)

2002年6月11日生まれ、東京都出身。

2014年に『nicola』モデルオーディションでグランプリ。2017年に映画『幼な子われらに生まれ』で女優デビュー。2018年に映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で初主演。主な出演作は映画『無限ファンデーション』、『もみの家』、『女子高生に殺されたい』、『この子は邪悪』、ドラマ『ドラゴン桜』、『鎌倉殿の13人』、『女神の教室~リーガル青春白書~』など。3月30日より配信のドラマ『君に届け』(Netflix)に主演。

Netfilxシリーズ『君に届け』

監督/新城毅彦、菊地健雄 脚本/宮本勇人

出演/南沙良、鈴鹿央士、櫻井海音、久間田琳加、中村里帆ほか

3月30日から世界独占配信

公式HP

(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京
(c)椎名軽穂/集英社・「君に届け」テレビ東京

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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