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冬の連続ドラマで10代のレギュラーは何人いるか?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『Get Ready!』に出演中の當真あみ(C)TBS

テレビが大人向けにシフトされ、プライムタイムのドラマで学園ものや青春ものがすっかり減って久しい。必然的に10代の俳優たちのレギュラー枠はかなり少なくなった。逆に言えば、その少ない枠にキャスティングされるのは、かつての広瀬すずや浜辺美波らのように有望である証しでもある。この冬クールに地上波プライムタイムの連ドラで、レギュラー出演している10代の顔ぶれは?

『Get Ready!』の天才ハッカーは仮面ライダーを経て

 法外な報酬と引き換えに、超人的な手術で患者の命を救う闇医者チームを描く『Get Ready!』(TBS系)。その一員の天才ハッカー、通称スペードこと白瀬剛人を演じる日向亘は18歳だ。

 患者のカルテ情報を盗み出し、チームの侵入先などで監視カメラやNシステムをことごとくダウンさせる……という役どころ。いつもルービックキューブを持ち歩いていたり、イスに片膝を立てたあぐらで座ったりと、この手の役らしい変わり者っぽさを漂わせる。

 一方、患者との交渉役のジョーカーこと下山田譲(藤原竜也)の元妻との会話までどこからか聞いていて、冷やかしに来る茶目っ気も。「腕さえあれば世界中のどんな会話もデータも盗めるよ」とうそぶいていた。

 日向はホリプロ所属。藤原や天才執刀医役で主演する妻夫木聡の後輩に当たる。14歳のとき、「ホリプロ メンズスターオーディション」でグランプリに。このときも自己PRで、ルービックキューブの六面揃えを披露した。

 2020年に『姉ちゃんの恋人』に出演。有村架純が演じた主人公の弟の1人の役だった。そして、2021年には『仮面ライダーリバイス』でライダーに変身する三兄妹の次男を演じている。着実にキャリアを重ねて、日曜劇場にレギュラー出演となった。3月17日には初の写真集も発売する。

(C)TBS
(C)TBS

 闇医者チームを追う警視庁特務捜査課のほうのハッカー・久豆番役の川本光貴は19歳。放送が終わった頃の3月22日に20歳になる。2018年の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞。ミュージカル『新テニスの王子様』など舞台を中心に活動してきて、今回がドラマ初出演。

 引きこもりタイプのパソコンオタクという役どころで、闇医者側のハッカーの洗い出しは難航しているが、メッシュを入れた髪でパソコンに向かう姿は存在感がある。

ケーキ店通いの女子高生はネクストブレイクに台頭

 妻夫木が演じるエースこと波佐間永介の表の顔はパティシエ。その店に足しげく通ってはケーキを買い、店の軒先で食べる女子高生・島崎水面役の當真あみは16歳。沖縄出身で、1年前に『妻、小学生になる。』で、男性が憑依していた中学生の小説家役でドラマデビューしている。

 その後、長澤まさみや永野芽郁らも務めた「カルピスウォーター」CMガールの14代目となり、昨年末から公開中のアニメ映画『かがみの孤城』では主演声優を務めた。今クールでは他に、『ZIP!』(日本テレビ)内のショートドラマ『パパとなっちゃんのお弁当』で、藤木直人が演じるシングルファザーの娘というヒロイン。

 さらに、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)では、徳川家康(松本潤)と瀬名(有村架純)の長女・亀姫役に抜擢。16日から「AmiVoice」のCMも流れ始めた。本人はまだあどけなさを残したまま、一躍ネクストブレイク候補の新星として注目を高めている。

 『Get Ready!』の水面はまだ素性が不明で、波佐間に「いらっしゃいませ、じゃなくて、お帰りと言って欲しいな」などと思わせぶりなことを言ったりも。今後ストーリーにどう絡んでいくか、興味深い。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

美少年から『忍者に結婚は難しい』で新境地

 『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)で、伊賀忍者の末裔の草刈悟郎(鈴木伸之)が務める郵便局のインターン、宇良豹馬を演じる藤原大祐は19歳。忍者居酒屋でバイトもしている忍者マニアという役だ。

 藤原は2020年に『おじさんはカワイイものがお好き。』で眞島秀和が演じた主人公の甥役で初レギュラー。美少年ぶりが話題になった。以後、『推しの王子様』、『もしも、イケメンだけの高校があったら』などに相次ぎ出演。

昨年の『純愛ディソナンス』では、吉川愛が演じたヒロインとシェアハウスで同居するフリーター役で、終盤にはキーパーソンとなった。

 端正な印象の役柄が多かったが、『忍者に恋は難しい』の宇良豹馬は暇さえあればスマホを観ていて、堅苦しい常識が通用しないZ世代の自由人。お気楽なお調子者、妙にカンが鋭いところもある役で、新境地を開いている。

 甲賀忍者の末裔の草刈蛍(菜々緒)の妹の雀(山本舞香)が配信するライブ動画のファンで、気づかずに本人と接触もしていて、今後のなりゆきが注目される。

(C)フジテレビ
(C)フジテレビ

『スタンドUPスタート』の企業を目指す大学生は20歳目前

 『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)で起業サークルに入っている大学生・立山隼人役の水沢林太郎は来月早々に20歳になるが、今はギリギリ19歳。主人公で投資会社社長の三星大陽を演じる竜星涼と同じ研音の所属。184cmの長身で『MEN’S NON-NO』のモデルでもある。

 配信ドラマ『17.3 adout a sex』での生物オタクで実はバイセクシャルの役、昨年放送の深夜ドラマ『恋に無駄口』での成績優秀でスポーツ万能、実家は大金持ちながらナルシストで敬遠される役など、クセのあるイケメンを演じて印象を残してきた。『あざとくて何が悪いの?』内の「あざと連ドラ」では女性に翻弄されている。

 今回の立山隼人は、高いビジョンを掲げつつ小心者の一面もあるという役どころ。次の2話で大陽と出会い「スタートアップしよう!」と声を掛けられ、起業を図るようだ。

 草彅剛主演の「戦争シリーズ」第3弾となる『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)。主人公の国会議員秘書・鷲津亨の息子・泰生役で、15歳の白鳥晴都が連ドラで初レギュラーとなっている。

 昨年公開の映画『ぜんぶ、ボクのせい』で、児童養護施設で暮らし自堕落な母親に絶望した役で主演。多くの称賛を浴びて、報知映画賞で新人賞を受賞した。

 『罠の戦争』では1話で何者かに歩道橋から突き落とされ、意識不明の重体に。病院で寝たままのシーンが続きそうだが、序盤でさわやかさが光っていただけに、どこかで意識を取り戻して、ハッピーエンドに繋げてほしい気はする。

『警視庁アウトサイダー』に「国民的美少女」出身の19歳

 様々な秘密が絡み合う『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)では、西島秀俊が主人公の刑事・架川英児役。その行きつけの居酒屋のアルバイト・沙希役で19歳の井本彩花が出演している。

 米倉涼子、上戸彩、武井咲らを輩出した「全日本国民的美少女コンテスト」の2017年のグランプリ。『Get Ready!』の日向亘と共に『仮面ライダーリバイス』に出演して、三兄妹の末っ子で自身もライダーに変身するヒロインを務めた。

 今回の沙希は客あしらいがうまく、地下アイドルでもある役。3話までの出番はほぼ1シーンずつだが、これまでなかったツインテール姿で、さすがの美少女ぶりが目を引く。

(C)テレビ朝日
(C)テレビ朝日

『星降る夜に』に「スカウトキャラバン」出身の18歳

 吉高由里子主演で“年下の彼とのピュア・ラブストーリー”を謳うのが『星降る夜に』(テレビ朝日系)。その10歳下の彼となる柊一星(北村匠海)が勤める遺品整理会社の社長の娘・北斗桜を演じるのは、18歳の吉柳咲良

 こちらは深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみらを輩出した「ホリプロタレントスカウトキャラバン」の2016年のグランプリ。当時、歴代最年少の12歳だった。すぐにミュージカル『ピーターパン』で10代目のピーターパン役に抜擢。昨年まで務めていた。

 ドラマには2021年の『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』でのメイン格の生徒役で初出演。昨年は『未来へのカウントダウン』でボクシング部のマネージャー役。『Get Ready!』の當真あみが主人公役のアニメ映画『かがみの孤城』では、北村匠海と共に準主役の声優を務めた。

 『星降る夜に』の桜は1話では出番がなかったが、聴覚を持たない一星に恋心を抱く役。大人の恋愛物語の中で、アクセントを付けることを担うのかもしれない。

ホリプロHPより
ホリプロHPより

 改めて見てみると、今期のプライムタイムの連ドラの10代レギュラーは8人で、主役級はいない。しかし、大規模オーディションや『仮面ライダー』など登竜門を経ていたりと、やはり将来が楽しみな面々だ。多くはスポットが当たる回があるはずで、どんなインパクトを残して次に繋げるか、期待がかかる。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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