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テレ東深夜から動画再生1億のアラサー結婚ドラマ完結編。岡崎紗絵が「ゴールを決めず自然に辿り着けたら」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会

昨年4月クールにテレビ東京の深夜帯で放送されたドラマ『花嫁未満エスケープ』。今カレと元カレの間で揺れるアラサー女性が主人公で、TikTokに投稿された動画の総再生数が1億回を超えるなど、思わぬ大反響を呼んだ。半年を経て『完結編』がスタート。第2話を前に、この作品が初主演だった岡崎紗絵に、役を通じて考えたことなどを聞いた。

主役として平常心を保つことを意識しました

――年末年始はどう過ごしたんですか?

岡崎 去年は新年早々にバラエティに出演させていただきましたけど、今年はゆっくりできて、紅白歌合戦とかテレビを観たりしていました。

――年末には大掃除も?

岡崎 やる気になって細かくしました。私の中では断捨離をしたはずです(笑)。すっきり整理して、2023年に行けた感じはしています。

――年明けから『花嫁未満エスケープ 完結編』がスタート。もともとは岡崎さんの初主演ドラマでしたが、1クール務めて大きかったことはありますか?

岡崎 意識が変わったところはすごくありました。主演の立場にならないとわからないことは本当に多くて。今まで出させていただいたドラマで、主演の方を近くで見てきたので、どれだけ大変かはわかっているつもりでしたけど、いざ自分がやってみると、見えてなかった部分のほうがたくさんあった感じです。

――それはどんなことですか?

岡崎 現場が毎度スムーズにいくわけではなくて。何かトラブルがあっても、主役が平常心を保って、しっかり立ってないとダメなんだと肌で感じました。たとえばロケをしていると、近隣の音が入って撮影が何回も止まってしまうことは、よくあるんです。そんなときに現場の空気をどう良くしていくか、考えるようになりました。それは必ずしも主役の仕事ではないかもしれませんけど、初めてそんな気持ちになりました。

(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会
(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会

幸せになるには自分の覚悟が要るのはわかります

――主演に加えて恋愛ものも、それまではあまりなかったですよね?

岡崎 そうでした。人の恋愛を応援する役が多くて、「行ってこーい!」みたいに言っていたので(笑)。『花エス』は恋愛に揺れる役で新鮮だったのと、自分にやれるのかなと、ドキドキがちょっとありました。

――キスシーンも最初は緊張したり?

岡崎 それもちゃんとやるのは初めてでした。どういうふうにしたら、きれいに見えるか。カメラがそこにあって、こうしたらこう映る。そういうことを気にしていたので、逆にあまり緊張はしなかったです。

――こういうドラマに出演して、自分の結婚観にも影響は受けました?

岡崎 主人公のゆうはもともと結婚を何となくゴールみたいに思っていたのが、「私は仕事で自分を幸せにしていく」という形で前作が終わったのは、共感できました。結婚が女性の幸せのすべてではないなと。だけど、「一緒にいたらもっと幸せ」と思える人と出会えたら一番というのは、本当にそうだなと思いました。ゴールを決めるのではなく、心が動いて自然に辿り着くのがいいというか。

――最終回では「結婚とは覚悟」という言葉も出ていました。

岡崎 「病めるときも健やかなるときも」は約束でなくて覚悟なんだとは、考えたことがなかったです。でも、振り返るとゆうは「相手が結婚してくれない」とか、委ねてしまっていたんですよね。そうでなくて、自分が選んだ人と幸せになる覚悟を持つという言葉は、スッと腑に落ちる感じがしました。

きれいすぎないのがリアルで良いのかなと

――『完結編』をやる話は、いつ頃出たんですか?

岡崎 撮ったのが前作の放送が終わって半年後だったので、聞いたのは4か月後くらいですかね。みんなで「また集まれたらいいね」と言って別れましたけど、「こんなに早く?」とビックリでした(笑)。

――TVerの見逃し配信やTikTokの再生数の多さを受けてのものだったようですが、そういう反響は放送中から感じていました?

岡崎 周りには観てくださっている方が多くて、たくさん感想をいただいたのは嬉しかったです。でも、ターゲットが20~30代だったのに、TikTokが1億回も再生されたり、10代の方にも観ていただいていて。たぶん制作側も予想外だったと思います。10代と20~30代では考え方が全然違って、「私はこう思う」といろいろな意見が広がったのは、ありがたいことでした。

――視聴者の方に何が刺さったと思いますか?

岡崎 とにかくリアルなんでしょうね、きれいすぎないところが、すごく良いと思いました。登場人物に人間味があって、自分のズルいところもわかっていて。あと、スタートでいきなり、同棲が壊れるところから始まったのも衝撃的で、新しかったですね。30代の先輩から、長年つき合った人と結婚しないパターンは「あるある」「すごくわかる」とよく聞きました。そういう身近さがあったのかなと思います。

(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会
(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会

流されやすかったのが変わりました

全4話で放送される『花嫁未満エスケープ 完結編』。ブランドのデザイナーとして仕事にまい進していた柏崎ゆう(岡崎)は、結婚する友だちの付き添いで行ったドレスショップで、以前ナンパされたと勘違いした作良亮介(井上祐貴)と会う。

――『完結編』の台本を読んで、展開は予想と比べていかがでした?

岡崎 驚きはありました。前作と違っていたのは、ゆうが自分から幸せを掴みにいっているところですね。作良さんと出会って、いろいろ障害があって、気持ちのすれ違いもあるんですけど。

――ウェディングドレスのデザイナーの作良は、小さい娘がいるシングルファザーです。

岡崎 普通の恋愛とは違いますよね。相手とつき合っていくことと同時に、子どもとの関わりも大事になる。そこはゆうもすごく考えていたと思います。

――2話の予告編の最後にある、作良に「私に流されてください」と訴えるシーンは、ゆうが前作と変わった部分が出ているようですね。

岡崎 前作から「流されやすい」と言われていたゆうが、自分からグイッと行って。変わったことがわかりやすいシーンだと思います。

――そこの撮影はスムーズに行ったんですか?

岡崎 監督とも井上さんとも、すごく相談しながらやりました。物理的な距離感とか、その直前にはお酒を飲んでいた流れとか。おちゃらけていたところから気持ちがスッとなる切り替えを、一番やりやすい形で探っていく感じでした。

寄りかかりすぎないのが大事だと思います

――1話では、ゆうが作良のデザインしたウェディングドレスを試着して、「素敵すぎて花嫁になりたいと思っちゃったんです」と言ってました。女性としては、そんな気持ちになるものですか?

岡崎 憧れではありますよね。何度も着られるものではありませんし、あそこでは結婚する友だちがドレスをデザインしてもらっていて、自分も高まっていたと思います。

――女優さんだと、何回も着てはいますよね。

岡崎 確かに着る機会は多いです。それでも毎回「おっ!」という気持ちになります。今回は本物のデザイナーの方のお店で撮らせていただいて、ドレスがいっぱいあったんです。アンティークレースの今ドキというより由緒ある感じのものは、またテイストが違っていて。きれいだなと気持ちが上がりました。

――『完結編』まで撮って、改めて結婚に大事だと思ったことはありますか?

岡崎 寄りかかりすぎないのが大事かなと思いました。結婚は絶対的な味方が増えることだと、ある方から聞いて、自分が安心できる場所ができるのはとても良いなと。でも、もともと他人同士で、何もせずにわかり合えるわけではなくて、気を抜いてばかりだと傷つけてしまう。家族でもそうですよね。だから、相手への思いやりを持ち続けていたら、長く一緒にいられる気がします。

(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会
(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会

髪はしばらくショートでいたいです

――見た目的には『花エス』の前作と比べて、『完結編』のゆう=岡崎さんは髪が少し伸びていますね。

岡崎 伸びました。現場で「大人っぽくなったね」と言われてました。

――でも、岡崎さんはもともとデビューした頃はロングでした。

岡崎 ずっと長かったです。

――また伸ばそうとは思っていませんか?

岡崎 昔くらいまで伸ばすには、2~3年かかるんですよね。人生の中ではロングの時間のほうが長かったので、もうしばらくショートでいたい気持ちです。

――近況だと、アニメは最近も観ているんですか?

岡崎 最近、また1作観始めました。『サマータイムレンダ』という作品で、人から薦められたんです。王道のファンタジーで、ざっくり言うと、ある島で主人公が“影”という存在と戦うお話で、すごく面白かったです。

自分にどんなイメージの役が来るのか楽しみ

――実写の映画やドラマは何か観ましたか?

岡崎 ちょっと前に『トップガン マーヴェリック』を観にいきました。元の『トップガン』が大好きだったんですけど、『マーヴェリック』は良すぎてワンワン泣きながら観ていました(笑)。本当にカッコ良かったし、オープニングで流れる『デンジャー・ゾーン』が原曲と全然違って、エンジン音とかいろいろなものと重なりながらパワーアップしていて。「うわーっ!」となって、テンションアゲアゲでした(笑)。

――『トップガン』は36年前の作品で、岡崎さんは生まれる前でしたが。

岡崎 たぶん親の影響でテレビ放送で初めて観たんだと思います。私は飛行機や船が好きで「カッコいい!」となって。そこからの続編だったので「そんなことある?」となって、映画館に観に行きました。

――映画館は久しぶりだったとか?

岡崎 はい。最新の技術で音も映像も臨場感がすごかったです。大画面で観る迫力も楽しめました。

――岡崎さんも『花エス』を完結編までまっとうされて、次の主演作はどんな役か、予想や希望はありますか?

岡崎 主演できるのは本当にすごいことなんだと今回わかったので、任せていただけるなら何でも全力で頑張るだけです。それに、『花エス』もほぼ初めての恋愛ものでの主演でしたから、自分にどういうイメージを持たれているのかわからなくて。どんな役を振っていただけるのか楽しみにしながら、そんな日が来るように自分を磨いておきたいです。

――それこそ『トップガン』みたいな乗り物系のアクションが来たら?

岡崎 マーヴェリックの生徒みたいになっているかも(笑)? だったらもう、何でも頑張って操縦しちゃいます(笑)!

T-TRIBE提供
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Profile

岡崎紗絵(おかざき・さえ)

1995年11月2日生まれ、愛知県出身。

「ミスセブンティーン2012」に選ばれ、「Seventeen」モデル卒業後の2016年から「Ray」専属モデルに。女優として2015年に『脳漿炸裂ガール』で映画デビュー。主な出演作はドラマ『パーフェクトワールド』、『教場Ⅱ』、『ナイト・ドクター』、『ドクターホワイト』、『花嫁未満エスケープ』、映画『ReLife』、『午前0時、キスしに来てよ』、『mellow』、『シノノメ色の週末』など。ドラマ『花嫁未満エスケープ 完結編』(テレビ東京ほか)に出演中。

ドラマ25『花嫁未満エスケープ 完結編』

テレビ東京ほか/金曜24:52~

公式HP

(C)「花嫁未満エスケープ 完結編」製作委員会
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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