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今夜から『新・信長公記』でヒロインの山田杏奈。プライム帯の大役が続き「同じままではいられませんから」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/河野英喜 ヘア&メイク/菅長ふみ(Lila) スタイリング/武久真理江

信長、秀吉、家康ら名だたる戦国武将のクローンたちが集まった2122年の高校で、天下獲りが繰り広げられるドラマ『新・信長公記』が今夜スタート。彼らと同じクラスの歴史オタクの女子役で、山田杏奈が出演する。前クールの『未来への10カウント』、『17才の帝国』に続くプライムタイムのドラマでのヒロイン。映画での陰のある役で注目された時期もあったが、より大きな存在へ飛躍しそうだ。

世界史を選択していたので武将は勉強中です

――歴史や戦国武将には、もともと興味あったんですか?

山田 学生時代に勉強したぶりで、全然詳しくないです。取材で「好きな戦国武将は誰ですか?」と聞かれると困りました(笑)。撮影しながら勉強しようと思っています。

――杏奈さんは学生時代に勉強も頑張っていたそうですから、そこで覚えたこともありませんでした?

山田 高校では世界史を選択していたんです。日本史は中学で止まっていて、ほぼ覚えてないんですよね(笑)。武将というと、よく見る肖像画のイメージで、ファンタジーみたいに感じていました。

――ちなみに、好きな教科は何だったんですか?

山田 英語ですね。世界史も好きでした。でも、卒業して勉強しなくなると、一気に忘れてしまいます(笑)。数学でも計算は電卓でどうにでもなるから、筆算のやり方はわからなくなっていたり。それもまずいので、今は1周回って、また勉強をしたくなっているところです。

教科書にない裏話から親しみを持ちました

――そういう意味でも、『新・信長公記』はいい機会かもしれませんね。

山田 私が演じるみやびは歴史オタクの役なので、「川中島の戦いですね」みたいな台詞が出てくると、ちょっと調べて「なるほど」と思ってます。

――劇中では、学校の試験には出ないような、武将たちのエピソードも織り込まれています。

山田 信長がダジャレ好きとか、伊達政宗が変装好きとか、そういう裏話みたいなことは全然知りませんでした。教科書の字面だけ追うより親しみを持って、武将を見られるようになりました。

――人間味を感じますよね。

山田 勉強でも、そういう余計なことばかり覚えていた時期がありましたけど(笑)。みやびがクローンの武将たちとクラスメイトとして接していく中で、本人たちに興味を持っていくのは、面白い作りだなと思います。

――クランクインの日に、杏奈さんがダンゴ虫を見つけて喜んでいて、信長役の永瀬廉さんを驚かせたと聞きました(笑)。

山田 大きいダンゴ虫がいたので、初めてご一緒する永瀬さんに「こんなのがいました」とお話ししました(笑)。信長は変なところもある役で、永瀬さんがどう演じるんだろうと思っていたら、力の抜き加減がすごくお上手で。最初から信長の雰囲気を掴んでらっしゃって、すごいなと感じました。

時代劇口調は自分の言葉として言えてます

――ドラマのみやびは、原作にはない面がありますね。

山田 クラスで唯一の普通の高校生という立ち位置は原作通りですけど、口調が「母(はは)様」とか「行って参ります」とか時代劇調です。最初、台本を見て「どうなるんだろう?」と思っていたら、現場では他のキャラクターの個性がすごいので、みやびはそれくらいでちょうどいい感じでした(笑)。

――古風な口調も馴染みましたか。

山田 時代劇をしっかりやったこともありませんし、「ございます」とか「なりません」のような台詞は覚えにくくて、口に出して練習しています。でも、思ったよりスラスラと言えていて。みやびの人間性に近づけて、ちゃんと自分の言葉として言えている気がします。

――みやびの人物像の軸はどんなところに置いていますか?

山田 決めたことを曲げずに突き進みながら、やさしい目で周りを見守っているのは素敵だなと思います。衣装合わせのとき、監督と初めてお話しして、私がいつもフワッとしたしゃべり方をしてしまうのを、「それ、いいね」と言われました。みやびは力の抜けたような話し方をするときもあれば、武士の心で「おやめなさい!」みたいに言うときもあって。そのメリハリは自分で演じながら、面白いなと思います。

真面目にやるほど面白く見えるので

――みやびは肝が据わっていますよね。不良たちに囲まれても、自分で火の粉を振り払おうとしたり。

山田 肝はめちゃめちゃ据わっています。でも、「振り払わなければいけません」と言って、取り出したライトセーバーが点かなくて「あれ?」となったり。そういうコメディ調の演技はあまり経験なくて、難しいと思いながら、真面目にやるようにしています。

――コメディ調と言っても、笑わせる計算をするのではなく?

山田 面白くしたいとは思ってますけど、真面目にやればやるほど面白くなることはあると思うので。そのバランスはいつも、監督と相談しながら探しています。

――コメディを観るのは好きなんですか?

山田 あまり観ないかもしれません。観るときはただ「面白いな」となってしまって。この現場で他の役者さんのお芝居を見させていただくと、思わず笑ってしまいます。その中で「こうするのか」と考えて、模索しているところです。あと、みやびは相手が子どもでも理事長でも、変わらず真っすぐもの申すのもいいなと思います。

――最近、高校生役が続いていますが、みやびも15歳で高1の設定です。

山田 でも、すごく落ち着いている子なので。高校生役をやるときは、ちょっとテンションを上げないといけないところがありますけど、みやびは年齢に重きを置かず、「こういう子なら何をどう感じるか」というほうを考えます。

街で声を掛けられることが増えました

――前クールでも『未来への10カウント』に『17才の帝国』とプライムタイムのドラマにレギュラー出演して、反響は感じましたか?

山田 街で声を掛けられることが増えました。SNSのフォロワー数が増えるのは数字でしか見られませんけど、実際にそうやって人に声を掛けられると「わーっ……」となります。

――「山田杏奈さんですか?」と言われるんですか?

山田 はい。でも、反射的に「違います」と言ってしまいます(笑)。それは本当に申し訳なくて、気をつけようと思っていますけど、今までそういうことはまれにしかなかったから、ビックリしてしまって。

――どんな人に声を掛けられました?

山田 女の子が多くて、嬉しいです。

中身が伴うように自分が変わっていかないと

――杏奈さんは12歳でデビューして、映画でエキセントリックな役が増えた時期を経て、今また転換期に入っている感覚もありますか?

山田 どうなんですかね? 仕事への向き合い方はあまり変わっていませんけど、やらせていただく仕事はちょっとずつ変わってきていますし、自分も変わらないといけなくて。私だけの力でなくタイミングもあって、いろいろな仕事をやらせていただけるのはありがたいです。でも、中身もちゃんと伴うように自分が追いついていきたいと、いつも思っています。

――多くの人に観られるほど、ただ喜んでばかりもいられないと。

山田 新しい仕事が決まるたび、嬉しいけど「できるかな?」と思います。毎回そこであれこれ考えながら、ずっと続けてきている感じです。

――映画での陰のある役と、今回のようなドラマで、演技的な違いはありますか?

山田 作品による違いのほうが大きいかもしれません。役への取り組み方は映画でもドラマでも変えていないつもりです。ただ、今回はコミカルなタッチの作品ということで、役の見せ方は変わってくる気はしています。

楽しくても知ってもらわないと続けられないので

――よりメジャーな女優を目指す意欲はあるんですか?

山田 メジャーになりたいというより、メジャーでないと食べていけないですよね。仕事を続けていくために必要なこと、という認識です。いくらお芝居が楽しくても、皆さんに知ってもらわなければ続けていけないので。

――杏奈さんのインスタに、ファンの方から「どんどん有名になっていくのが寂しい」というコメントがありました。

山田 そういうふうに言ってくださる方がいるのは嬉しいです。でも、有名になっていかないと、観ていただくこともできなくなる。ずっとこのままでいるわけにはいかない、という気持ちです。

――メジャーになるに連れて、5月の阪神×楽天戦での始球式のような仕事も増えていきそうですね。

山田 あれは嬉しかったです。家族が野球好きで、弟は小、中、高と野球部だったので、始球式はいつかはやりたいと思っていました。でも、まさか甲子園球場になるとは、ビックリしました。お芝居に軸足を置きつつ、そういう仕事もやらせていただけるのは楽しいですよね。

――女優としての自分の成長も実感できていますか?

山田 何点とか出るわけではないので、難しいですね。私はまだ、現場で監督から「こうしたほうがいいんじゃない?」と言ってもらえる立場ですけど、だんだんキャリアを重ねて言われなくなるのかと思うと、恐ろしくて仕方ありません(笑)。自分で自分の芝居を判断するのは、私には難しくて。人の目がないと、どんな演技をしているのか、わからなくなってしまいそう。ずっと誰かに注意され続けたいです。

夏というだけでハッピーな気分になります

――『新・信長公記』が放送される夏は、好きな季節ですか?

山田 夏はいいですよね。本当の夏に入る前の6月くらいが一番好きです。そこまで暑くもなくて。暑いのはそんなに好きではないですけど、夏は陽気なイメージがあるじゃないですか。つられて気分的にちょっと明るくなるので、夏という事実だけでハッピーな気がします。

――海やお祭りに行くノリもありますか?

山田 海は日に焼けるので、もう10年くらい行ってないと思います。でも、どこかに遊びに行けたら。レジャー的にも夏のほうが充実していますよね。去年はバーベキューに行きましたけど、そういうことも楽しみたいです。

――ドラマの撮影も頑張りつつ。

山田 そうですね。結局は現場にいる時間がほとんどになると思うので、戦国武将と良い夏を過ごせたらと思います(笑)。

撮影/河野英喜 

Profile

山田杏奈(やまだ・あんな)

2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。

2011年に「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞。女優デビューして、2018年に映画『ミスミソウ』で初主演。主な出演作は、映画『小さな恋のうた』、『ジオラマボーイ・パノラマガール』、『名も無き世界のエンドロール』、『ひらいて』、『彼女が好きなものは』、ドラマ『新米姉妹のふたりごはん』、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、『未来への10カウント』、『17才の帝国』など。7月24日よりスタートのドラマ『新・信長公記』(日本テレビ系)に出演。

『新・信長公記-クラスメイトは戦国武将-』

日本テレビ系/日曜22:30~

公式HP

日本テレビ提供
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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