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中村ゆりの珍しく明るい役は素に近い? 「甘やかしてくれる男性はいいですね(笑)」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)「今夜はコの字で2」製作委員会2022

中村ゆりが2年前、連続ドラマの初主演を務めた『今夜はコの字で』のSeason2がスタートする。大学の後輩にコの字型のカウンターがある大衆酒場を紹介する役どころ。いつになく明るいキャラクターへの取り組みと、放送を前に40歳を迎えての心境を聞く。

メイドバニーはもうやりません(笑)

――『今夜はコの字で』の前作は、中村さんが“37歳で民放連ドラ初主演”と話題になりました。中村さん自身にはこの作品で、それまでにない感覚や反響があったりはしましたか?

中村 続編ができることを情報解禁してから、「こんなにたくさんの方が待っていてくださったんだ」という反響を感じました。撮っているときはみんなで力を合わせて作るだけで、主役でも全然変わらないですね。

――妄想シーンでメイドバニー姿も披露されました(笑)。

中村 自分でビックリしました(笑)。やることになって「頑張ります」という感じでしたけど、あれで最後にしてほしいです。もうやりません(笑)。

――それは別にしても、あれだけ笑顔の多い中村さんは、ドラマではあまり観なかった気がします。

中村 そうですね。ただただ明るい役はあまりなかったので。

――むしろ素には近かったり?

中村 『コの字』のほうが自分に近いかもしれないですね。お酒も楽しく飲む派です。監督が何度もお仕事してきた方なので、普段の私の姿をずっと見てくださって、キャラクターを近づけてくれたのかなと感じました。

――普段はああいう大阪弁が出ることもあるんですか?

中村 関西人が1人でもいると、つられてモロに出ますね。

「一緒に飲んだら楽しそう」と思えるように

――演じるうえではそういう役のほうが、たとえば『ただ離婚してないだけ』の観ていても苦しくなる役より、気持ち的には楽なものですか?

中村 お芝居をするうえでは、そんなに変わらないです。『ただ離婚してないだけ』は極端にいろいろなものを抱えた役でしたけど、役者として演じるのは楽しさしかなくて。『コの字』はおいしいものを食べさせてもらえるのが嬉しくて(笑)、ご褒美みたいな仕事ではありますけど、お芝居はいつもと変わらず必死です。

――『コの字』の田中恵子を演じるうえでは、どんなことに力を入れているんですか?

中村 後輩の吉岡くんに厳しいことを言うけど、ちゃんと導いてあげられる優しい先輩でもあるので、そのあんばいは意識しています。ただの上から目線の人には見えないようにしよう、とか。あとは、「この人と隣りで飲んだら楽しそう」と思ってもらえる明るさは、原作以上に出したいと考えています。

――前作でも柔らかい表情が印象的でした。

中村 Season2になると、(吉岡役の)浅香(航大)くんと私の関係性や、役としてのキャラクターが出来上がっている中で撮影に入ったので。よりフラットな状態でお互いの言葉に反応して、そういうお芝居ができている気がします。

――飲んでいるときの恵子は、率直に言って、すごくかわいらしく思えました。そういうのは自然に出たものですか?

中村 逆に、かわいくなりすぎないようにしました。メンズと2人で飲みに行ってますから、女性から見て鼻につかないようにしたくて。だから、男っぽいキャラにも振りました。

こぢんまりとしてコスパがいい店が好きです

――前作のコの字酒場のシーンは、実際にお酒を飲んで撮っていたんでしたっけ?

中村 最初あんばいがわからなかったので、飲んでやってみたんですけど、全然ダメでした(笑)。

――酔いが回ってしまって?

中村 そうですね。もう仕事をする気をなくしたような状態になってしまって(笑)、私はそんな器用にできないとわかりました。午前中に飲んでしまうと、もう持ちません(笑)。今は役者それぞれの選択でいいということで、みんなは楽しく飲みながらやってますけど、私は控えています。

――中村さんも恵子みたいに行きつけの店があったり、開拓していたりは?

中村 行きつけもありますし、お店を開拓するのも好きです。おいしいお店を探しては行ってみたり、地方で仕事があるときは食べログを見ておきます(笑)。

――好きなお店の傾向はありますか?

中村 こぢんまりしていて、料理がおいしくて、コスパがいいお店ですね。

――一流女優さんだと、高級レストランに行くものかと思ってました。

中村 連れて行ってくれるなら「行く行く!」って感じですけど、自分で行くかとなると、ケチってしまいます(笑)。でも、いいお店でもランチだと半額くらいで食べられるので、そういうぜいたくはたまに友だちとしています。

キャリアアップして人生が楽しいだろうなと

――Season2の1話では、吉岡が2年ぶりにコの字酒場に行って涙ぐむ場面があります。コロナ禍のあとで、ああいうのはわかりますよね。

中村 ちょっと緩くなって、飲みに行けるようになるかと思ったら、またストップ。最近はその繰り返しですよね。あまりストレスになると良くないので、私は別の小さな楽しみを見つけるようにしています。何でも宅配してくれる時代になりましたから、家で飲んで「今日はアレを取ってみよう」とか。お取り寄せもいろいろ楽しんでいます。

――劇中では、恵子は2年間、イタリアに料理修行に出ていた設定です。

中村 また確実にキャリアアップして、前はなかった新たな探求心も出てきて。今は人生が楽しいんだろうなと思います。

――恵子のフードコーディネイターの部分のために、準備したこともありました?

中村 もともと料理はしますし、劇中では難しい行程を見せるわけでなくて、本物のフードコーディネーターの方が用意してくださいますので(笑)。Season2で恵子さんが作る新たな料理もさらに素敵なので、楽しみにしてください。

――中村さんはどんな料理を作るんですか?

中村 何でも作ります。お店でおいしかったらマネしてみたり、友だちが作ってくれた料理のレシピを聞いたり。一番手っ取り早くて、よく作るのはパスタです。夜は簡単にお豆腐を温めてポン酢で食べたりしています。

男女の関係性の価値観が変わりました

――前作から、恵子は吉岡のことをどう思っていると捉えていますか?

中村 Season1では、結構ひどいなと思うところもありました(笑)。自分には彼氏がいて、吉岡に若干好意を持たれていることをわかっているのに、週に何度も飲みに行くのはどうなの?と。でも、この2年で私の価値観もいろいろ変わりました。世の中で多様性という言葉がよく使われるようになりましたよね。友だちに「お互い自立していれば恋人同士に捉われず、趣味の合う人たちと別の交流を持てる時代になるかも」と言われて、腑に落ちました。特に日本の女性は、「子どもを産むのが幸せ」みたいな古い価値観は明らかに変わって、男女のあり方もそれぞれでいい。吉岡は恵子と一緒にいれば楽しくて、一線を越えるようなことはないですから(笑)、その関係性は私自身、1のときより共感できるようになりました。

――中村さん目線でも、吉岡は恋愛対象にはなりにくいですか?

中村 そんなことはないです。吉岡くんは常々、恵子さんを否定しないので。男女関係なく外で頑張っている人は、身近な人には肯定してほしいところがあると思うんです。吉岡くんがいつも味方でいてくれることは、恵子さんもありがたみを感じているはず。甘やかしてくれるのがいいですよね(笑)。

――恵子は吉岡のことを「ヘタレ」と言いつつ。

中村 そう言いながら、自分が安らぐんだと思います。肩肘を張らなくていいというか。吉岡くんはヘタレと言われてますけど、すごく包容力のある人なのかなと。

――先輩の女性と後輩の男性のそういう関係もアリですかね。

中村 素敵な関係性だと思います。お互いの仕事を応援し合っていて。

ダメな時期を引き起こしていたのは自分でした

――中村さんは3月に40歳の誕生日を迎えられました。

中村 どんな40代になるか、楽しみですね。30代も楽しかったですけど、経験が増えていくことによって、不安だった部分が埋まっていきます。周りを見ても40代、50代の素敵な女性はたくさんいますから、自分もいい年齢の重ね方をしていきたいです。

――年齢を重ねるのは楽しみでしかないと?

中村 そうですね。ただ、この前、ぎっくり首になってしまって(笑)。朝、いきなり起きられなくなって、仕事の日だったから、すごく焦って急いで病院に行きました。体のケアはさらに必要になってくるだろうなと、ちょっと感じました。

――40歳は不惑、迷いがなくなるとも言われますが、そういう心境にもなってきています?

中村 なりたいけど、わからないですね。人生では予想だにしないことが起きるので。良くないことは起きてほしくないと思いつつ、起きたら乗り越えるしかない。自分がメンタル的に安定していて、体も健康でいられるように、日々を大事に生きていかないといけないですね。ダメな時期を振り返ると、ただただ自分が引き起こしていたことが多いので。

――中村さんにもダメな時期はありましたか。

中村 全然あります。そうならないように、ちゃんとしないと。

昼ドラっぽい話は女性は大好きです(笑)

――女優さんとして、さらなるインプットのためにしていることもありますか?

中村 映画を観るのは、もともと普通に趣味です。家だと集中力がなくて、すぐスマホを見たり、犬と遊んじゃったりするから(笑)、なるべく映画館で観たいんです。コロナでだいぶ減っちゃいましたけど、それでもちょこちょこ観に行っています。

――映画の好みが変わってきたりはしてます?

中村 私はオールジャンル観る派なんです。韓国映画でもハリウッド大作でもアニメでも、興味があれば何でも観ます。

――最近、面白かった作品というと?

中村 濱口(竜介)監督の『ドライブ・マイ・カー』ですね。ああいう緻密な脚本を書かれる監督が日本にいてくれることが、すごく嬉しい気持ちになりました。あと、『ハウス・オブ・グッチ』も観ました。リドリー・スコットが84歳で監督をして、年齢は関係ないかもしれませんけど、すごくスピード感のある展開でカッコイイなと思いました。

――なかなかドロドロした話でしたけど(笑)。

中村 グッチ家のあんな裏話は知りませんでしたけど、昼ドラっぽい展開でしたね。女性は結局そういう話が大好きだから、めっちゃ楽しめました(笑)。お金と権力にまみれたら、人はこうやって変わるんだなと。でも、ちゃんと人間ドラマも描かれていて、とても面白かったです。

役にしか見えないところに毎回持っていけたら

――「メンタル的には安定したい」とのことでしたが、女優業でのチャレンジは続けていくんですよね?

中村 もちろん。どんな役者さんでも、お芝居するのが怖い時期はあると思うんです。私にもありましたけど、それは結局、自分の準備の足りなさや勉強不足から来ていたことも多くて。そういうところをもっともっと勉強していきたいです。最近ふと思ったのが、「私は演技の上手い女優になりたい」ということです。

――40歳にして改めて?

中村 昔から思っていて、そのためにできることが、もっと自分の中にあるはず。シンプルに上手な演技を追求していけたらと思います。

――演技が上手いというのは、観る人の心を動かせるとか?

中村 その役の人物にしか見えない、というところまで持っていけることですかね。自分にとって腑に落ちるお芝居というのは、心から出てくるもの。「こうしよう、ああしよう」とは考えていない。その場にいれば、役の気持ちになれる。お芝居の楽しさと充実感は、そんな瞬間にあります。いつもそれくらいに持っていけたらいいですね。

――それは役者さんにしかわからない感覚なんでしょうね。

中村 その先にリアリティがあります。でも、お仕事では自分が全然リアリティを感じないアプローチをしないといけないことも、たくさんありますから。得意なことばかりやっていてもダメ。年齢を重ねると、いろいろなものを求められますし、両方できたら最強だと思います。難しいことですけど。

――深いですね。

中村 自分に足りないものは自分が一番わかっていて、出来上がった作品を観ると、毎回「私のここが甘い」というところがあります。そこをどうにか、誰にも甘いと思われない仕上がりにしていこうと思っています。

(C)「今夜はコの字で2」製作委員会2022
(C)「今夜はコの字で2」製作委員会2022

Profile

中村ゆり(なかむら・ゆり)

1982年3月15日生まれ、大阪府出身。

2003年に女優デビュー。2007年に映画『パッチギ!LOVE&PEACE』で全国映連賞女優賞などを受賞。主な出演作は映画『ディアーディアー』、『影に抱かれて眠れ』、『影踏み』、『愛のまなざしを』、ドラマ『今夜はコの字で』、『ただ離婚してないだけ』、『SUPER RICH』など。4月9日スタートのドラマ『今夜はコの字で Seson2』(BSテレ東)にW主演。舞台『広島ジャンゴ2022』に出演。4月5日~30日/Bunkamuraシアターコクーン、5月6日~16日/森ノ宮ピロティホール。

真夜中ドラマ『今夜はコの字で Season2』

4月9日スタート

BSテレ東/土曜24:00~ テレビ大阪/土曜25:00~

公式HP

(C)「今夜はコの字で2」製作委員会2022
(C)「今夜はコの字で2」製作委員会2022

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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