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『前科者』で有村架純の秘められた中学時代を演じた田畑志真。衝撃の過去をきらめきと涙で見せる

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/S.K.

有村架純が元受刑者の更生を助ける保護司の役で主演する映画『前科者』。その中学時代を演じているのが16歳の田畑志真だ。保護司になった理由が明かされる場面を担う大役で冒頭から登場し、青春時代の光と影を体現した。10歳でデビューして、子役の層が厚い世代の中、様々な作品に出演しながらステップアップ。原石からいよいよ輝き出したのを感じさせる。

高校生になって鬼ごっこをしました(笑)

――去年から高校生になって、JKらしいことはしていますか?

田畑 放課後に友だちと遊びに行ったり、ごはんを食べたりはしています。

――原宿とかに繰り出して?

田畑 私の学校はみんな体力がないので(笑)、最寄りのファミレスに行きます。でも、この前は公園で鬼ごっこをしました(笑)。帰りに急に「鬼ごっこをしよう」という話になって。

――仕事では去年はCM出演が続きました。伊藤園の『1日分の野菜』では、バランスボールに乗ったり、頭に紙パックを乗せたり。

田畑 オーディションでもうまくできました。それで受かったんですかね(笑)。小さい頃から本を頭に乗せて歩いたりしていたんです。紙パックもやったらできちゃって、本番でも2回くらい落としただけで、全然大丈夫でした。

ドラマでの台詞や仕草を学校でマネされます

――10歳から脚本家の野島伸司さんが監修する俳優養成スクール・ポーラスター東京アカデミーに通って、すぐデビューしました。今までの出演作で、特に反響を感じたのは?

田畑 去年の『青のSP』ですかね。学園ものだからか、中学の友だちがたくさん観てくれて、高校に入ってもよく「観てたよ」と言ってもらいました。もっと小さい頃だと、『モンテ・クリスト伯』はやったことがなかった役で、「すごかったね」と言われました。

――『モンテ・クリスト伯』では両親を目の前で殺されたうえに連れ去られる役で、撮影はハードだったのでは?

田畑 ずっと叫んでいたので、次の日は声がガラガラになって喋れなかったです。みんなに「どうした?」と言われました。オンエアを観て、理由をわかってくれたと思います(笑)。

――何かに出演するたびに、学校で話題になった感じですか?

田畑 そうですね。みんなが私の言った台詞をマネしてくれたり。『高嶺の花』では「それな」というときの私の手の仕草が、一時期流行ってました(笑)。

普段の明るさを演技で出すのが難しくて

――自分で特に手応えがあった作品というと、何でしょう?

田畑 『モトカレマニア』ですね。初恋をする役で性格も自分と似てなくて、わからないことばかりだったので、友だちに聞いた話をメモして演じました。とても達成感があって、マネージャーさんにも「良かった」と言ってもらえて、一番印象に残ってます。

――友だちにどんなことを聞いたんですか?

田畑 初歩的なことです。「好きになったら、どんな気持ちになるの?」とか。

――最近では映画『偽りのないhappy end』で、バレエを踊る明るい子かと思いきや、問題を抱えている少女の役でした。

田畑 とても難しかったです。明るいのに闇を抱えている部分をどう見せるか、悩みました。でも、監督には「もっと明るく」と言われたので、そっちのほうを意識しました。

――普段が明るいほど闇が際立つ、ということですかね。

田畑 はい。ただ、撮影していた2年前は、明るいお芝居が苦手だったので、苦戦しました。

――普段の志真さんのままでやればいいのでは?

田畑 本当にそうなんです。普段の私はすごくハッチャけて、うるさいくらいなのに、カメラがあると、どうしても緊張しちゃって。一番難しいところでした。

キラキラした青春に見えるようにしたくて

――15日から始まるドラマ『鹿楓堂よついろ日和』では、1話にゲスト出演。舞台の古民家風の喫茶店に通う天神小鶴役で、原作マンガではツインテールですね。

田畑 私もツインテールにしました。小学1年生以来で、すごく久しぶりでした。

――マンガやアニメも観たんですか?

田畑 アニメを観ました。でも、ドラマではキャラクターっぽくしないで人間味のあるほうがいいと、監督に言われて、素直に明るく演じています。いまだにカメラの前だと構えてしまうところがあるので、頑張りました。

――そして、28日から公開の映画『前科者』では、有村架純さんが演じる主人公の保護司・阿川佳代の中学時代を演じています。

田畑 今の佳代とどう繋げればいいのかわからなかったので、有村さんとお話しして「私はどうすればいいですか?」と聞いたら、「キラキラした青春時代を過ごしていてほしい」と言われました。「楽しい恋愛をしてください」と。それで気持ちが和らぎました。

――同級生の男子と一緒に帰ったり、初々しいときめきが感じられました。その辺はもう、『モトカレマニア』のときのように人に聞かなくても、自然体でできました?

田畑 そうですね。有村さんに言われた通り、全部楽しんでやろうと思いました。撮影したのは中学を卒業する間際で、友だちといろいろなところに遊びに行っていた時期だったんです。普段と同じように楽しむお芝居ができたと思います。

――劇中のように、図書室で男の子に声を掛けられたりは、実際あるものですか?

田畑 そういうのは全然ないです(笑)。私は図書室で本を読んだこともないかもしれません。本を借りたら家で読みます。

――好きな男の子と自転車で帰ったりするのは、女子として憧れます?

田畑 青春ですよね。海沿いを一緒に走ったり。私は自転車は普通に乗れるんですけど、撮影では砂浜だったので難しかったです(笑)。ペダルが重すぎて。

泣くシーンでは頭が真っ白になって

――そういう楽しげな場面がありつつ、佳代が保護司を目指すきっかけとなった事件が起こりました。

田畑 感情的になって、泣くお芝居もあって、そこは本当に難しかったです。監督にたくさんアドバイスをいただいて、ずっとやり続けて、やっと涙が出ました。時間をかけてしまって申し訳なかったです。

――結果的には、悲しみが伝わるシーンになりました。

田畑 最初は悲しい気持ちになることを思い浮かべていたんですけど、そういうことを考えるほうに気を取られてしまって。最後に泣いたときは、頭が真っ白になっていました。

――普段もあまり泣かないほうなんですか?

田畑 涙もろいです。映画を観ていても、すぐ号泣しちゃいます。

――どんなシーンで?

田畑 家族が亡くなるとか、友だちとの関係とか、ラブストーリーとか……全部泣いちゃいます(笑)。でも、特に家族ものには弱いですね。

――『前科者』は試写で観ると、どんなことを感じました?

田畑 大きいスクリーンで観ると、迫力が違うなと思いました。泣いている自分には「このときはすごく大変だった」というフラッシュバックがあって。でも、楽しい恋愛をしている青春の雰囲気は出せていたと思います。

(C) 2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
(C) 2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

演じ方は子どもの頃と変わってきてます

――10歳から仕事をしてきた中で、“子役からの脱皮”みたいなことを考えた時期もありました?

田畑 あまり考えませんでした。でも、演じ方は変わってきているかなと思います。昔はただ台詞を読むだけだったのが、今はちゃんと意味を考えられるようになりました。いつの間にかそうなっていた気がします。

――好きな女優に綾瀬はるかさんを挙げてますが、子役出身で道しるべにしているような人もいますか?

田畑 ひとつ上の学年に芦田愛菜さん、鈴木梨央さん、谷花音さんがいて、作品を観ると勉強になります。鈴木梨央さんとは『青のSP』で共演もさせていただいて、近くでお芝居を見て、やっぱりすごいなと思いました。

――演技力向上のために、日ごろからしていることはありますか?

田畑 人間観察をするようになりました。学校でいろいろな子を見たり、電車の中も楽しいですね。様々なことをしている人がいて。音楽を聴きながら、ノリノリで脚でリズムを取っている人がいると、「好きな曲を聴いて楽しいんだろうな」と思ったりします。

乗馬が得意でアクションをやりたいです

――自分で映画を観たりもしてますか?

田畑 はい、好きです。最近だと『キングスマン』が面白くて。アクションがすごくて、チップが埋められて頭が飛ぶシーンは花火みたいで、ポップすぎて笑っちゃいました(笑)。

――自分でもアクションをやりたいとか?

田畑 やりたいですね。運動はとても好きなので、ああいう映画みたいなアクションができたらカッコイイだろうなと憧れます。

――特技が乗馬なんですよね。

田畑 乗馬、陸上、ダンスをやってました。足が速いかは別として(笑)、陸上は好きです。

――野球観戦も球場に行くくらい好きだとか。

田畑 野球は小さい頃から観ていて、楽しいですね。

――巨人とソフトバンクのファンだそうで、去年はちょっと残念だったのでは?

田畑 残念でしたけど、野球が観られたら何でも楽しいので(笑)。去年の日本シリーズはヤクルトとオリックスだったので、どっちを応援しようか考えました。それで、村上選手が私と同じ熊本出身だったので、ヤクルトにしました(笑)。

闇を持つ役から明るい役まで幅広くできたら

――初詣では、何か願掛けはしたんですか?

田畑 「健康でいられますように」とかですね。初詣はいつも、ちょっと遠い千葉の有名な神社でお参りするんですけど、それより屋台でたこ焼きとかを買って、車の中で食べながら、アウトレットに行くのが田畑家の恒例です。

――「主役ができますように」みたいな願いごとはしませんか?

田畑 そういう仕事関係のお願いもします。「うまくいきますように」と。

――女優としての目標もあると。

田畑 幅広い役を演じられたらいいなと、すごく思っています。闇を持っている役や引きこもりの少女から、明るい役までやってみたいです。

Profile

田畑志真(たばた・しま)

2005年12月24日生まれ、熊本県出身。

2016年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』、『高嶺の花』、『カンパニー~逆転のスワン~』、『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』、映画『偽りのないhappy end』など。1月15日放送のドラマ『鹿楓堂よついろ日和』(テレビ朝日系)の第1話に出演。1月28日より公開の映画『前科者』に出演。

『前科者』

監督・脚本/岸善幸 出演/有村架純、森田剛、磯村勇斗ほか 配給/日活・WOWOW

1月28日より全国ロードショー

公式HP

オシドラサタデー『鹿楓堂よついろ日和』

テレビ朝日系/土曜23:30~

公式HP

テレビ朝日提供
テレビ朝日提供

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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