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中年ホームレスがJKからやり直すと…。『non-no』モデル・鈴木ゆうかがドラマ初主演で人生観も変化

斉藤貴志芸能ライター/編集者
テレビ東京提供

傲慢なお嬢様から中年ホームレスになった主人公が高校時代にタイムリープして、人生をやり直すドラマ『JKからやり直すシルバープラン』。『non-no』の人気モデル・鈴木ゆうかが初の主演を務めている。不安も抱えながら大役に挑み、大量の台詞と格闘する中で、自分の人生についても考え直したという。

普段の自分がやらないことをするのが楽しい

――もともとモデルでデビューして、どこかで女優への意欲も高まったんですか?

鈴木 チャレンジしたい気持ちはずっとあったんですけど、「できるかな? 大変そうだな」と自信がなくて、なかなか踏み出せなかったんです。でも、2年前に事務所の方と話す機会があって、改めてやってみようと思いました。

――自分でドラマは観てました?

鈴木 小学生の頃は8時に寝ないといけなくて、なかなか観られなかったんですけど、初めて観たのが『プロポーズ大作戦』で、すごく面白くて。次の日に学校で友だちと話題になるのも、楽しかった記憶があります。それから、いろいろ観ていました。

――それで、自分も演技をやってみたら楽しかったと?

鈴木 そうですね。自分と違う人になれて、自分なら言わないようなことを言えるのが、楽しいかなと思います。

――今回の『JKからやり直すシルバープラン』でも、そういうことはありました?

鈴木 昔の小百合がお父さんに暴言を吐いたり、友だちにもひどいことをするんです。同級生の体の上に足を乗せて、お札をぶん投げたり(笑)。そういうことはなかなか経験できないので、楽しかったです。もちろん、実際はそんなことはしませんけど(笑)。

――日ごろから、演技力を付けるためにやるようになったことも?

鈴木 作品をたくさん観るようになりましたし、人と会う時間も大切にしています。「こういう人もいるな」とかちょっと観察して、初めての人がいる場所にもよく行くようになりました。今回も47歳の役を演じたので、大人の方に会ったときの記憶を掘り返しました。

――刺激を受けた作品もありますか?

鈴木 韓国ドラマにすごくハマっています。自粛中に『愛の不時着』を観て、最終回はずっと泣いていたのがスタートで、1年に20本くらい観ました。日本とはちょっと違う演出や表現の仕方が勉強になります。最近だと『ヴィンチェンツォ』がすごく面白くて。出てくる女性があまり女性っぽくなくて、47歳の小百合と近いものもあって、参考になりました。

大量の台詞を言えてる未来が見えなくて

話題の社会派コメディ漫画をドラマ化した『JKからやり直すシルバープラン』(テレビ東京系)。鈴木ゆうかが演じる二ノ宮小百合は、富の絶頂を極めた傲慢なお嬢様だったが、バブル崩壊から47歳の孤独なホームレスとなっていた。ある日、公園で気を失って目を覚ますと、高校時代にタイムリープ。悲惨な未来を変えるために、人生のやり直しを誓う。

――『JKからやり直すシルバープラン』での初主演は、演技に自信が付いたところで来た感じですか?

鈴木 まだまだなので、最初は「できるかな?」って不安でいっぱいでした。でも、監督といっぱい話して、共演者も仲良しの方が多かったので、その点は楽な気持ちでできました。

――今までの出演作と違うことはありました?

鈴木 台詞の量がすごく多くて! 最初に台本をもらったときは、自分がこれを言えている未来が見えないくらいでした(笑)。だから、全話撮り終わって、全部ちゃんと言えたのは自信になりました。

――どんな覚え方をしたんですか?

鈴木 とりあえず1回ザーッと読んで、次の日にまた読んで……と小分けにして時間を掛けたら、頭に入りました。私は意外と記憶力がいいんだと、今回発見できて。そういえば学校でも理科や社会は得意で、年号とかは覚えられたのを思い出しました。

47歳っぽさをどう出すか考えました

――演技的にも考えないといけないことは多かったのでは?

鈴木 小百合は見た目は17歳でも、タイムリープしているので、47歳っぽさを出すのは大変でした。手振りを入れたり、最初はスカート丈が短くても気にしないでドカーンと見えてしまう動きをしたり。家でもどうしたらいいか考えました。

――高校生の制服はまだイケますね。

鈴木 罪悪感はありましたけど(笑)、制服を着たらスイッチが入って、恥ずかしさはなくなりました。

――監督からはどんな演出がありました?

鈴木 台詞を言うとき、「やさしい感じにならないように」と言われました。小百合は基本、強い感じなので、普段の私が出ないように。

――素のゆうかさんはソフトな雰囲気ですからね。

鈴木 そこはうまく消せたと思います。声の出し方もちょっと変えて、特に47歳のときはホームレスでもあるので、女性感がないようにしました。

――なかなかOKが出ないシーンはありませんでした?

鈴木 (劇中で人生設計の講義をする)シルバープランの部屋のシーンはテンパりました。台詞量が特に多くて説明をしないといけないし、クリップを張ったり黒板に書いたり、動きもたくさんあって。「ああ、間違えた」ということもたくさんありました。あと、小百合は怒ったり、説教じみたり、楽しいときは盛り上がったり、感情の起伏が激しかったのも大変でした。

お金の運用を考えて無駄遣いも減らしました

――ゆうかさんは現在25歳で、まだ人生をやり直したいと思うことはないですか?

鈴木 ありますね。戻れるなら、0歳からやり直したい(笑)。もっと勉強をしておけば良かったと思うんです。特に英語。旅行が好きで、海外の文化も知りたいので。まあ、勉強は今からでもすればいいんですけど(笑)。あと、芸能のお仕事を始めたのが高校生の頃で、本当はもっと前からやりたい気持ちがあって。父に反対されたときに、もっと強く言っておけば良かったかなと思います。

――小百合を演じていて、今後の人生について考えたりも?

鈴木 すごく考えました。お金のことでも、ちゃんと積み立てていかないと、仕事ができなくなったときに困るとわかったので。運用の仕方を勉強し始めて、NISAやiDeCoをやろうと考えていて、無駄遣いも減った気がします。コンビニにはあまり行かないようになったり。

――コンビニに行くと、無駄遣いをしがちだから?

鈴木 アイスとかグミとかいろいろ買ってしまって、溜め込んでいました。タクシーも結構乗ってしまうので、気をつけないと。

――モデルさんとしては、一番出費するのは服ですか?

鈴木 お洋服やコスメが多いです。でも、この前、ワンピースを1着買うのに、3日くらい迷いました。本当に必要なのか、考えるようになったんです。前だったら即買ってましたけど、小百合が出てきて怒られそうな気がして(笑)。

――このドラマに主演した影響は公私に大きかったんですね。

鈴木 そうですね。健康なのも当たり前に思っていましたけど、そこもちゃんと考えて、食生活から見直しました。ファーストフードをあまり食べないようにして、この前はヘルシーなお鍋を自分で作ったり。白菜と豚肉のミルフィーユ鍋で、簡単なんですけど、野菜を多めにしました。

反抗期はもったいなかったと思います

――小百合はタイムリープして、金持ちで傲慢だった昔の自分を反省しています。ゆうかさんも過去の自分を見直したりはしました?

鈴木 このドラマでは家族の大切さも出てくるんですけど、私は中学生の頃に反抗期があったのが、もったいなかったなと思います。家族との大事な時間だったのに、ひどいことを言ったりしていて。

――どんな反抗をしていたんですか?

鈴木 紙を破いて部屋にまき散らしたり(笑)、嫌がらせみたいなことをしていました。思い出すと恥ずかしいです。お父さんやお母さんに「部屋に入ってこないで」と言ったり、5歳下の弟がヤンチャで取っ組み合いのケンカもしました。でも、高校に入る頃には収まって、今はとっても仲良しです。

――ホームレスだった小百合は「一緒にごはんを食べられたら幸せ」とも言ってます。ゆうかさんは日常の中で、小さな幸せを感じることはありますか?

鈴木 寝ることが好きです。ドラマを撮っていたときはあまり寝られなかったので、終わっていっぱい寝たときはすごく幸せでした。お休みの日は夕方くらいまで寝ているので。

――ペットもかわいがっているんですよね。

鈴木 そうなんです。愛犬のぺろを撮影期間中は実家に預けていたので、なかなかお世話ができなくて。ドラマが終わって迎えに行ったとき、やっぱりぺろといると幸せだなと感じました。ドッグランに行くと私もめっちゃ走って、すごくはしゃぎます。

クランクアップでは涙が止まらなくて

――最初は不安だったという主演ドラマを1本撮って、女優として糧になりました?

鈴木 クランクアップのときは、安心と寂しさで泣きました。最後のシーンは泣いたらいけなかったので、ずっと我慢しながら、ちょっとウルッとしていて。終わったらもう涙が止まらず、目が真っ赤になりました。ここまでやり切ったことはなかったです。

――シルバープランも実践していこうと?

鈴木 そうですね。人脈を大事にして、小百合が言ったように、大人になったからこそ勉強しないといけないなと。今は韓国語を勉強中で、まだそんなにしゃべれませんけど、ハングルを書いたり読んだりはできるようになりました。一段落したら、英語にもチャレンジしようと思っています。いちおう中学、高校と授業は受けていたので、韓国語より覚えやすい気がします

――学校では英語の成績は良かったんですか?

鈴木 とっても悪かったんですけど(笑)、今はやる気があるので、伸びると思います。

――仕事では今後もモデル、女優とやっていくんですよね?

鈴木 はい。『non-no』では大人ガーリーという役割をもらっていて、それは大事にしつつ、他のテイストも着こなせるようになれたら。

――イチ女性としては、20代後半をどう過ごします?

鈴木 華のある女性になりたいです。まだまだ子どもっぽいところがあるので、大人らしくなって、黒いドレスを着こなして、1人でバーに行ったりしたいです。ちょっと方向が違いますか(笑)? いつか1人で海外旅行もしたいので、今の時期に語学力を付けておいて、お仕事もプライベートも頑張っていきます。

Profile

鈴木ゆうか(すずき・ゆうか)

1996年10月1日生まれ、東京都出身。

2014年より『non-no』で専属モデル。2016年に『MARS~ただ、君を愛してる~』でドラマデビュー。主な出演作は『4分間のマリーゴールド』、『おしゃれの答えがわからない』、『ガールガンレディ』、『あざとくて何が悪いの?』(あざと連ドラ)など。『JKからやり直すシルバープラン』(テレビ東京系)に出演中。写真集『ゆうペース』が発売中。

水ドラ25『JKからやり直すシルバープラン』

テレビ東京系/水曜25:00~

公式HP

テレビ東京提供
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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