『仮面ライダーリバイス』でヒロインの井本彩花。国民的美少女がアクションに目覚める
『仮面ライダーリバイス』で主人公の妹の五十嵐さくらを演じている井本彩花。4年前に『全日本国民的美少女コンテスト』のグランプリからデビューして、先月で18歳に。清楚なたたずまいは変わらないが、初の特撮ヒロインとなる今回は空手が得意な役で、怪人とも戦いアクションを披露している。
子どもの頃に変身ごっこをしてました
――女の子には珍しく、『仮面ライダー』シリーズは子どもの頃から観ていたそうですね。
井本 日曜の朝は、戦隊、ライダー、プリキュアと一連で観てました。6歳下の弟がライダーを大好きで録画もして、一緒に観ていた時期もありました。
――よく観ていたのは『仮面ライダードライブ』でしたっけ？
井本 『ドライブ』とか『ウィザード』とか。弟が一番ハマっていたのが『エグゼイド』で、ベルトも持っていました。『鎧武』や『ウィザード』のベルトもあったかな。それで変身ごっこをして一緒に遊んでました。
――自分がヒロインとして出たいとも思っていたんですか？
井本 ヒロイン枠というのは、この世界に入ってから知りました。でも、今回の『リバイス』でヒロインのオーディションがあることを4月ごろに知って、事務所の方から「どうする？」と聞かれたときは、即「受けます！」と言いました。私は今年、高校3年生で、大学進学も考慮してもらったと思いますけど、やっぱりお仕事はやりたいし、自分の将来が懸かっているので。何も悩みませんでした。
――オーディションでは特撮ならではのこともありました？
井本 そういうのは特になかったです。台本を渡されて「ここを演じてください」とか、いつものオーディションと同じでした。面接でも「ハマっていることはありますか？」とか、普通のことを聞かれました。
――マグロ好きなことを話したりしたんですか(笑)？
井本 それは言ったかな？ 2次審査は学校終わりに制服で行った覚えはあります。
オンエアを観て「こういうことなんだ」と
――『仮面ライダーリバイス』の撮影では、今までのドラマでなかったこともありますか？
井本 とにかく朝が早いですね(笑)。私は夜型人間で、夜ふかしすると（午前）3時とかに寝るのが、『リバイス』の撮影がある日は起きるのが3時とかなので。母がそれくらいまで起きていて、私を起こしてくれてから寝てます(笑)。
――特撮ならではということでは、CGが入る撮影も多かったり？
井本 悪魔のバイスがお兄ちゃんの一輝（＝仮面ライダーリバイ）にしか見えない設定で、グリーンバックで空舞台から撮るのは特撮ならではかなと思います。撮影しているときは、どんな感じに仕上がるのか全然想像できなくて。オンエアで観て「こういうことなんだ」となりますね。
――ライダーや敵のデッドマンを間近で見ると？
井本 バイスはかわいいですね(笑)。木村昴さんの声が入ってない状態でも、動きがかわいくて愛おしいです。
――演技的にはこれまでのドラマとの違いは？
井本 今までやってきたことに重ねる感じですけど、さくらは空手少女でアクションが多いんです。最初の頃はアクションシーンがあると、前日から「できるかな……」と不安でいっぱいでした。今はだいぶ慣れて、当日に動きを付けられても対応できるようになって、アクションがすごく楽しくなってきました。
アザができて筋肉痛になっても楽しいです
――怪人のギフジュニアをなぎ倒した3話は、まだ緊張してました？
井本 めちゃくちゃしてました。撮る直前までドキドキでしたけど、何テイクも重ねて撮り終えて、オンエアを観たら「さくら、すごい！」と思って(笑)。そこから、ちょっと自信がつきました。
――ネットでも評判になってました。
井本 「カッコいい」とか「強すぎ」と書かれていて。前日のアクション練習で、監督から「（『名探偵コナン』の）蘭姉ちゃんみたいな感じかな」と言われていたんです。3話の放送後に「蘭姉ちゃんみたい」というツイートもあったので、嬉しくなりました。
――もともと運動はそんなに得意でないとか。
井本 そうなんです。バレエをやっていて体は柔らかいから、脚は上がるんですけど、一連の流れの中でのキレが課題かなと思います。
――何体も続けて倒したりしますもんね。
井本 だから、ひとつひとつの動きはできても、それを流れるように繋げるのが難しくて、ちょっと苦戦しています。
――とはいえ、アクションが「楽しくなった」というのは、爽快感があるから？
井本 演技の中で感情を込めてアクションをやると、怒りとかも発散できて、やり甲斐を感じます。まだ課題はたくさんありますけど、現場で楽しさを実感できます。
――『さくらの親子丼』でケンカのシーンがあったときは、「体じゅうが筋肉痛」とのことでしたが、今回は比べものにならないくらい動いてますよね？
井本 普通にアザはできるし、アクションを撮った次の日は必ず筋肉痛になります(笑)。今回は主に上半身にきます。パンチとかで普段使わない筋肉を使っているからですかね。
男の子っぽい役で芯のあるところを見せたいです
――さくらは3話で友だちを助けるために自分も人質になったり、アクション以外でもカッコいいキャラクターですよね。
井本 お兄ちゃんが2人いるので、男の子っぽいところがあるのかなと思います。かわいいところも見せたいですけど、さくらはやっぱりカッコいい、芯のある女の子として演じていきたいです。
――素の井本さんに通じるところもありますか？
井本 自分と一緒で家族のことが好きなのは、さくらを演じていて感じます。思春期ということもあって、パパさんに対しては、ちょっと冷たい部分がありますけど(笑)。
――小さい頃は「パパと結婚する」と言っていたみたいですけど(笑)。
井本 1話で言われてましたね。その動画を見せられそうになって、「ダメー！」と言って(笑)。五十嵐家は家族で銭湯を営んでいて、私は『リバイス』に出てなかったら、一生銭湯に行ってなかったかもしれないので、いい経験になってます。
――さくら役について、アクション以外にも考えることは多いですか？
井本 考えますけど、現場の空気感やお兄ちゃんたちとのやり取りで生まれる感情を大事にしたいです。家で演技プランを固めすぎないようにしています。
――さくらの思春期という部分も、これから出てくるんですか？
井本 あります。お母さんがデッドマンに襲われて入院して、1人でお見舞いに行くようになってから、「正義とは何か？」と深く考え込むようになるんです。お兄ちゃんも変身してケガして、「仮面ライダーって必要なの？」とぶつかってしまったり。
――井本さんは正義について考えたことは？
井本 ないです。正義は正義だろうと言いたくなります(笑)。さくらはすごく考えちゃう子なんですよね。私はどんなに落ち込んでも、考えすぎないようにしていて。寝たら忘れるので(笑)、ポジティブだと思います。
憧れの人に「好きな食べ物は何ですか？」と(笑)
――ネットでは「さくらもいずれライダーに変身するのでは」とも言われています。
井本 ささやかれていますね。私は何とも言えません(笑)。
――単純に、出演が決まったとき、自分も変身したい気持ちはありませんでした？
井本 もし変身できたら、それはもう自慢ですよね。『仮面ライダー』の歴史に名前を刻めるというのは、考えただけでドキドキです。
――仮面ライダーは子どものヒーローですが、井本さんにとってヒーローというか、憧れの存在はいますか？
井本 この世界を目指したきっかけは武井咲さんです。私はずっとバレエをやってきて、一時期はバレリーナを目指していました。でも、小5くらいで、自分の実力的にその道は厳しいと思って、将来の夢について悩んでいたんです。そんな頃に、たまたまテレビで武井さんのCMを観て、「私もこんなきれいな女性になりたい」と思いました。それから、武井さんが出てらっしゃる映画やドラマを観始めて、中2のときに『（全日本）国民的美少女コンテスト』に応募しました。
――武井さんと会ってもいるんですよね？
井本 何度かお会いしてます。グランプリをいただいた当日、雑誌の表紙撮影を2人でしたのが初めてでした。その雑誌は今も部屋に飾ってありますけど、本当に夢のようで忘れられません。
――話もできたんですか？
井本 私が緊張しすぎていて……。「好きな食べ物は何ですか？」と聞いたのを覚えてます(笑)。なんでそんなことを聞いてしまったのかと思いますけど、武井さんはうどんがお好きだそうです(笑)。
学業との両立は最後までやり通します
――そんな井本さんも先日18歳になりました。
井本 早いですね。18歳というともう大人で、高校も卒業しますから。2年生だった去年はコロナで修学旅行がなくなっちゃったり、残念なこともありましたけど、今は学校も楽しめています。限られた時間を有意義に過ごしたいです。
――『リバイス』の撮影があると、学校に行ける日も少なくなっているでしょうけど。
井本 その中でテストもあって、学業とお仕事の両立の大変さを今すごく感じています。撮影は朝早いし、ロケで遠いところに行くと帰ってくるのも遅いから、勉強時間を確保するのが難しくて。1日をいかに有効に使うかを毎日考えています。テスト前は教科書を現場に持参して、移動中とかに読んでました。
――そういうこともオーディションを受けると決めたときから、覚悟はしていたんですよね？
井本 そうですね。自分が決めたことなので、最後までやり通したいです。
――そういう意志の強さは、さくらとも通じるのでは？
井本 確かに、そこは似ているかもしれません。
――頑張る一方で、高校時代のかけがえなさも感じます？
井本 感じますね。あと数ヵ月しかないんだと思うと、友だちとも遊びたいし、残った時間は本当に貴重です。卒業したくなーい(笑)！ もう1年、高校生でいたいです。
自分のイメージと違うけど武器にできたら
――『仮面ライダーリバイス』ではさくらを1年演じますが、オールアップする頃には、自分がどう変わっていそうですか？
井本 最近、アクション女優が視野に入ってきました。『リバイス』でアクションを経験させていただいているので、1年積み重ねて「いいね」と言われるくらい上達して、将来にも活かせたらと思っています。
――もともと運動が苦手だったのが、そこまで考えるように？
井本 アクションが楽しくなってきましたし、『リバイス』が終わったあとも続けたいと思っています。私がアクションって、イメージと違うと思いますけど(笑)、自分の武器として取り入れたいです。
――確かに、井本さんは清楚な美少女イメージが強い分、本格的なアクションができたら、大きな武器になると思います。あと、『仮面ライダー』シリーズでは、キャストがキャラクターソングを歌うこともありますが。
井本 歌は本当に苦手意識しかなくて、出すことになったら、どうしようかと思っています(笑)。
――アクションと同じで、練習すれば磨けるんじゃないですか？
井本 歌だけは困ります(笑)！ お芝居を観ていただけたらと思います。
Profile
井本彩花（いもと・あやか）
2003年10月23日生まれ、京都府出身。
2017年に『第15回全日本国民的美少女コンテスト』でグランプリ。同年、ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』、『女子高生の無駄づかい』、『さくらの親子丼3』、『桜の塔』など。『仮面ライダーリバイス』（テレビ朝日系）に出演中。
『仮面ライダーリバイス』
テレビ朝日系／日曜9:00～
