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乃木坂46の3期生・中村麗乃が舞台で光る 「グループでは言われないダメ出しに刺激を受けてます」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜

乃木坂46に加入して5年、明日が20歳の誕生日の中村麗乃。3期生の中で舞台出演が相次いでいるメンバーだ。ロケット作りに夢を懸ける少年たちを描くミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』では、主人公のガールフレンド役。もともと演技には苦手意識があったというが、秘められていた才能を開花させつつある。

デビューした頃の映像は幼すぎて面白いです(笑)

――乃木坂46に入った頃の自分の映像を観ることはありますか?

中村 ちょっと前は結構観てました。デビュー当時のレッスン映像を観返したり。

――15歳の自分はどう見えました?

中村 そのときはもちろん一生懸命やってましたけど、今観ると全部が面白いなと思っちゃいます(笑)。(個人PVの)『ちょこれ~の!』とかも幼すぎて。やっぱり5年経つと変わりますね。

――間もなく20歳ともなると、自分でも大人になったと思うところはあります?

中村 知らないことだらけだった昔に比べたら、今は知ってることが増えたと思いますけど、根本的なところはあまり変わってない気がします。あと、カマンベールチーズがずっと食べられなかったのが、今はめちゃくちゃ好きになりました。コンビニとかで買っちゃうアイテムなので、味覚は変わったみたいです(笑)。

アイドルファンでない方からの感想が嬉しくて

――仕事では、舞台に多く出演するようになりました。

中村 それはまったく想像してなかったです。初期の頃は、3期生で『3人のプリンシパル』をやらせてもらったときから、舞台には苦手意識が強くて。『見殺し姫』や『星の王女さま』に出させてもらっても、自分には向いてないと思っていました。

――その後、2019年に『逆転裁判-逆転のGOLD MEDAL-』でヒロインを演じました。他に乃木坂46のメンバーの出てない初の舞台で、演劇関係者から見たら、むしろ女優の素質があっての抜擢だったんでしょうね。

中村 初めてお芝居が本業の皆さんの中で揉まれて、たくさん刺激を受けて、演技を楽しいと感じるようになりました。『逆転裁判』に出会えてなかったら、今どうなっていたか、わかりません。

――あの舞台での麗乃さんはすごく楽しそうでした。

中村 頭のネジが外れたようなズバ抜けて明るい子の役だったので、たぶんそのテンションに引っ張られて、すごく楽しく演じられました。原作のある作品で、乃木坂46のファンでないお客さまからも、「楽しかった」という感想をいただけたのが嬉しかったです。頑張って良かったと、心から思えました。

本気の役者さんたちの姿をお手本に

――『逆転裁判』では、稽古も最初から楽しくできたんですか?

中村 そういうわけではなかったです。お芝居に苦手意識を持ったまま入って、めちゃくちゃ緊張しましたし、メンバーと離れて外の現場であんなに長い期間、 “初めまして”の方たちとご一緒したこともなかったので。最初は怖くて、「ダメだ」と思ったことはたくさんありました。でも、他のキャストの皆さんが、私から見たらできているのに「できない」と突き詰めていく姿が、「こうあらないといけない」というお手本になって。「私も頑張らなきゃ」と、スイッチが1コ入ったように思います。あと、演出家さんに「そうじゃない!」と強く言っていただきました。

――厳しかったんですね。

中村 乃木坂46にいるとあまり言われないようなダメ出しも、ガツンとしてくださいました。自分が稽古でやったことに対して、全部「ここはこうだから」とちゃんと言ってもらえて。お芝居の経験が全然少なくて、1から教えてほしいときだったので、すべてを素直に受け入れて頑張りました。

――厳しいことがありがたかったと。

中村 そうですね。言ってくださって、本当に良かったです。最初の頃は「もうダメだ」と何回も折れてましたけど、周りの方たちの存在が大きくて。本気でまっすぐにお芝居に向かう役者さんたちに囲まれて、めちゃくちゃ刺激を受けました。あの舞台以降、乃木坂46のライブでも、メンバーやスタッフさんから「良くなった」と言われることがたくさんあって、全部が繋がっているように思います。

思ってることを言えないのはわかります

元NASAの技術者の自伝小説が原作で、米ソ冷戦時代のアメリカが舞台のミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』。小さな炭鉱町に生まれた高校生のホーマー(甲斐翔真)は人工衛星の打ち上げを見て、自分もロケットを打ち上げたいと夢を抱き、仲間たちと「ロケットボーイズ」を結成する。ガールフレンドのドロシー(中村)は彼らを複雑な心境で見ていた。

――『October Sky』の物語には、どんな印象がありました?

中村 夢を叶えるお話ですけど、うまくはいかない。挫折したり、いろいろな逆境があって、諦めかける瞬間も出てくるのが、すごくリアルだと思いました。映画も観て、キラキラしているホーマーたちの姿が素敵で、彼らの夢を応援したくなりました。

――麗乃さんが演じるドロシーは、ロケットに夢中なホーマーが自分を見てくれてないように感じて、複雑な想いがあるようです。

中村 ホーマーが頑張っているのを間近で見ているから、応援してあげたい気持ちはもちろんあると思うんです。でも、そっちばかりに目が行ってしまって寂しい想いもわかる気がして。確かに、ちょっと難しいところですよね。ホーマーが好きだからこそ……というのは、ちゃんと理解して演じたいです。

――ドロシーのキャラクターとしては、故郷を愛していて知的な感じもします。

中村 素直な感じの女の子で、私が普段おしとやかなタイプではないので(笑)、できるかなと思いました。でも、私は思っていることを人に話せなくて、自分の中に留めてしまうところがあって。ドロシーがなかなか気持ちをストレートに伝えられず「うーん……」となっているのは、すごくわかります。私が同じ立場でも、きっと「自分が飲み込んでおけばいい」と、何も言えないと思います。

普段と全然違う歌が台詞にもなっていて

――今回のミュージカルで、特に課題にしていることは何ですか?

中村 歌ですね。ミュージカルでここまで本格的に歌を披露したことがなくて、楽しみですけど不安もあって。今まで私がやらせていただいた舞台では、台詞と歌がきれいに分かれていたんです。今回、歌が台詞にもなっているのが初めてで、必死になっています。

――歌自体の難易度も高いんですか?

中村 難しいです。乃木坂46で歌っているような、馴染みやすいJ-POPと全然違っていて。アイドルソングってキーが高めな曲が多いんですけど、今回は私にはすごく低く感じて、声の出し方やノドの使い方が違います。今までやったことのないようなリズムも組み込まれていて、歌う以前に曲を覚えるのが大変。忘れないように、歌稽古で録音した音声を流しなら寝ています。「脳に入れ!」と思って(笑)。

――台詞を覚えるのは、そんなに苦労しませんか?

中村 台詞を入れるだけなら、台本を読み込んでいるうちに覚えられます。私は録音をするようにしていて。自分以外の台詞を録って、自分の台詞だけ間を空けて、繰り返し聴いては読んで、前後も耳から覚えています。

失敗しても恥ずかしいと思わなくなりました

――先ほど「夢を諦めかける瞬間もリアル」というお話がありましたが、麗乃さん自身、そういう経験があったということですか?

中村 たくさんあります。乃木坂46に入ってからも、何度も「向いてないかも」と思って、「もう辞めよう」と思った瞬間もありました。私はうまくいかないことが重なると、全部がダメと捉えて、マイナス方向の沼に入ってしまう悪いクセがあるんです。そういうときは、周りが見えなくなってしまって。

――レッスンでついていけなかったときとか?

中村 私は何でこんなに何もできないんだろう? 他のメンバーは何でもできるのに……という。「私には何もない」と思うことがたくさんあって、たぶん3年前くらいが折れていたピークでした。でも、応援してくれるファンの皆さんの存在に気づいて、「辞めたらダメだ」と思えて、何とかここまで頑張ってこられました。

――舞台出演を通じて、成長できたと思うこともありますか?

中村 私は失敗することや自信のないことをするのを、恥ずかしいと思うタイプだったんです。だから、いつも一歩引いてしまって。今もそういうところはありますけど、間違えても恥ずかしいと思わなくなってきました。一生懸命やったことを誰も笑わないし、何かを頑張ることのほうが大切だと気づけて、考え方が変わりました。

公演中止から1年ぶりの再演に感動しました

――最近だと、コロナ禍で舞台が延期になったりもしました。

中村 出るはずの舞台が4回くらい延期になっているんです。全部稽古はちゃんとしてきて、最初に言われたときは「ウソでしょう!?」とめちゃくちゃショックでした。最近はそういうニュースがたくさん流れてくるので、「仕方ないかな」と思うようにもなりました。

――一方、去年1公演しかできなかった『SUPERHEROISM』が、今年再演されたりも。

中村 再演では全公演完走できて、感動しました。お客さんでも泣いてる方がたくさんいらっしゃって、こんなに待ってくれていたんだなと。1年越しになってしまいましたけど、ちゃんとできて本当に良かったです。

――1年を経て、麗乃さんのお芝居への取り組みも変わりました?

中村 台本を読んだときの感じ方は、ちょっと変わった気がします。もちろん同じ台本ですけど、去年の1公演を観た方が今年も観てくれていたら、きっと印象が変わったと思います。

ソロ曲を一度経験したら気が楽になって

――舞台に上がる前は、緊張はするものですか?

中村 私は舞台も普段のライブも、緊張はあまりしないタイプです。でも、5月の配信ライブでは、ソロで『硬い殻のように抱きしめたい』を歌わせていただいて、とんでもなく緊張しました。心臓が飛び出るかというくらいバックバクで、脚まで震えちゃって。先輩の齋藤飛鳥さんの楽曲で、ライブでソロで歌う機会もめったになかったので、リハから「これは本番が怖いな」と思っていました。それで本番を迎えたら、やっぱり怖かったです(笑)。

――でも、あの麗乃さんのソロは評判になりました。ミュージカルの稽古で歌も鍛えられているのでは?

中村 ミュージカルとは歌い方が全然違いますし、歌は好きですけど、得意だと思ったことは1回もなくて。でも、いろいろな経験をさせてもらって今に繋がっているのは、すごく感じます。あのライブの直後の『SUPERHEROISM』でも1人で歌う場面があって、一度経験していたから、ちょっとだけ気が楽になりました。

本格的なミュージカルのために声を鍛えたくて

――『October Sky』では「私にもこれから叶えたい夢がたくさんあります」とコメントしていました。どんな夢があるんですか?

中村 個人的には映像作品にも挑戦したいです。舞台ももっと頑張りたいですし、新しいこともやっていきたくて。

――自分でも映画やドラマは観ていますか?

中村 時間があるときに、Amazonプライムとかの配信で観ています。世間で話題になった作品とか、急上昇ランキングに出ている作品をいろいろと。

――刺さった作品もありました?

中村 自粛中に『愛の不時着』とか韓国ドラマを初めて観ました。私は字幕は絶対無理だと思っていたんです。耳で台詞を聴きたいタイプなので、集中力が続かない気がして。でも、韓国ドラマは全然そんなことはなくて、気づいたら見入っていて、めちゃくちゃ感動しました。

――女優として、これから磨いていきたいこともありますか?

中村 声を強くしたいです。ミュージカルで歌うとき、地声が弱いと言われることが多いので。本格的にやっていけるように、鍛えていきたいと思います。

20歳でテーブルマナーができたらカッコイイかな

――余談ですが、『乃木坂工事中』の『頭NO王決定戦』で、今回はワースト2位で1位を明け渡しました。

中村 私は舞台の本番期間で、その回の収録に行けなかったんですけど、ぜひ弓木(奈於)ちゃんに3代目として頑張っていただきたいです(笑)。

――残念な気持ちもあるものですか(笑)?

中村 全然ないです。「おめでとう」という気持ちだけです。頭NO王で「おめでとう」というのも変ですけど(笑)。

――2代目頭NO王になって、良いことはありませんでした?

中村 ただおバカキャラが付いただけでした(笑)。私は常識問題みたいなのはできるんですよ。でも、あの企画ではちょっとひねった問題が出るから、難しいんですよね。

――何にしても、20歳ということで、大人の教養も身につけたいところですか?

中村 そうですね。やっぱり20歳というと1コ段階が上がるので、マナー教室に行きたいと思っています。テーブルマナーとかを勉強するために。

――高級レストランで食事をする機会があるから?

中村 全然ないですけど(笑)、単純にできたらカッコイイかなって。そんな場にいつ出くわすかわからないし、お仕事でもお嬢様の役があるかもしれない。そういうときに、スマートにできたらいいなと思います。

撮影/松下茜

Profile

中村麗乃(なかむら・れの)

2001年9月27日生まれ、東京都出身。

2016年9月に乃木坂46の3期生オーディションに合格。個人で『逆転裁判~逆転のGOLD MEDAL~』、『逆転裁判~逆転のパラレルワールド~』、『SUPERHEROISM』などの舞台に出演。

ミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』

10月6日~10月24日/Bunkamura シアターコクーン

11月11日~11月14 日/森ノ宮ピロティホール

公式HP

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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