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元祖あざといアイドル阿部夢梨がSUPER☆GiRLSのリーダーに。「自分大好き」を貫きつつ目指すもの

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/S.K.

結成11周年を迎えたアイドルグループ・SUPER☆GiRLSで、阿部夢梨が6代目リーダーに就いた。早くから“あざとい”を売りにしてきて、4月から女子大生になり、個人でのテレビ出演なども増えてきたところで、新体制のグループも引っ張る。自らセンターを務めるニューシングル『WELCOME☆夏空ピース!!!!!』の発売を前に聞いた。

学校では副委員長タイプでした

――前リーダーの渡邉幸愛さんの卒業が決まった時点で、必然的に次は自分と、心づもりはしていたんですよね?

阿部 全然していなかったです(笑)。本当に。確かに歴は3期生が一番上で、グループを引っ張る立場になりますけど、私がリーダーになるとは想像していませんでした。

――そうなんですか? 3期生は夢梨さんと長尾しおりさんの2人で、夢梨さんのほうが年上ですけど。

阿部 私は自分のことが大好きなので(笑)。そういうメンバーがリーダーになることは、ないだろうと思っていて。だから、次のリーダーとして相談されたときは驚きました。でも、私にリーダーを任せて大丈夫だと考えていただけたことはうれしくて、期待に応えたいと思いました。

――学級委員とかもやったことはないんでしたっけ?

阿部 副委員長は小学生の頃から何度もやりました。委員長を支えて、横でニコニコ笑っているポジションが居心地良くて、向いていると思っていたんです。スパガ(SUPER☆GiRLS)でも、4章では幸愛さんを隣りで支えることが多くて、自分の中でしっくりきていました。

――だけど、リーダー志向ではなったと。

阿部 リーダーになると決まってから、いろいろ考えました。幸愛さんはグループ愛がすごくて、メンバーから慕われる素敵なリーダーだったので、そういう存在に自分がなれるか、不安でした。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

敬われるよりイジられたい(笑)

――夢梨さんがスパガに入ってから、志村理佳さん、前島亜美さん、溝手るかさん、幸愛さんとリーダーが替わりましたが、自分はどんなタイプのリーダーになろうと?

阿部 敬われたいのはもちろんありつつ、私はリーダーでもイジられたい気持ちが強いです(笑)。自分を大好きなところを出すと、メンバーがついてこられなくなるのが心配でしたけど、今のメンバーはそんな私をイジってくれて。だからこそ、ありのままの自分でいられると思うので、気軽に接してもらいたいです。

――「自分大好き」を控えるようにはしないんですね(笑)。

阿部 そこは押し通していきたいと思います(笑)。

――モーニング娘。のリーダーだった道重さゆみさんも、そういうタイプでした。

阿部 おこがましいんですけど、少し似ている部分はあると思います。『わがまま 気のまま 愛のジョーク』とか『What is LOVE?』とか、道重さんがリーダーだった時代のモーニング娘。さんをよく観ていて、憧れでした。

――リーダーになってから、やるようになったことはありますか?

阿部 リハーサルのときに、立ち位置や振りの揃ってない部分を指摘するのは、私の役目になりました。MCもやりますし、セットリストは今まで幸愛さんと私で基本決めさせてもらっていたのが、私とかなぽん(坂林佳奈)で相談するようになりました。

――意識も変わりました?

阿部 パフォーマンス面でも大黒柱だった幸愛さんが抜けて、自分も今まで支えてもらっていたのを、支えるようになりたいと思って。リハーサルは今まで以上に集中して頑張っています。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

1人1人のテンションを見るようになりました

――現状で、リーダーとしての重点課題というと?

阿部 私は性格的に自分から積極的に話し掛けるタイプではないんですね。友だちでも話し掛けてくれたら、すごくしゃべるんですけど。でも、リーダーになったからには、メンバーとそれぞれコミュニケーションを取ることが大事だと感じるので、積極的に話しにいったほうがいいのかなと思っています。

――1人1人に目配せして、「今日は調子が悪そう」とか気に掛けたり?

阿部 そういうのは見ています。朝の「おはよう」というときのテンションとか、ひとつひとつの行動をしっかり把握するようになったかもしれません。

――特に新メンバーの5期のケアには気を配って?

阿部 そうですね。新しい環境に入ってきて、いろいろ壁にぶつかることも多いと思うので。この前は、はぎちゃん(萩田帆風)とここちゃん(田中想)が私の家に遊びに来てくれました。

――ツイッターに写真が上がってましたが、どういう流れでそうなったんですか?

阿部 はぎちゃんがすごくフレンドリーで、仕事前にノリで「遊びに行かせて」と言ってきたんです。「いいよ」「本当に?」となって、ここちゃんも「私も行きたい」と言って、2人が来てくれました。

――真剣な話もしたんですか?

阿部 ずっとスパガの話をしてました。ごはんを食べながらライブの動画を観て、反省会みたいなことをしたり。5期の子たち、本当に真面目です。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

言うべきことは言ってケアも大事にしてます

――リーダーとして、メンバーへの指導とか躊躇なく言ってますか?

阿部 言うべきことは言います。でも、言ったあとのケアが一番大事だと思っていて。今まで幸愛さんがそうしていたのを見てきましたけど、グループのために言わなきゃいけないこともあるし、メンバーの気持ちもあるので、そこの両立は難しいですね。

――夢梨さんがグループに入って、リーダーや先輩に言われてうれしかったことはありました?

阿部 忘れもしないのが、加入したてのとき、前島さんと2人で話すタイミングがあって。そこで「夢梨には本当に期待しているから。スパガを引っ張ってほしい」と言われたのを、今でも覚えています。そういう言葉を先輩から掛けてもらって、やる気が出ました。

――今度は夢梨さんが、5期の3人にそういうことを言ったり?

阿部 5期のみんなには注意するところがあまりないんです。振りとかに関して「ここはちょっと違うよ」ということはあっても、真剣に練習してくれるし、向上心が強いので、誉めることしかないですね。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

かわいく見える角度は教えてます(笑)

――萩田帆風さんはオーディションでマリオのジャンプのモノマネをしてたり、面白いキャラクターですね。

阿部 「バラエティ担当になってほしい」と言ってます。私より年上ですけど、精神年齢は完全に私のほうが上です(笑)。

――竹内ななみさんは優等生タイプのようで。

阿部 すごくしっかりしていて、加入当初の私と似ている部分があります。仕事も勉強も全部100%でやろうとしていて。私はそれで苦しくなった時期がありました。ななみちゃんは今は全然そんな節はありませんけど、いつか壁に当たるようなことがあったら、教えてあげられることは教えて、支えてあげたいと思ってます。

――田中想さんはアイドル性の部分で、夢梨さんの後継者になるのでは?

阿部 後継者かはわかりませんけど(笑)、アイドル性は抜群だと思います。イマドキのアイドルという感じ。本当にポテンシャルが高くて、スパガの最年少として母性をくすぐられる存在です。

――育て甲斐があると?

阿部 教えることはないくらいです。ライブ中の仕草とか、もっと極めていくだろうし、今はまだ硬いところがありますけど、そこが弾けたとき、一番輝くと思います。

――夢梨さんのあざとテクは伝授しないんですか?

阿部 それは結構伝えています(笑)。私が以前歌っていたパートをここちゃんに歌ってもらうことが多くて、かわいく見える首や顔の角度は教えました(笑)。

先行きはすごく明るいと思います

――幸愛さんはリーダーになって4章が始まるときの合宿で、先行きの不安から口内炎がたくさんできたと話していました。夢梨さんはそういうストレスはないですか?

阿部 全然ないですね。先行きはすごく明るいと思います。4章のときは歴代の先輩方が一気に抜けて、残ったメンバーより新メンバーのほうが多くて。それに、4期は一般公募から入った子が多かったので、グループとして完成するまで時間がかかりました。5期はエイベックスのアカデミーでレッスンを受けていたので、基本のスキルが高いです。

――確かに、イベントのパフォーマンスでも、最初から一体感がありました。

阿部 「3年くらい前から一緒にやっていたんじゃないの?」というくらい馴染んでいて(笑)。本当にすごいです。

――夢梨さんは「メンバーが自分らしくいられるグループに」とコメントしてました。そういうグループにするために、していることもありますか?

阿部 MCでは、口数の少ない子に積極的に話を振ることを心掛けています。逆に、しゃべるのが得意な子とは、気軽に話せる関係性を構築したいと思っていて。私のこともイジってほしいので、楽屋の雰囲気からフレンドリーになるように、4期にも5期にも「敬語は使わなくていいよ」と言っています。

――夢梨さんは現実主義というか、「日本武道館を目指す」みたいなことは言いませんよね。

阿部 昔から、ひとつひとつの行程を積み重ねて、大きいことを目指すタイプでした。ずっと言っていますけど、まずTDCホールに立ちたい。そこから徐々に大きい会場に広げて、最終的に目標の武道館まで行きたいなと思います。

SUPER☆GiRLS(エイベックス提供)
SUPER☆GiRLS(エイベックス提供)

ツインテールでいくかは迷いました

――第5章の最初のシングル『WELCOME☆夏空ピース!!!!!』では、夢梨さんはセンターも務めています。パフォーマンスでも引っ張っていこうと?

阿部 歌やダンスは先輩が完璧でないと、他のメンバーがついてきてくれないと思うので、見つめ直しています。2年ぶりに夏スパガを掲げて、新章のいいスタートを切れました。

――大学生になった夢梨さんですが、かわいい路線で行くんですね。

阿部 そこはすごく悩んだし、スタッフさんとも話し合いました。今回のセンター曲をツインテールでいくか。大人になった私を見せてもいいんじゃないか。どっちもわかるので迷いましたけど、ファンの皆さんが求めてくれているから、もう少しツインテールを続けることにしました。一番の理由は、多くのメンバーが「ツインテールしかないでしょう」と言ってくれたことですね。

――MVでもキュートな方向に振ってました。

阿部 THEアイドル、ですね。センターによってグループの印象が変わるので、王道を貫きました。自分でも夏曲は一番得意で、表現しやすいです。

――プールサイドで水着で撮影して。

阿部 撮影当日は天気予報では土砂降りになっていたんです。最初は雨でしたけど、暑すぎるくらいに晴れました。2年前にタイで『ナツカレ★バケーション』のMVを撮ったときも、予報では1週間雨だったのが、奇跡的に晴れたんですよ。

――夢梨さんがセンターに立つと、雨がやむ(笑)?

阿部 何か持っているんですよね(笑)。

遅咲きで色気も出てきました(笑)

――カップリングの『スイーツ』は、今までのスパガにない大人っぽくてシャレた曲になりました。

阿部 ロックというか、イマドキな楽曲だなと思いました。カッコいいスパガを見せていきたい気持ちを表せました。

――夢梨さんとしては、持ち前のかわいさは抑えて歌ったような?

阿部 大人っぽい色気がテーマと、ディレクターさんに言われて、めっちゃイメトレしました。サビ前の<嗚呼>の部分は特に何度も録り直しました。

――どんなイメージで歌ったんですか?

阿部 1サビと2サビでかなぽんと私が<嗚呼>を歌っていて、かなぽんが色気ムンムンですごすぎて。私もそれに引っ張られた感じです。

――数年前は、夢梨さんは先輩メンバーに「色気がない」と言われてました(笑)。

阿部 「皆無」と言われたこともあります(笑)。でも、最近はソロでグラビアのお話をいただく機会も増えて、徐々に色気が出てきたんじゃないかと思います。ちょっと遅咲きでしたけど(笑)。同期のしおりが早咲きすぎて、私は色気がない人みたいになってましたけど、年齢と共についてくるものだなと。

――何か努力をしたわけではなくて?

阿部 自然にですね。自分では諦めていました(笑)。

カッコいい曲もアニソンも歌えたら

――夢梨さんの中で、スパガの将来像は見えているんですか?

阿部 向上心の高い3人が入ってくれて、私も含めて3期、4期も感化されていますから、パフォーマンス面は確実に上がっていくと感じています。メンバーがそれぞれ生き生きして、ファンの方にもより楽しんでいただけると思っています。

――スパガは結成以来、メンバーは変わっても王道アイドル路線を掲げ続けてきました。

阿部 そこはブレないようにしていきたいです。プラスαとして、いろいろな曲に挑戦できたら。『スイーツ』のようなカッコいい曲だったり、私はアニメが好きなので、個人的にはアニソンのような曲も歌ってみたいです。スパガにはかわいい声のメンバーが多いので、ハマるんじゃないかと思います。

――夢梨さん個人では、どんなアニソンが好きなんですか?

阿部 LiSAさんはやっぱりカッコいいですよね。ソロアーティストだからこそ、成立する楽曲でもあると思いますけど。あとは、水瀬いのりさんも好きだし、HoneyWorksさんの楽曲もよく聴きます。『歌ってみた』などでやってみたいですね。

あざとさで売る方がこんなに増えていたとは(笑)

――個人での活動にも力を入れていくんですか?

阿部 頑張りたいなと思います。

――『ワイドナショー』や、念願の『あざとくて何が悪いの?』にもオーディション企画ながら出演しました。

阿部 驚いたのが、あざとさを売りにされている方がこんなにいるんだなと(笑)。他の方から見たら、私もその1人だと思いますけど、ビックリでしたね。

――夢梨さんは「田中みな実さんより前から」ということでした。

阿部 そうなんです。ずっと前から自分を「あざとい」と言っていたんですけど、いつの間にか、そういう方が増えて、すごいことになっていました。

――でも、負けないと?

阿部 番組でも、ありがたいことに道重さんやももち(嗣永桃子)さんに続く存在と紹介していただいたので、憧れのお2人に近づけるように頑張りたいなと思います。

――7月で19歳になって、10代最後の年に入りました。

阿部 絶対に充実させたいです。忙しいのが好きなので、お仕事がいっぱいできればいいなと思います。

――プライベートでも思い出を作ろうとは?

阿部 制服ディズニーはやっておきたいですね。もうJKではないですけど、19だったら、まだ許されるかなと思っていて(笑)。そう言いながら、実際に行って本物のJKを見たら、悲しくなるんでしょうね(笑)。

――高校を卒業して半年も経ってなくても、現役との差は大きいと。

阿部 本当にそうです。今ですら、電車で現役の子を見て、「私はもうリアルの制服を着る機会はなくなった……」と、年を重ねたのを感じます(笑)。

――その分、大人の魅力が出てくるということで。

阿部 等身大でいきたいなと思います。19歳は大人と子どもの狭間で、この年代ならではの、いろいろな表情を見せていきたいです。

エイベックス提供
エイベックス提供

Profile

阿部夢梨(あべ・ゆめり)

2002年7月29日生まれ。石川県出身。

小学5年生から地元のアイドルグループ、Jumipin’で活動。2016年6月にSUPER☆GiRLSに3期生として加入。2019年6月発売のシングル『ナツカレ★バケーション』で初のセンターを務める。2021年6月より6代目リーダーに。ラジオ『SUPER☆GiRLS阿部夢梨のナイスゆめり!』(ラジオ日本)でパーソナリティ。

『WELCOME☆夏空ピース!!!!!』

8月25日発売

CD+Blu-ray 2200円(税込)
CD+Blu-ray 2200円(税込)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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