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『彼女はキレイだった』にW主演の小芝風花。初の恋愛ドラマに「キュンキュンは自然に出てます」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜

ドラマ『彼女はキレイだった』にW主演している小芝風花。優等生の美少女から冴えないアラサーとなった役で、イケメンエリートに成長した初恋相手を含む四角関係の恋愛模様は、後半に入って波乱が加速している。主役級の役が相次ぐ小芝だが、意外にもラブストーリーは初めて。すれ違いから接近していく展開が視聴者を釘付けにしつつ、自身も醍醐味を感じながらの演技のようだ。

天然パーマは絶対に自毛で挑戦したくて

韓国の大ヒットドラマをリメイクした『彼女はキレイだった』。冴えない太っちょの少年からイケメンエリートになった長谷部宗介(中島健人)と、優等生の美少女から無職の残念女子になった佐藤愛(小芝)。お互い初恋相手だったが、アメリカから帰国した宗介に幻滅されることを恐れた愛は、同居する親友の桐山梨沙(佐久間由衣)に身代わりを頼んだ。2人はファッション誌の副編集長と試用社員として一緒に働くことになり、愛は正体を明かせないまま。一方、編集部で樋口拓也(赤楚衛二)の指導を受けて、仕事のやり甲斐に目覚めていく。

――ラブストーリーは自分で観るのは好きだったんですか?

小芝 好きでした! 昔だと『花より男子』や『花ざかりの君たちへ』に、めちゃめちゃキュンキュンしました。毎回「続きが気になる~!」と思って。最近の作品では、『凪のお暇』や『逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)』が大好きです。『凪のお暇』は次回予告がなくて、来週どうなるか1ミリもわからず、「あーっ、ここで終わり?」となってました。

――『凪のお暇』で黒木華さんが演じた主人公と同じく、『彼女はキレイだった』で風花さんが演じる愛も、前半では天然パーマでした。あれはウィッグではなかったそうですね。

小芝 自毛でした。原作でも天然パーマはキーになっていたから、絶対自分の髪で挑戦したくて。マネージャーさんが他の撮影をちょっと前倒しにしたり調整してくれて、パーマを当ててきました。

――そのほうが役に入りやすいと?

小芝 それもありましたし、見た目が子どもの頃と大きく変わってしまったことが、視覚的にパッとわかる部分だったので。

内面からキラキラするのをしっかり出せたら

――それにしても、風花さんが「自分の容姿に自信がない」という役をやるのは、大変だったのでは?

小芝 いえ、私は結構ズタボロから入る役が多いので、良かったです。初めてのラブストーリーというだけでも緊張していたので、これで美少女とかの設定もあったら、プレッシャーで耐えられなかったと思います。等身大で演じられる役だったので、楽しくできました。

――きれいな風花さんには、気持ちがわからないところもないですか?

小芝 いやいやいや。私も容姿に関しては「こうだったらいいのに」という部分はたくさんあります。もっと小鼻がツンと上がっていて、目がパッチリしていたら良かった……とか。そういうコンプレックスは誰にでも、少なからずあると思います。でも、自分に自信を持ったり、仕事に打ち込んだり、恋をしているときって、内面からキラキラしてくるじゃないですか。愛ちゃんも最初は自信がなかったけど、仕事を一生懸命やり始めて、真っすぐ進んでいく内面のきれいさを、しっかり出せたらいいなと思って演じています。

――風花さんの事務所のオスカープロモーションには、『国民的美少女コンテスト』出身の同世代の美少女たちがいました。

小芝 私は「スタートラインが違うよ」と言われていて、お芝居で頑張りたい気持ちがあったので、あまり意識してなかったかもしれません。事務所内で競争するより、外に同年代の方はたくさんいましたし。

陰の努力を見てくれていて泣きました

――『彼女はキレイだった』の放送前には「キュンキュンってどうしたら表現できるんだろうというのがちょっと不安要素」とのコメントがありました。その辺、撮影が始まってからはどんな感じでした?

小芝 前半はすれ違いをしていて、キュンキュンシーンはあまりなかったんですけど、チームワークがすごくいい現場で、1シーンごとにどうしたらいいか、相談し合っています。あまり「こうしたらキュンとくる」とか考えず、役として素直に反応して自然に出たものが、結果キュンキュンに繋がっていたらいいな……という感じです。6話の雨の中のシーンとか、スタッフさんたちが「すごく良かった」と言ってくれて、うれしかったです。

――3話でも、愛が宗介にハグされたり、絆創膏を指に巻いてもらうシーンがありました。

小芝 絆創膏のところはいいですよね。ハグのところはスローだったので、うまく動けるかを心配しちゃったんですけど。

――観ていると、樋口のほうがキュンキュンさせそうな感じもしました。愛にコンビニおにぎりを「開けて」と雑用みたいに頼んで、「それ食べなよ」と食事を取ってないのを気づかったり。

小芝 樋口さんはいつもふざけているようで、助けてほしいときにはちゃんと力になってくれて。愛ちゃんの陰の努力を見ていてくれるのが、本当に素敵です。

――5話で愛が残したノートに書いてあった童話の企画を、宗介に提案してました。

小芝 宗介にそのことを話すシーンを観て、私は泣きました(笑)。1~2話は宗介がキツくて、視聴者の方も樋口派が圧倒的だったんです。3~4話では宗介の素が出て、ギャップで一時、宗介の票がグワーッと増えましたけど、5話でまた樋口さんが上がったはずです(笑)。

――劇中では、愛は樋口をスルーし続けてますが(笑)。

小芝 いろいろスッ飛ばして急にプロポーズされたのは冗談にしか思えませんけど(笑)、愛ちゃんは鈍感なので。たぶん今まで恋愛をしてこなかったので、いろいろなところですれ違っています。

デレデレに期待してました(笑)

――宗介のツンデレな感じも、イチ女性の目線では魅力ですか?

小芝 愛としては辛いものがありますけど、客観的に見ると、風邪を心配して玉ねぎをデスクに置いたりする不器用さはかわいいですね。その玉ねぎの裏に泣き顔を描いて、「早く帰ってこい」とメールしてくるシーンも好きです。でも、私は甘々がいいです(笑)。

――ツンはいらないと(笑)。

小芝 はい。後半はようやくラブストーリーっぽくなって、宗介もなかなか甘いので、楽しみにしていただきたいなと。原作でも、パク・ソジュンさんのギャップが良かったんです。普段はめっちゃ怖いのに、好きな人の前ではデレデレ。私はそこを期待していて、中島さんに「楽しみにしてます」と言っていたら、すごく素敵な笑顔を振りまいてくださっています。

――原作はもともと観ていたんですか?

小芝 今回のお話が決まってから拝見しました。すごく面白くて、もう一度観直そうかと思いましたけど、引っ張られてしまいそうだったので、1回だけにしておきました。まるまるコピーだと日本でやる意味がないし、今回のメンバーだからできるものを作りたくて。受けた印象やキャラ設定だけザックリもらって、私なりに演じる感じでした。

現場で生まれた感情に素直に従って

――愛を演じるうえで肝にしていることはありますか?

小芝 撮影は終盤で「こうしなきゃ」というのはもうないですけど、ひと言ひと言にドギマギしたり切なくなったりする反応を大事にしていて。相手の台詞をよく聞くことは、この役に限らず意識しています。

――愛の明るさや元気なところは、風花さんの素も出ていたり?

小芝 素なのかはわかりませんけど、たとえば4話で宗介と出張旅行に行って距離が縮まったシーンは、自然に楽しむ感じで宗介の心を開かせていけたらと思っていました。宗介が自分の過去を話してくれたり、「総務部」と呼ばれていたのが名前で呼んでくれたのも、自然にうれしくなりました。台本を読んでいたときより、その状況で台詞を言ったり聞いたりするほうが気持ちが乗ります。すごくうれしいとか、悲しいとか切ないとか、「こんな感情になるんだ」というものが現場で生まれるので、その感情に素直に従って演じられたらと思います。

素直で応援したくなるのは崩したくないです

――あまり演技に悩むことはありませんか?

小芝 それはあります。撮り順がバラバラなうえに、今回は宗介に対して、樋口さんに対して、梨沙に対して……と、1人1人への感情が繊細で複雑に絡み合っているので。愛情や気持ちがどんどん変わっていく中で、毎回どこまで意識すればいいのか、監督と確認したり台本を何回も読み返して、気をつけています。

――確かに、そこは難しそうですね。

小芝 特に、樋口さんとの距離感はすごく難しくて。どこまで気づいていて、どこまで鈍感でいいのか。悪女みたいに見えたらいけないし、素直で応援したくなる佐藤愛ちゃんの像は絶対崩したくないです。

――自分の初恋の甘酸っぱい思い出が蘇ったりもしますか?

小芝 まったくないです(笑)。私の初恋といっても、幼稚園のときの「○○くん好き~」みたいなことしかないので、ロマンチックな経験は全然してなくて。だから、このドラマで味わわせてもらっています(笑)。

少しでも観ていただけるように作戦会議をします

――風花さんはここ数年、主役やヒロインが続いています。女優として自信もついていますか?

小芝 自信はいつもありません。でも、常に楽しい現場にしたいと思っています。私も楽しんでやりたいし、一緒に作っているメンバーとも仲良くなって、良いものを届けられる雰囲気にできたら一番幸せなので、そこは意識しています。

――責任感が強くなったりもします?

小芝 怖いなと思います。今回はW主演という形ながら、7~8割は中島さんに任せています(笑)。本当に頼りになる方なので。でも、放送されるときは緊張しますし、少しでも作品を観てくれる方を増やすにはどうしたらいいのか、考えたりもします。今回はプロデューサーさん、中島さんと番宣のSNSの作戦会議を結構していて。身内だけで楽しんでも意味がないので、いかに視聴者の方と一緒に盛り上がっていけるか、この楽しさをどうやって広げていくか、話し合っています。

――大役が続くのは、もちろん風花さんに魅力があるからですが、自分では強みだと思っていることはありますか?

小芝 何だろう? 健康なことは強みですね(笑)。主演をやらせていただくと、どうしても撮影日数や時間は長くなる中で、病気をしないことは大きいのかなと。この2年くらい、まったく熱も出ないし、風邪もひいていません。

――健康のために何かしているんですか?

小芝 特にしていません。免疫力が高いのか、子どもの頃にフィギュアスケートを習っていて、寒い中で競技をしていて強くなったのか。恵まれていると思います。

現場の雰囲気の良さは絶対大事かなと

――コメディで評判になった時期もありましたよね。

小芝 ありがたいことに。でも、私自身が面白い役を演じたことは実はなくて、周りに振り回される役が多いので、個性豊かな共演者さんに恵まれて成り立っています。主演には主演の大変さがありますけど、脇には脇の役割もあって、みんなで作っていくものだから。皆さんに支えていただきながら、たくさん勉強させてもらっています。

――今回は初めてのラブストーリーで、学んだこともありますか?

小芝 距離が近い役だからこそ、現場の雰囲気が良いことは絶対大事かなと思いました。今回はキャストもスタッフさんもこの作品が大好きで、良いものを作りたいという熱量が高いんです。その中で、自分もみんなも明るく楽しく、気持ち良くいられるように気をつけています。

――そのために、意識的にしていることも?

小芝 しゃべりまくる(笑)。もちろん、この時期ですから、ちゃんとマスクはして距離も取ってますけど、共演者の方やスタッフさんとめっちゃしゃべっています。

――話題は尽きませんか?

小芝 全然尽きません。しょうもないことしか、しゃべらないので(笑)。ビックリするほど他愛ない会話で、メイキングでも使えないくらいですけど、「あの場面の表情はいいよね」みたいな話もします。会社で思い出のパズルのピースを探すシーンは、スタッフさんに好評でした。

――宗介に気づかれないようにしながら。

小芝 現場ではいろいろな態勢を取って、体力的にしんどかったんですけど(笑)、ああいうドタバタした感じも、盛り上がって楽しいです。

クランクアップで燃え尽きそうです(笑)

――出張旅行の回では海や水族館に行ったり、撮影とはいえ夏の思い出になったのでは?

小芝 そうですね。今とても青春してます(笑)。水族館デートも海デートも、私の“いつかしたいリスト”に入っているので。撮影した日は天気があまり良くなかったのが、どんどん晴れてきて、「シャッターチャンス!」って、“誰が一番きれいに青空を撮れるか選手権”が始まりました(笑)。

――そういう空気感がドラマの画面にも出ているようですね。

小芝 絶対に出ていると思います。もし現場の様子をチラッとでも見てもらえたら、すごく楽しそうなのがわかります。SNSでもお伝えしていますけど、本当にチームが仲良くて。他の現場で、このドラマの中島健人さんを「カッコイイよね」と言われると、身内を誉められた感じがします(笑)。こんなにうれしいものかと思うほどで、「そうなんですよ。うちの中島さん、めっちゃカッコイイんですよ」みたいな(笑)。

――「うちの中島さん」って(笑)。

小芝 この作品では特にカッコイイと思います。ちょっと抜けていたり、どんくさいところとのギャップも含めて、本当に素敵。後半では宗介が愛にアプローチしてくる場面もあるので、ニヤニヤさせてもらってます(笑)。

――撮影がオールアップしたら、何か自分にごほうびをあげたりもしますか?

小芝 何か終わるのを考えたくなくて。寂しすぎて、ロスになりそう。今までの現場も全部楽しかったんですけど、特に今回はいいチームなので。リアルなことを言うと、『あしたのジョー』みたいに燃え尽きていると思います(笑)。

――真っ白な灰になっていますか(笑)。

小芝 それくらい、今は燃え上がっています。

撮影/松下茜

小芝風花(こしば・ふうか)

1997年4月16日生まれ、大阪府出身。

『ガールズオーディション2011』でグランプリ。2012年にドラマ『息もできない夏』で女優デビュー。2014年に『魔女の宅急便』で映画デビュー&初主演。主な出演作は、ドラマ『あさが来た』、『トクサツガガガ』、『美食探偵 明智五郎』、『妖怪シェアハウス』、『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』、映画『天使のいる図書館』、『文福茶釜』、舞台『オーランドー』ほか。ドラマ『彼女はキレイだった』(関西テレビ・フジテレビ系)に出演中。

『彼女はキレイだった』

関西テレビ・フジテレビ系/火曜21:00~

公式HP

関西テレビ提供
関西テレビ提供

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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