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ミスマガジンから『ウルトラマントリガー』でヒロイン。豊田ルナの女優を諦めなかった強さと地球を守る役と

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『ウルトラマントリガー』でヒロインを演じる豊田ルナ(撮影/S.K.)

『ミスマガジン2019』のグランプリに選ばれグラビアで活躍してきた豊田ルナが、本日スタートの『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』でヒロインを演じる。もともと子役で大河ドラマなどに出演したが、中学・高校時代には演技の仕事に恵まれなかった時期も。ヴィジュアルは抜群に成長し、今回の大役から改めて女優としての躍進を期している。

5歳のときの直感で芸能界に入りたいと

――ルナさんは『ミスマガジン2019』のグランプリとして名を馳せましたが、もともと子役だったんですよね。小さい頃から活発なタイプだったんですか?

豊田 こういう活動は自分からやりたいと言いましたけど、普段は活発とか前に出るタイプではなくて。教室の隅っこでひとり遊びをするのが好きで、家でもお母さんとトランプをしたり、ひとりで積み木をしている子どもでした。

――でも、テレビには出たかったと?

豊田 5歳くらいで親子雑誌にお母さんと出たとき、たぶん直感で「やりたい」と言ったんだと思います。物心がついたくらいの頃でしたけど、始めてからも大変だと思うときはあっても、イヤだったことはありませんでした。

――『悪夢ちゃん』でメイン回があったり、大河ドラマ『八重の桜』に出演したり。

豊田 オーディションを受けては落ちる繰り返しもありましたけど、縁に恵まれてるのは感じてました。大河ドラマで主人公の幼少期の役で落ちたのに、別の役で出演させていただいたりしたので。

――テレビに出ると、学校で騒がれたりもしました?

豊田 先生に「子どもと一緒にテレビを観てたら、豊田さんが出てきてビックリした」と言われたりはしました。「学校と雰囲気が違うね」とか。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

新境地のグラビアでチャンスは逃したくなくて

――以前、今の事務所に入った頃は「停滞期だった」とのお話がありました。子役からの脱皮的なことで壁にぶつかっていたとか?

豊田 お芝居がしたくても、なかなかできない期間が続いて、自分が子役ではなく、ちゃんと女優の演技ができているのか、不安ではありました。同年代の子が活躍しているのを見ると、「私もこういうことをしたいのに……」と思ったり。

――やめようと思ったりもしました?

豊田 「うまくいかないな」とは思っても、やめたいとは考えなかったですね。それでもやりたいと、諦めきれない自分がいて、頑張るほうに気持ちを向けました。

――『ミスマガジン』は勝負を懸けるつもりで挑んだわけですか?

豊田 新境地での戦いで、どうなるか想像もつきませんでしたけど、チャンスは逃したくなくて、グランプリを目指しました。高校に通いながら極力SHOWROOMの配信をしたり、SNSを活発に動かしたり、ファンの皆さんとの距離を縮めることは頑張りました。

――本当にグランプリを獲って、表紙をたびたび飾って写真集も出して、人生が変わりました?

豊田 SNSのフォロワー数が倍以上に跳ね上がったり、自分を見てくださる方が目に見えて増えました。「ここからだ!」という感じがありましたね。

――そんな中で、女優として花を咲かせることも目指していて?

豊田 グラビアやアイドル活動をしながら、女優はずっとやりたかったので、どうにかしてチャンスを掴みたかったです。そしたら、『ウルトラマントリガー』のオファーをいただきました。グラビアから私を知って、初めて演技を見ていただく方もいると思うので、緊張しますけど頑張りたいです。

隊員服に袖を通して気合いが入りました

ウルトラマンシリーズの平成三部作の筆頭『ウルトラマンティガ』から25年。その系譜を継承する作品として企画された『ウルトラマントリガー』。豊田が演じるシズマ ユナは怪獣災害に立ち向かう「GUTS-SELECT」の17歳の女性隊員。財団の令嬢で、幼い頃から様々な英才教育を受けて育ってきた。

――『ウルトラマントリガー』のユナ役は、オーディションでなくて指名されたんですね。

豊田 事務所に呼び出されて、何か怒られるのかと思ったら(笑)、「これが決まりました」と資料を渡されて、『ウルトラマントリガー』と書いてあったんです。ヒロインの役と聞いて、ビックリしちゃいました。すごくうれしかったんですけど、あまり喜んで、あとで「手違いでした」と言われたらショックは大きいし(笑)、複雑な心境でした。

――ドッキリでもなくて、良かったですね(笑)。

豊田 今までで一番大きい役で、プレッシャーもあり、ワクワクもあり……という感じです。

――ウルトラマンシリーズや特撮に馴染みはありました?

豊田 しっかり観たことはなかったです。『トリガー』が決まってから、前作の『ウルトラマンZ』や其原有沙ちゃんが出ていた『R/B』や『ティガ』の映画を観ました。ウルトラマンは男の子のヒーローですけど、私が観ても純粋にカッコイイなと思いました。

――どんなところが?

豊田 『ティガ』のGUTSの隊員服で戦闘機に乗り込むシーンとか、「自分もこういうふうに戦いに行くんだ」と想像したら、ワクワクしてきました。ティガが怪獣と戦うときも、特撮ならではの爆発があったり、アクションもカッコよくて圧倒されました。

――自分が『トリガー』のGUTS-SELECTの隊員服を着たときも感動でした?

豊田 もちろん。自分のサイズに合わせて作ってもらった隊員服に袖を通して、「いよいよ一員になるんだ」と気合いが入りました。地球を守るために、頑張らなくてはと(笑)。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

高校生でいるときは明るく戦闘では目力を強く

――ユナは財団の令嬢で、英才教育を受けてきて、怪獣に立ち向かって……と、盛りだくさんなキャラクターですね。

豊田 現役高校生でもあるんです。学校の制服を着ているときは天真爛漫、GUTS-SELECTでは責任感の強い隊員で、ちょっと気が強い令嬢でもあって……。本当にいろいろな面を見てもらえるように、演じています。高校生でいるときは明るく笑顔で、現場にも飾らずに臨んでいて。戦闘に出るときは目力を強く、緊張感を持っています。

――ユナについて「私と似ている部分がある」ともコメントしてました。

豊田 性格的には明るいところが似てます。あと、ユナちゃんは地球を守るという強い気持ちを持っていて、私も女優に向かって頑張るという芯があって。ユナちゃんはきっと日常の小さいことから、こだわりを持っていると思いますけど、そういうのは私にもあります。

――ルナさんにはどんなこだわりが?

豊田 靴は必ず左足から履くとか(笑)。部屋はベージュと白で統一してます。ユナちゃんの部屋も劇中でちょっと出てきますけど、私より若干、女の子感がありました(笑)。

――逆に、ユナを演じるとき、普段の自分と変えているところもありますか?

豊田 ユナちゃんのほうが私より全然勇気を持っていて。でないと怪獣には立ち向かえませんから、「行くぞ!」って前に出る気持ちは常に出すようにしています。話し方は普段とあまり変わりませんけど、語尾にちょっと令嬢っぽさが出て、「わかっているわね」とか言うときがあります(笑)。

――怪獣と戦う勇気を持つ女子高生はなかなかいないと思いますが、ルナさんもおばけ屋敷に入るくらいの勇気はあります(笑)?

豊田 ないです(笑)。おばけ屋敷は人生でまだ1回も入ったことがありません。ビビリなので、あの中で何が起こるかわからないのは怖くて。そういうところに入ったら、叫び散らかして逃げちゃうと思います(笑)。

『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

知らないうちにアザができてました

――『トリガー』の序盤の撮影では、大変だったことはありました?

豊田 結構盛りだくさんで、アクションもありました。そんなにガッツリではないですけど、吹っ飛ばされて受け身を取ったり。私は初めてで、前日はソワソワしましたけど、練習で坂本(浩一)監督から直接教えていただいたので、実際やったら楽しくて、清々しく終われました。

――どこかが痛くなったりもせず?

豊田 知らないうちに、アザができていたりはします。肘とか腕とか太ももとか、グラビア撮影で「何だ、これ!?」と思って(笑)、考えたら「あのアクションでできたのかな」と。爆破はまだ見たことないんですけど、バンと衝撃音があって、瓦礫が飛んできたりするのは新しかったです。

――もともと体を動かすのは好きなんですか?

豊田 バレエをやっていて、ダンスもできるほうだと思うんですけど、バスケとかサッカーとか球技はめっちゃ苦手です。ドリブルをしていても、ボールがどこかに行っちゃうのを追い掛けていく感じ。アクションも変なところでコケたりしないか、不安だったんですけど、今のところ、何ごともなく頑張ってます(笑)。

『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

最初は銃を構えたら笑いが起きて(笑)

――銃の構え方も様になってますね。

豊田 最初「構えてみて」と言われたときは、笑いが起きるくらい、不格好でした(笑)。何か弱そうだったんでしょうね。ユナちゃんは訓練を受けたエキスパートなので、ちゃんとできないといけなくて。坂本監督やアクションコーディネーターの方、それにタツミ隊長(高木勝也)からもアドバイスをいただいて、練習しました。

――コツを掴みました?

豊田 腰を落としてパカッと構えると、それっぽく見えます。あとはやっぱり、「やるぜ!」みたいな感じで相手を見ると、勢いが付いていい感じになります。

――実際に劇中でも撃ってるんですよね?

豊田 そうですね。グリーンバックで撮るときもあって、怪獣を想像するのが大変ですけど、すごく楽しいです。イメージを働かせて、しっかり見据えて全身に力が入ると、緊迫感が出ると教えていただきました。あと、特撮だからかわかりませんけど、現場では擬音が飛び交います。「ドーンといって、バーンとなるから、バーッとやって」とか(笑)。

『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
『ウルトラマントリガー』より (C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

挑戦したことを全部演技に活かせたら

――今後は女優をメインにやっていくんですね?

豊田 そういう気持ちではいます。グラビアも需要があれば続けますし、挑戦はどんどんしていきたいんですけど、そこで経験したことを女優にも活かしたいと思っています。

――自分で映画やドラマを観たりもしますか?

豊田 観てます。自粛期間中に韓国ドラマにめちゃめちゃハマったので。『愛の不時着』も観ましたし、『トッケビ』ではボロボロ泣きました。演技の勉強にもなりますし、「こういう役をやってみたいな」とも思います。ファンタジーみたいな作品に憧れがあって。

――日本の作品はどうですか?

豊田 最近はやっぱり、『ウルトラマン』関係を気にするようになりました。昔の怪獣も覚えてます。

――おもちゃ屋さんでグッズを見たり?

豊田 探しちゃいますね。あと、ファンの皆さんが写真を上げているのを見ます。『トリガー』にはメトロン星人のマルゥルちゃんが出ているので、『ウルトラセブン』のメトロン星人の話を観たりしました。

――伝説のちゃぶ台シーンを。

豊田 そうですね。個人的にはカネゴンとかブースカとか、かわいい怪獣が好きです。

撮影/S.K.
撮影/S.K.

大きなチャンスだから今は集中したくて

――ルナさんは4月から女子大生になったんですよね。

豊田 そうなんですけど、入学式だけ行って、休学してます。9月に復学する予定。今までずっと、学業と両立でやってきましたけど、せっかく『トリガー』で大きなチャンスをいただいたので、今回は撮影に集中したくて。

――高校卒業前の取材では、トランプマジックを練習中とのことでしたが。

豊田 ちょっとずつ続けてます。最近はトランプマジックをやっている人のタネは、少しわかるようになってきました。いつか『トリガー』のキャストの皆さんの前で、チラッとできたらいいなと思ってます。

――今は合間の時間は何をしているんですか?

豊田 移動時間はゲーム実況を見るのにハマってます。ゾンビゲームで銃の撃ち方とかリロードのいろいろな形を見るのも、勉強になります。

――これから10代最後の夏に入りますね。

豊田 『トリガー』の撮影中に19歳の誕生日を迎えるので、それもまた感慨深いです。貴重な時期を貴重な場所で過ごせて、うれしいです。

――思い出も作りたいところ?

豊田 小さい頃は七夕のときに浴衣を着て、お祭りに行ったりしてましたけど、高校時代は制服でどこかに行ったりはできませんでした。コロナが落ち着いてきたら、花火大会とか楽しみたいです。

――海に行ったり、山に行ったりするノリもあります?

豊田 私は泳げないので(笑)。でも、せっかく『ウルトラマントリガー』にヒロインで出させていただいているので、ファンの皆さんと交流するイベントができて、思い出を作れたらいいなと思います。

Profile

豊田ルナ(とよだ・るな)

2002年7月17日生まれ、埼玉県出身。

5歳から子役として活動し、ドラマ『悪夢ちゃん』、『八重の桜』、『花燃ゆ』などに出演。『ミスマガジン2019』でグランプリ。写真集『月-Luna-』が発売中。

『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』

テレビ東京系/土曜9:00~

(C)円谷プロ (C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
(C)円谷プロ (C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

公式HP

公式Twitter

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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