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10代のカリスマ・久間田琳加が女優で頭角。『お茶にごす。』茶道部長役に「意識が180度変わりました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『お茶にごす。』に出演中の久間田琳加(撮影/松下茜)

『Seventeen』専属モデルとして活躍し、女子高生のカリスマと呼ばれている久間田琳加。昨年発売した初のスタイルブックは三度にわたり重版された。一方、『マリーミー!』で地上波ドラマ初出演にして主演。正統派女優としての高いポテンシャルも見せた。現在は配信が始まった『お茶にごす。』に出演中。20歳になったばかりの彼女にマルチな活動への想いを聞く。

20歳には一生ならないと思ってました(笑)

――2月で20歳になりました。

久間田 20歳の誕生日は一生来ないと思っていたんですけど、来ちゃいました(笑)。ずっと10代を歩み続ける感じがしていたので、すごく不思議な感じがします。

――当日はお祝いしたんですか?

久間田 家族と過ごしました。午前零時になって、ちょっとお酒を飲んだんですよ。お仕事の現場でいただいたシャンパンを開けてみたんですけど……おいしさがわかりませんでした(笑)。

――最初はそうですよね。

久間田 でも、現場でもお酒の話をすることが増えて、奥が深いみたいなので、いろいろ試してみたい気持ちはあります。未知の世界ですけど、何年か後に好きなお酒が決まっているかもしれません(笑)。

――以前から「20歳になるまでにブラックコーヒーを飲めるようになりたい」と話してましたが、誕生日の10日前に「ある日突然飲めるようになるんですね」とのツイートがありました。突然何があったんですか?

久間田 差し入れでチョコレートをもらって、突然「ブラックコーヒーが合うんじゃないか?」と思ったんです。それでチョコと一緒に飲んでみたら、おいしくて! でも、次の日に「あれは夢だったのかも」と思って、ブラックだけ飲んだら、苦かったです(笑)。

――じゃあ、今でもブラックコーヒー単体では飲めないわけですか?

久間田 でも、ちょっと飲んでます。朝早いロケで目を覚ましたいときとか。コーヒーって種類があったんですね。すっぱいときもあれば、飲みやすいときもあったり、全然違うので、今は飲めるときは飲める感じです。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

今回の現場では部長らしく静かにしてました

『お茶にごす。』は『今日から俺は!!』の西森博之によるヤンキーギャグ漫画が原作。中学最強の不良と恐れられていた船橋雅矢(鈴木伸之)は、強面と威圧的な雰囲気からむやみに喧嘩を売られる日々に嫌気がさしていた。高校では暴力の連鎖を断ち切りたいと茶道部へ。彼を勧誘した部長の姉崎奈緒美を久間田が演じている。

――『お茶にごす。』では茶道部の姉崎部長役。同じく漫画原作だった『マリーミー!』で再現率の高さが評判になりましたが、今回は最初から琳加さんに合っていたのでは?

久間田 『マリーミー!』ではニートで年齢も上の役で、自分と違うところがたくさんあって、埋め合わせるのが大変でした。今回は高校生で経験あることですけど、姉崎部長はまさに人間の鑑。大和撫子という言葉がピッタリで、こんな素敵な女の子が現実にいたら、すごいなと思います。だから、自分からは全然遠くて。部長で落ち着きもあるので、現場では役に入るために、静かにしているように気をつけてました。

――普段の現場とは違ったわけですか?

久間田 いつもは共演者の方とワーッとおしゃべりするときもありますけど、今回は部長らしく周りを見ていました。姉崎さんは間違っていることは「違う」とちゃんと言えて、周りが「自分たちが間違っていた」と思える包容力もありますし、仲間意識も持っていて。完璧すぎると近寄りにくかったりもしますけど、姉崎さんは抜けてるところもあって、そこもかわいらしいんですよね。

――原作は読み込んだんですか?

久間田 読み込んで挑みました。主人公の船橋くんを変える大事な役で恐れ多くて、現場に入るまではドキドキしてました。

――原作の西森博之先生も「配役で一番大切なのは部長」とコメントしてます。

久間田 その言葉をいただいたのが、情報解禁されてからで良かったです。撮影前に聞いていたら、かなりプレッシャーだったと思います。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

茶道の練習は心が落ち着いて自分と向き合えました

――茶道の練習には時間をかけたそうですね。

久間田 2週間くらい練習しました。部長ということで、他のキャストより回数が多かったです。本当は何年もかけて覚えるもので、茶道の先生も「無茶なことをしてもらっている」とおっしゃっていたくらいだったので、必死に頑張りました。でも、新しいことを学ぶのは好きなので、苦には全然なりませんでした。

――所作が難しかったんですか?

久間田 茶道はルールが多くて、実生活では全然しないことを1から覚える感じでした。お茶を点てるのも、茶筅を縦に動かして泡立たせて、最後は“の”の字を描いてから茶碗を置く、とか。一番難しかったのは、礼の角度が決まっていて。

――原作では、船橋たちが土下座みたいにするシーンがありました。

久間田 私たちはそこまでしなかったんですけど、カメラアングルに合わせて、みんなで気をつけました。先生にも言っていただいたのが、私は昔クラシックバレエをやっていたので、動きの習得はわりとすんなりできました。

――茶道とバレエに通じることが?

久間田 しなやかに動くところは、どっちもあります。

――もともと茶道に興味があったわけではないんですよね?

久間田 まったく触れてこなかった世界でした。薄茶と濃茶、どっちの作り方も覚えましたけど、「お茶って一種類じゃなかったんだ」という。今まで飲んでいたのは薄茶みたいなもので、濃茶には初めて触れました。

――茶道に楽しさや面白みも感じましたか?

久間田 日常をワイワイ、ガヤガヤしている中で生活していて、茶道の練習で教室に行くと、一気に心が落ち着きました。無心でお茶を点てている時間は、自分と向き合えている感じがして。覚えることが多くて大変でも、稽古に行くのは楽しかったです。奥が深くて、習っていくと、もっと知りたくなりました。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

「見た目で判断しない」は人間として大事だなと

――姉崎部長の台詞で「仮にも茶道を目指す人間が人を見た目で判断してはいけません」とありましたが、茶道の精神性みたいなものにも触れられました?

久間田 「茶室は別世界。和を最も尊ぶ場所です」という台詞もあって、茶道へのリスペクトを感じました。それを船橋くんたちは全然違う捉え方をして(笑)、そこも笑えますけど、素敵な台詞はたくさんありましたね。

――「人を見た目で」というのも共感しました?

久間田 その台詞は、“悪魔(デビル)まークン”と呼ばれるめっちゃ怖い船橋くんが入学してくるところで出たんですけど、茶道に限らず、人間が生きていくうえで大事なことだなとすごく感じました。やっぱり人を見て、一瞬「怖そう」とか思ってしまうもので、姉崎さんが震えながらも、そう言える勇気はカッコイイなと感じました。

――琳加さんは部活は体操部だったんですよね?

久間田 中学のときでだいぶ前なので、あまり覚えてないんですけど、お仕事も少しやりながら、朝練があって。早起きがすっごく大変だった記憶はあります(笑)。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

台本に書いてある以上のことを考えるように

――主演した『マリーミー!』から今回の『お茶にごす。』、それに、ケツメイシの『さくら(2021年ver.)』のMV+ショートムービーと、女優の仕事が増えていますが、演技に対する意欲も高まってますか?

久間田 いろいろ挑戦したいので、いろいろな役をやりたい想いは強いです。

――3年前の初主演映画『ヌヌ子の聖★戦~HARAJUKU STORY~』の頃と比べて、演技への取り組み方が変わった面もありますか?

久間田 役との向き合い方が全然変わりました。『ヌヌ子』があったから今があるんですけど、現場経験が増えた中で、ひと言で言ってしまえば、役のことを深く考えるようになりました。昔も役を一生懸命理解しようと頑張ってましたけど、足りなかった部分がたくさんあって。『お茶にごす。』でも、『ヌヌ子』のときと180度変わった感じがします。

――台本を読み込む時間も増えたり?

久間田 それももちろんありますし、台本に書いてある以上のことを考えるのが大事だと感じています。姉崎さんの昔のことを想像したり。そういうことを意識するようになってから、台詞が入るのも全然速くなりました。「こうしなきゃいけない」と思ったわけでなくて、自分の中でふと台本の読み方が変わったと感じる瞬間が、最近すごくあります。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

気持ちが動いて台詞を言えたときに「これだ!」と

――女優の仕事のやり甲斐を感じる瞬間もありますか?

久間田 一番はすんなり気持ちが動いて、台詞を言えたときですね。「うわっ、これだ!」と感じられます。

――台本にあるから台詞を言ったのでなく、自分の言葉として出た感覚?

久間田 そうです。相手役の方の言葉を受けて出てくる感情もありますし、皆さんが「役者はやめられない」という感覚はきっとこういうことだろうなと、ちょっと思ったりします。

――勉強のために、自分で映画やドラマをいろいろ観たりもしてますか?

久間田 映画はもともと好きで観てますけど、今はそれ以上に、現場でのコミュニケーションを頑張っています。性格的には不得意ですけど、経験豊富な女優さん、俳優さんのお話を聞くと学ぶことが多くて、役にも影響します。『お茶にごす。』の現場でも、鈴木(伸之)さんがヤンキーだけでなくいろいろな役を演じられているので、「こういう役は大変だよ」とか、たくさんお話を聞きました。

――茶道部の後輩の浅川夏帆役の萩原みのりさんも、映画界ですごく評価されている女優さんですよね。

久間田 “狂犬”と呼ばれる役に入ると圧倒されることがあって、すごいなと思いました。今の私には身に付けないといけないことが山ほどあって、現場でいろいろな役者さんから、たくさん吸収したいと思っています。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

ボディクリームは納得するまで商品化しません(笑)

――一方、ラジオの『りんくま*めがへるつ』の20歳の誕生日直前の放送では、モデル、女優、タレントの“三刀流”でやっていきたいと話してました。最初に始めたモデル業の重みは今も変わりませんか?

久間田 やっぱり『Seventeen』は帰ってくる場所という感じです。ドラマの撮影とかいろいろ入っていても、『Seventeen』の撮影は毎月やってくるので、そこで自分をリセットできます。

――最近ではプロデュースするブランド『Laëtirais』を立ち上げて、ボディクリームの開発に携わっているとか。モデルさんが洋服でブランドとコラボすることはありますが、ボディクリームとは珍しいですね。

久間田 私は自分でブランドを立ち上げるなら、お洋服よりボディケアやコスメ系がいいと思っていました。去年スタイルブックを出してから、もうすぐ1年ですけど、あれもビューティーに特化した本で、美容に関することをやると決めていたんです。

――洋服のプロデュースだとデザイン画を描いたりするイメージがありますが、ボディクリームのプロデュースはどんな形で携わっているんですか?

久間田 クリームの硬さ、香り、保湿力とか、全部自分の肌で試してみて、「これはちょっと違います」とか正直に言ってます。かなりやり取りはしていて、納得いくまで商品化はしたくないです(笑)。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

役から現実に返ると「大丈夫?」と悩んだり

――本当に琳加さんはやりたいことを全部やって、人生バラ色な感じ?

久間田 確かにやりたいことをたくさんやらせていただいて、10代を振り返っても、本当に悔いはありません。でも、悩んだことも全然あります。10代ならではの悩みもありましたけど、20代になっても、またそういうことはやってくる気がします。

――どんなことで悩んだんですか?

久間田 最初の頃だと、モデルになっても誌面に出られないとか。『マリーミー!』のときも、放送が終わった今だから言える話ですけど、ふと我に返って現実にブワッと巻き戻ると、「私が主演なんかしていて大丈夫? もう撮影が進んじゃっているけど、これでいいの?」と悩んでいました。

――夜に寝られなかったことも?

久間田 『マリーミー!』のクランクイン前日は、全然眠れませんでした。睡眠2時間とかで現場に行ったり、涙したこともあります。人前ではそういうところを出さないようにしてますけど。

フライドポテトが元気の源です(笑)

――モデルさんとしてスタイルキープのために、ストイックな生活もしているんですか?

久間田 してます。今はジムに通って、トレーナーさんに見てもらって、「今日はキツめにお願いします」と、ハードなメニューをやったりします。でも、悩んだときに唯一の支えになるのは食なので(笑)。食事は我慢せず、ガンガン食べちゃいますね。その分を運動することにしています。

――食の中でも、落ち込んだときに食べるものは?

久間田 フライドポテトです! ひと袋空けます(笑)。

――わりと地味なものが出ました(笑)。

久間田 絶対にフライドポテト一択ですね。あぶらとか気にせず、ケチャップをめっちゃかけて食べます(笑)。そこが私の元気の源なので。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

Profile

久間田琳加(くまだ・りんか)

2001年2月23日生まれ、東京都出身。

2012年に『nicola』のモデルオーディションでグランプリとなり、2017年3月まで専属モデル。2017年8月から『Seventeen』の専属モデルに。女優としての主な出演作は、映画『ミックス。』、『青夏 きみに恋した30日』、『ヌヌ子の聖★戦~HARAJUKU STORY~』、ドラマ『マリーミー!』など。『お茶にごす。』がAmazon Prime Videoにて配信中。ラジオ『久間田琳加 りんくま*めがへるつ』(文化放送)でパーソナリティ。1stスタイルブック『明日、もっとキレイになる りんくまがじん』が発売中。

『お茶にごす。』

Amazon Prime Videoで配信中。テレビ東京で2021年に放送。

公式HP https://www.tv-tokyo.co.jp/ochanigosu/

(C)西森博之/小学館 (C)「お茶にごす。」製作委員会
(C)西森博之/小学館 (C)「お茶にごす。」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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