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東京女子流、10周年イヤーがクライマックスへ。「大変だった1年にプラスのこともありました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
2010年5月にデビューしたガールズグループ・東京女子流(エイベックス提供)

昨年5月にデビュー10周年を迎えた東京女子流。奇しくも緊急事態宣言の中で始まったアニバーサリーイヤーの最後のプレゼントとなるシングル『Hello, Goodbye』をリリースする。良質な曲を届け続けて、ローティーンから20代へと成長した4人のメンバーたちが、この時代の中で思うこととは?

自粛中のデビュー記念日にたくさんのメッセージが

――去年は10周年イヤーがコロナ禍で大変な年になってしまいましたが、その中で感じたことや考えたことはありました?

庄司芽生 メジャーデビューした5月5日が自粛期間中で、家で迎えることになってしまったんですけど、午前零時に日付が変わった瞬間、ファンの皆さんからたくさんのメッセージがSNSに届いたんです。「辛いときも女子流のライブがあるから頑張ろうと思えました」とか長い文章を送ってくれたり、画像を作ってくれたり。私自身、10年もやれるなんて想像してませんでしたけど、そういうメッセージを読んでいると「続けてきて本当に良かった」と思って、その気持ちを1人で抑えられなくなっちゃったんですね。それでひとみに電話しました(笑)。

新井ひとみ 「ひとみ~」って電話が来て、めいてぃん(芽生)が想いをどこかにぶつけたいのがわかって、いろいろな話を長い時間してました(笑)。

庄司 その後にひとみがかわいいサボテンの写真を送ってくれて、ほっこりしました(笑)。

新井 自粛中に買って、私の心がズーンとなったときに助けてくれるエケベリア属のベリーちゃんをパシャッと撮って送りました。

山邊未夢 サボテンに名前がついているんだ(笑)。

新井 話し掛けて、癒してもらってます(笑)。私にはすごく速い10年でしたけど、ライブ活動をメインにしてきたのが、去年なかなかできなくなってしまって。家で考えていて、ライブがなくなると私は空っぽみたいになるんだとわかりました。それで11月に10周年記念ライブを9ヵ月ぶりに有観客で開催して、終わったあとには「女子流に出会えて良かった」といった声をSNSにいただいて。感動して「ずっと応援してくれてありがとう」という気持ちが溢れました。

山邊 「10年続けてくれてありがとう」とよく言われましたけど、それは逆で、みんなの応援があったから女子流を続けられたので、こちらから「ありがとう」と伝えたいです。10周年ライブで9ヵ月ぶりに会って、みんなの顔を見られることがこんなに嬉しいんだと、すごく幸せな気持ちになりました。ライブの楽しさを改めて実感できたので、ああいう状況でもマイナスだけでなく、プラスのことも発見できた10周年イヤーだったと思います。

中江友梨 ライブを毎月やらせていただいて、みんなと当たり前に会って、直接「ありがとう。またね」と言っていたから、その「またね」がこんなに先になるとは思いもしませんでした。急に寂しくなってしまいましたけど、そんな気持ちが自分の中に宿ったなら、もうどんどん大きくしていこうと。また会えたときに爆発させたら、喜びはすごいはずなので。10周年ライブのあとも、なかなか元通りにはいかないご時世で、今も寂しくなることはあります。その分、欲張りになりました。みんなともっと会いたい! 「ありがとう。大好きだよ」と伝えたい! あれもこれも観てほしい! 10周年が大変な年になってしまっても、そんな感情が生まれたのは素敵な時間でした。

「またね」という言葉がどれだけ尊かったか

――その「またね」を重ねていこうという想いが、『Hello, Goodbye』でも歌われています。

中江 まさにそうです。『Goodbye』を別れと捉えた方もいらっしゃって、「10周年の最後の贈り物で解散?」みたいな声があったんですけど、そうではなくて。今言った「また今度ね」という意味なんです。みんなと何度も「またね」を繰り返すのがすごく尊いことなんだと、去年なかなか会えなかった時期に実感しました。何気ない日常をみんなと大事に続けたい。そんな気持ちを『Hello, Goodbye』というタイトルにこめました。

山邊 想いをなかなか伝えられない主人公が自分の気持ちに向き合って、花束と共に贈るのがテーマになっています。私も照れくささがあって、ファンの方に想いをストレートに伝えられないので、この曲の4分間に「いつもありがとう」という感謝をギュッと詰めて届けています。

――まさにストレートな想いが綴られた曲ですが、歌い方や声も世界観に合わせたんですか?

新井 初めて聴いたとき、歌詞と共に曲にも温かみがあるのをすごく感じました。それで、柔らかみのあるやさしい感じで歌うことを心掛けました。聴いてくださる方が大切な人を思い浮かべられるように、口角を上げてテンションを高めて、レコーディングに臨みました。

――ひとみさんの脳裏にも何か浮かびました?

新井 この楽曲を歌う前に、お友だちへの誕生日プレゼントを考えていたんです。「あの子は何が好きだったかな? 何を欲しいと言っていたかな?」とか、相手のことを思って贈り物を選ぶのはキラキラした時間で、<色に例えたら? 匂いに例えたら?>という歌詞にもすごく当てはまっていて。ファンの皆さんにこの曲をプレゼントする気持ちになっていました。

山邊 私も歌詞を読んで曲を聴くと、すごく温かい気持ちになりました。想いは強くてダイレクトに伝えてますけど、普段よりやさしめに語り掛けるようにして、ひとみが言ったようににこやかに歌うことも意識しました。「伝わっているかな? まだ伝わってないかな?」と思いながら、一生懸命歌いました。

庄司 ダンスではメンバーがそれぞれ一輪の花を持ちながらパフォーマンスしていて、4人で花を形作るところも入れ込んでます。中でも一番のポイントは気持ちを伝えたあとの間奏部分で、私が1人ずつ花を受け取って花束にして、ひとみに渡しているんですね。そこでひとみが「ずっと、傍にいたけど もっと近くに行っていいかな…?」のところを歌って、私たちのファンの方への気持ちを伝えてくれています。

新井 そのカギカッコのパートは相手に真剣に問い掛けて、少し心細くて「大丈夫かな?」みたいな感じで歌っています。「ちょっと不器用だけど 変わらず愛してる!」のところからは「もうこの気持ち受け取って!」みたいにワーッとなって、徐々にクレッシェンドしていく感じです。

ステイホーム中にメンバーに花束を送りました

――花束って実際に贈ったことはありますか?

中江 母の日にカーネーションでなくて、あじさいを贈りました。近所のよく行く花屋さんで、きれいなあじさいが花瓶に入っていて、ふと「お母さんに合いそう」と思って。もうすぐ母の日だったので、買って大阪に送りました。そんなことをしたのは初めてで、お母さんもビックリしたみたいです。「まだ元気に咲いてるよ」と写真をまめに送ってくれました。

庄司 私は人に花を贈ったことはないですけど、自分に買うことはよくあります。お散歩していて、花屋さんを見掛けたらフラッと入って、「この花いいな」と思ったら一輪買ってお部屋に飾ったり。お花を眺めると「今日も頑張ろう」みたいなパワーをもらえます。あと、ステイホーム中に友梨から花束が送られてきました(笑)。

中江 急に送りました(笑)。芽生は本当に寂しがり屋なので「大丈夫かな? 泣いてないかな?」と思って。今言った花屋さんに芽生に合いそうな花があったので、包んでもらって送ったら、めっちゃ喜んでくれました。

庄司 青と白のかわいらしい花でした。

中江 SNSに写真を上げてくれたよね?

庄司 友梨からとは書いてないんですけど(笑)。

中江 「書かなくていいよ」と言ったんです。

庄司 ドライフラワーにして今も飾ってます。

中江友梨(なかえ・ゆり)1997年6月28日生まれ、大阪府出身 (エイベックス提供)
中江友梨(なかえ・ゆり)1997年6月28日生まれ、大阪府出身 (エイベックス提供)

自分の武器を考えて脚を活かすことに(笑)

――今回、衣装も評判ですね。

新井 お気に入りです。

山邊 女子流は衣装を1人ずつ色分けされたことがあまりなかったんですけど、今回はそれぞれ水色、ピンク、黄色、緑になっていて、それも花束がイメージされています。衣装の形も1人ずつこんなに違うことはめったになくて、1870年代のカントリーふうのビンテージがテーマです。めちゃめちゃ昔の時代ですけど、私たちの新しいビジュアルをみんなに見せられるので、準備からワクワクしてました。

中江 ロングブーツにレース、フリル、リボン。女の子のかわいい要素が全部詰まっているので、私たちのテンションも上がります。

――友梨さんのスカートはレアですよね。

中江 普段は衣装は未夢が考えてくれてパンツが多かったり、普段もパンツスタイルはスタイリッシュで好きなんです。他にもいろいろなジャンルの服を着ますけど、短いスカートだけはあまり穿かなかったんですね。遠い憧れみたいな感じだったので、今回久しぶりに衣装でスカートを穿いて、恥ずかしいなとは思いつつ、本当は嬉しくて仕方ない、みたいな(笑)。

――未夢さんの衣装は安定の美脚推し(笑)。

山邊 今回は私は衣装制作に携わってなくて、脚が強調されていて、めっちゃ良かったです。自分が制作に携わるときは、皆さんの意見も聞かないといけないので、友梨にパンツを穿いてもらうことも多いんですけど、自分で好きにできるときは絶対に脚を見せるんです(笑)。女の子は脚を出したほうがかわいい。今回はみんな出していて嬉しいです。

――未夢さんはインスタでも「#脚活」のハッシュタグを付けて、下から煽りめのアングルで脚を出した写真をよく上げていますね。

山邊 自粛期間に自分の武器について考えて、脚を活かしたほうがいいと思いました。写真の角度にはこだわって、お母さんと一緒に研究しながら撮ってます。

山邊未夢(やまべ・みゆ)1996年6月24日生まれ、千葉県出身 (エイベックス提供)
山邊未夢(やまべ・みゆ)1996年6月24日生まれ、千葉県出身 (エイベックス提供)

女の子のポニーテールは最強ですから(笑)

――芽生さんの衣装にはチョーカーが付きました。

庄司 チョーカーは一時期よく付けていて、久しぶりでした。衣装さんが自分で金具をガンガン打って作ってくれて、愛がこもってます。

中江 私は芽生はチョーカーが似合うと思っていたので、「よっしゃ!」となりました(笑)。

庄司 友梨がガッツポーズ(笑)? 衣装の生地もビンテージ感があって、オシャレです。

――ひとみさんは今回は首元を強調して、ポニーテールにしたそうで。

新井 そうです。首元がキュッとなっているので、髪を上げたほうがいいと提案をいただいて。いつも下ろしていることが多いので、せっかくだからガラッと変えました。ポニーテール姿はあまり見せたことがなかったんですけど、「いいね」みたいなコメントをたくさんいただきました。

中江 女の子のポニーテールは最強だと思うんですよね。

山邊 友梨はそれ、ずっと言ってます(笑)。

中江 未夢やひとみが髪型で迷っていると、「ポニーテールは?」と暇さえあればリクエストしています(笑)。結んだ髪が揺れるのって、かわいいじゃないですか。

新井 ライブだと私は首が激しめに動いて、髪型も崩れてしまうので、控えめにしていたんです。今回はこの衣装にポニーテールと決まったので、ライブ前はがっちり結んで、ほどけないように頑張りたいと思います(笑)。

新井ひとみ(あらい・ひとみ)1998年4月10日生まれ、宮城県出身 (エイベックス提供)
新井ひとみ(あらい・ひとみ)1998年4月10日生まれ、宮城県出身 (エイベックス提供)

ラップの曲で新しい風を吹かせそうです

――カップリングの『ワ.ガ.マ.マ.』は、未夢さんがブログで「女子流に今までなかったような曲」と書いてました。ラップがフィーチャーされているところとかで、そう思ったんですか?

山邊 そうです。ラップは『リフレクション』とかでもありましたけど、今回みたいな長いラップは初めてで、友梨が歌ってくれています。ニュアンスも今までの女子流の曲になかったので、新しい風を吹かせてくれそうです。

中江 ラップは(ヒップホップユニットの)サ上と中江や、女子流でも何曲かやらせていただいてますけど、ここまでガッツリ、ラップが入った曲はあまりなくて。Chocoholicさんが楽曲提供してくれて、仮歌でワガママで甘ったるくて愛おしい女の子の声の出し方がハマっていたんですね。でも、「友梨さんの気持ちのままで歌ってください」と、いろいろアドバイスをいただきました。ずっとワガママを言ってる歌詞ですけど、ラップに関しては<うるさいうるさいうるさいうるさい>とか、ダダをこねてる感じ。自分の声も自然にワガママを言ってるようになって、それが楽しかったです。普段はこんなにワガママを言ってられませんけど(笑)、この曲を歌ってるときはどこまでも言える感じです

――女子流にワガママなメンバーはいますか(笑)?

中江 かわいいワガママを言うのは、ひとみですね。甘えん坊で寂しがり屋なところもあって、「中江、今度このお店に連れて行ってよ」とか言ってくるんですけど、「そんなにかわいいわがままなら聞いちゃうよ」と思います(笑)。自分に甘えてくれるのが嬉しいんですよね。

新井 甘えたくなるときはあります(笑)。

山邊 たまに「べーちゃん(山邊)、行こうよ行こうよ!」とか「買って買って!」と言ってくるので、かわいいです(笑)。

庄司芽生(しょうじ・めい)1997年7月2日生まれ、山形県出身 (エイベックス提供)
庄司芽生(しょうじ・めい)1997年7月2日生まれ、山形県出身 (エイベックス提供)

性格はバラバラでも補い合ってこられました

――改めて、浮き沈みの激しいこの世界で、東京女子流が10年間続いた要因は何が大きかったと思いますか?

山邊 一番はファンの人の応援があったからで、あとはチームの空気感が私たちに合っていたんですよね。性格は全然バラバラですけど、いい感じで調和できて、お互いの足りないところを補い合ったり。良いバランスだったから、ずっと続けてこられたように感じます。

新井 私はデビュー当時は小学生で、何も考えず、ひたすら走ることしかできませんでした。大人になるにつれて、自分たちで考えないといけない状況がたくさん出てきましたけど、考えれば考えるほど答えは出ないんですよね。歌詞でも解釈は人によって全然違う。その難しさにメンバー同士で向き合ったことで成長できて、やってこられたんじゃないかと思います。

庄司 出会いに恵まれてました。今応援してくださっている方も過去に出会ってくれた方も、1人1人に女子流のために使ってくれた時間があったわけで、そういう方々が途切れずにいてくれたから、私たちは今ここにいられます。スタッフの方々も私たちに愛情を注いでくれているのは痛いほどわかるし、その分、応えたい気持ちは強くなって、相乗効果でいろいろな楽曲やライブに挑戦してきました。そして常に変化してきたのが、今に繋がっているとすごく思います。

中江 女子流にはたくさんの楽曲がありますけど、1曲目から最新の曲まで、ちゃんと私たちの人生のストーリーが描かれているんです。1曲1曲に「こういう時期だったな」「こんな想いで歌っていたな」とか思い出があって。たくさんの方の愛情で女子流は作られて、私たちはパフォーマンスで返していきたいし、ちゃんと言葉にもしていきたい。10周年というと大ごとに思えますけど、まだもっと上を目指しているところなんです。

2~3年後までテーマは決まっています

――女子流は10代前半でデビューして、成長と共に変化してきました。10年経っても、まだ20代前半。これから2年後、5年後、10年後と、さらに先までイメージしていますか?

中江 10周年を迎えても、やり切った感じは全然しません。記念の年が良い状況でなくて、コロナがいつ終わるかもわかりませんけど、今日でも明日でもあさってでも、チャンスやタイミングは転がっていると思うんです。1日1日を悔いのないように生きて、まず今年は欲張ってワガママに攻めていく1年にします。

庄司 女子流として2~3年後のことまでは、みんなで共有しています。

山邊 そこから逆算して、「今年はこうしよう。来年は……」とテーマは決まっていて。「みんなにこう言われるようになろう」というテーマも実はあります。

――今は自信を持って進んでいる感じですか?

山邊 自信はありますけど、まだ満足は全然していません。私たちよりレベルの高い人たちはたくさんいらっしゃるので、そこに追い付かないと。みんなが時間を作って会いに来てくれたり、配信を観てくれたりするので、もっと楽しくて良いものを届けられるようになりたいです。

東京女子流

2010年1月1日に結成。同年5月にデビューシングル「キラリ☆」を発売。2012年12月には初の日本武道館公演を開催。当時平均年齢15歳で、女性グループの最年少記録だった。台湾や香港など海外各地でのライブも重ねた。シングル『Hello, Goodbye』を2月10日に発売。

公式HP https://tokyogirlsstyle.jp/

『Hello,Goodbye』CD ¥1320(税込)
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『Hello,Goodbye』CD+DVD ¥8228(税込)
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『Hello,Goodbye』CD+Blu-ray ¥8228(税込)
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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