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デビュー10周年の内田理央。多彩すぎる芸歴に加わった初の時代劇『明治開化 新十郎探偵帖』への出演

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『明治開化 新十郎探偵帖』に出演中の内田理央(NHK提供)

モデルとグラビアを両立する“モグラ女子”の代表格から、女優として数々のクセの強い役を演じ、さらにマンガやアニメのガチなオタク……。多彩な引き出しを持ち、今年、芸能生活10周年を迎えた内田理央。ドラマで主演も張るポジションに至ったが、放送中の『明治開化 新十郎探偵帖』(NHK BSプレミアム・BS4K)では時代劇に初挑戦した。

グラビアデビューから『仮面ライダー』でヒロイン

 現在29歳の内田理央がデビューしたのは2010年。日本テレビのイメージガール『日テレジェニック2010』の1人に選ばれ、当初はグラビアを中心に活躍。身長166cmのきらびやかなルックスでアイドル的人気を博し、2015年までにDVD11本、写真集2冊を出している。また、2015年からは『MORE』の専属モデルになり、女性ファンも増やした。

 一方、2014年10月には『仮面ライダードライブ』のヒロイン・詩島霧子役で本格的に女優デビュー。竹内涼真が演じた泊進ノ介=ドライブのバディで、射撃や格闘の腕が立つ女性警官という役どころだった。

 その後、演じてきた役は実に多岐に渡る。初主演のカルト映画『血まみれスケバンチェーンソー』では巨大なチェーンソーを武器に戦いながら、セーラー服のめくれ上がったスカートからふんどしと美尻をのぞかせた。舞台『チョップ、ギロチン、垂直落下』では女子プロレスラー役で、生でプロレス技を披露して体を張った。

 大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、恋愛に積極的で「ポジティブモンスター」と呼ばれるOL役。連続ドラマ初主演作の『将棋めし』では、対局の休憩中の食事に真剣に悩む女性プロ棋士を演じた。ルックスは抜群なだけに美人女優路線で行く道もあったとは思うが、以前の取材で内田はこう話していた。

「よく『どこに向かっているの?』と言われます(笑)。でも、もともとグラビアをずっとやっていたから、そんなに自分を守る姿勢はないし、やらせていただけることはなるべくやりたいです」

(C)河野英喜/HUSTLE PRESS
(C)河野英喜/HUSTLE PRESS

『おっさんずラブ』のヒロインから性依存の役も

 広く注目を浴びたのは、2018年のドラマ『おっさんずラブ』。男性同士のピュアなラブストーリーとして社会現象的ブームとなったこの作品で、内田は田中圭が演じた主人公の幼なじみの役で出演。彼に恋愛感情はなかったが、男性の“ライバル”が現れて微妙に揺れるという役どころを好演した。

 昨年、今年と深夜ドラマの主演も続いた。『向かいのバズる家族』では美人カフェ店長としてバズるが、裏ではナマハゲの面をかぶって世の中への不満をぶちまける動画を投稿している役。『来世ではちゃんとします』では5人のセフレがいる性依存系のアラサー女子に。クセのあるキャラクターを演じながら、裏腹の焦燥や孤独感は胸に染みた。

(C)河野英喜/HUSTLE PRESS
(C)河野英喜/HUSTLE PRESS

明治初期のじゃじゃ馬なお嬢様をエレガントに

 そして、『明治開化 新十郎探偵帖』では時代劇にヒロイン役で初出演。文明開化に色めきたつ明治初期を舞台に、洋行帰りの特命探偵・結城新十郎(福士蒼汰)が事件を解決する物語。内田が演じる加納梨江は1話で殺害された大政商の娘で、巨大な財力を使って新十郎を助けていく。じゃじゃ馬なキャラクターでもあり、1話から父親に結婚を強いられて家を飛び出し、刀を持った追っ手を傘で蹴散らしたり、新十郎にビンタをしたりしていた。

『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)
『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)

 内田自身は時代劇については、小さい頃に祖父母とテレビで観ることがあって、勝新太郎の『座頭市』が印象深いとも。

「自分が時代劇に出たい気持ちもありました。お着物のお姫様みたいな役に憧れていて。今回の撮影では街並みも出演者全員のお衣装も現代と違っていて、タイムスリップしたような感覚で楽しかったです」

 演技的にも現代劇との違いはあったという。

「しゃべり方も違いますし、所作もたくさんあって。私は着物ではなく、役柄もエネルギッシュな女性なので、堅苦しい感じはなかったんですけど、エレガントに見えるように心掛けました」

 その言葉通り、明治初期の進歩的なお嬢様の颯爽としたたたずまいを醸し出していて、目を引く。3話では新十郎に「tomboy(じゃじゃ馬)」と言われて、「またそのような言い方を!」と食ってかかると「すぐムキになる」といなされて微妙な表情を見せるなど、彼への恋心の芽生えを思わせるシーンも。現代寄りの時代劇の中で正統派ヒロインのポジションで、幅広い芸歴にまたひとつ、新たなインパクトを加えそうだ。

『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)
『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)

YouTubeでは「趣味嗜好を全部詰め込もうと」

 今年7月にはYouTubeで『だーりおCHANNEL』を開設。登録者数が半年で14万人を超えた。こちらではモデルらしくメイクやコーデの動画も上げつつ、自分の“黒歴史”を見せたり、激痛の足つぼマッサージで芸人ばりに絶叫していたりもしている。

 このYouTubeに関して、内田は「普段テレビとかでは話せないことや、自分の趣味嗜好、やりたいことを全部詰め込もうと思っています」と話している。サーフィンを企画として始めて、都内の人口波の施設で奮闘する姿も公開した。

 来年は芸能生活11年目に入り30歳も迎えるが、アニメ好きとして「ずっとやりたいと言っている声の仕事が実現できるように頑張りたいです」と言う。縦横無尽な活動を続ける内田理央は、まだまだ可能性を広げていきそうだ。

「明治開化 新十郎探偵帖」

NHK BSプレミアム/金曜20:00~(再放送:日曜18:45~)

公式HP https://www.nhk.jp/p/ts/M3X38LNYN7/

『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)
『明治開化 新十郎探偵帖』より(NHK提供)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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