『凪のお暇』再放送で話題。唐田えりかが女優として発言していたこと

(写真:ロイター/アフロ)

 昨年放送のドラマ『凪のお暇』(TBS系)が、「#お家でイッキ見SP」として16・17日と再放送された。東出昌大との不倫騒動で休業中の唐田えりかが出演していて、「かわいい」「不快」など様々な声がネットに上がった。

 騒動時点での唐田は業界では“期待の若手女優”として注目されていたが、一般的にはそこまで知名度はなく、ほぼ“不倫”のイメージで覆われたまま。『凪のお暇』では高橋一生が演じた会社の先輩に好意を持つ役で、同乗したタクシーで指を絡めていくシーンがあったりと、スキャンダラスなイメージに改めて拍車を掛けた感もある。

 とはいえ、役はあくまで役。イチ女優として彼女がどんな発言をしてきたか、出演作と共に過去のインタビュー取材から振り返ってみたい。

深夜3時までの猛特訓から女優デビュー

 唐田は千葉出身の22歳。高校生のとき、マザー牧場で広場の受付のバイトをしていたところ、たまたま家族と遊びに来ていた事務所スタッフの目に留まり、スカウトされた。

「『写真を撮らせてください』と言われてビックリして、広末涼子さんや有村架純さんがいる事務所ということで、すごいなと思いました。その頃はモデルさんに憧れてましたけど、自分には無理だと思っていました」

 まず台詞のほとんどない役でドラマ『恋仲』などに出演した後、2015年9月から放送のソニー損保のCMで注目される。オーディションから「誠実さ、カラッとしたさわやかさ、明るさ」といったイメージが買われて選ばれたもの。

 当時の唐田が好きな映画に挙げていたのが『悼む人』。高良健吾が演じる主人公が不慮の死を遂げた人々の記憶を心に刻む旅をする物語で、女子高生らしからぬ好みだった。

 2016年には深夜ドラマ『こえ恋』でヒロインの永野芽郁の恋敵を演じて、本格的に女優デビュー。実質的なオーディションだった監督らへの顔見せに向けて「この役は絶対モノにしよう」と、事務所社長とスタッフ2人がかりで演技レッスンに打ち込んだという。

「1週間くらい夜の8時から遅いときは深夜3時まで猛特訓でした。役が決まってからもクランクインまで毎日練習して、台本ができていた4話までの自分の台詞は完璧に覚えました」

毎日1本映画を観ては感想文を書いて勉強

 学園の理事長の娘という役柄で「所作をきれいに」と意識して、育ちの良さを醸し出す。泣く場面では「テストから想いが入ってしまい、決められたところで涙を流すのが難しくて」とも。

「今までは思ったことを隠すタイプでしたけど、ワークショップで他の人の演技を間近で見て、『自分は何もできてない……』とバーッと泣いてしまって。そこで『感情を隠さないでいい』と言われてから変わりました」

 同年にはback numberの「ハッピーエンド」のMVにも出演。回想の中の恋人を演じて、楽曲の切なさをより募らせた。CDジャケットにも顔アップの写真が使われている。

 その後はドラマ『ブランケット・キャッツ』などに出演しつつ、オーディションになかなか受からない時期も。事務所の指示で、演技の勉強のため、毎日DVDで映画を観ていたそう。

「1本観ては感想をノート1ページに書いて、マネージャーさんに送ってました。最初は『小学生の感想文じゃないんだから』と怒られて(笑)、役者さんの感情とか細かい部分を観るように言われて、4時間かけて書いたこともあります。自分の体験もいろいろ思い出して、手が止まってしまって」

 4時間かかったのは、事故で記憶を失った妻とその夫が愛を取り戻そうとする洋画『君への誓い』。エディ・レッドメインが車イスの天才物理学者・ホーキング博士を演じた『博士と彼女のセオリー』も印象に残った作品に挙げていた。

「良くも悪くもウソがない」役で高評価

 そして、2018年に東出と共演してヒロインを演じた映画『寝ても覚めても』が公開される。カンヌ国際映画祭などに正式出品され、第92回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画の4位に。TAMA映画賞の最優秀作品賞ほか数々の賞にも輝いた。撮影時は女優経験が乏しかった唐田も瑞々しい演技が評価され、ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞などを受賞している。

 大阪に暮らす21歳の朝子(唐田)は麦(東出)と出会い、運命的な恋に落ちるが、ある日、麦は忽然と姿を消す。2年後、東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな亮平(東出=2役)と出会って……というストーリー。

「監督の濱口(竜介)さんが生の感情を大事にされて、『ああしよう、こうしようとか一切考えなくていい』と言われました。それで事前に何も考えず、現場では無の状態でいて、本番で初めて感情を入れて撮っていたんです。お芝居で相手を見ていたら、そこで感じたまま、ちゃんと自分の中から感情と言葉が出てきました」

 朝子と麦は出会ってすぐ、引き寄せられるようにキスをしたり、東出とのキスシーンが何度かあった。

「キスシーンは初めてだったから、脚本をいただいたときは不安でした。しかも、初日が私から積極的に行くキスシーンだったんです。でも、撮影期間中は麦も亮平も本当に好きだったので、現場ではヘンに緊張せず、普通に『好きだから』という感じでした」

 朝子は亮平と5年つき合って安らぎを感じ、結婚を決めたが、麦が再び現れると心が揺れて、彼と共に亮平の前から去っていく。そこも含め、唐田は「朝子の行動に疑問点は一切なかったです」と話していた。

「亮平のことは愛していた。でも、目の前に現れた麦を必要としていた自分にも気づいてしまった。朝子は良い意味でも悪い意味でもウソがない人だと思います。その結果、亮平に対して取った行動は良くないとしても、そこまでウソがないのは朝子の強さで、良いところだとも思います」

 朝子が直感で動くところは「自分っぽい」とも。

「そう言うと、自分も朝子みたいに危ういことになっちゃいますけど(笑)。亮平から去るシーンを撮っていたとき、私は亮平の顔を一切見てなかったんです。試写で初めて見て、『こんな顔にさせてしまっていたんだ……』とすごく苦しくなりました」

頑固で寂しがり屋な役に「自分と似てる」

 同年には、少女マンガが原作の映画『覚悟はいいかそこの女子。』にも出演。“難攻不落のクールビューティー”と呼ばれるヒロイン・三輪美苑を演じた。

「美苑のクールであまり笑わないところは、自分とのギャップがすごくありました。でも、内に秘めている頑固さや、実は寂しがり屋なところは自分に似てると思って、その部分を大きくする努力をしました」

 10代から20代へ。地道な努力が徐々に実を結んで役幅を広げ、昨年放送の『凪のお暇』では、プライムタイムの連続ドラマでレギュラー。女優として開花をうかがえるところまで来ていた。

 『凪のお暇』で演じた市川円は、主人公の大島凪(黒木華)の元カレの我聞慎二(高橋一生)の会社の後輩。大阪支社でトップの営業成績を挙げて、東京本社に異動してきた。慎二が「圧倒的に顔がかわいい」と驚嘆するルックスに、気も利いて非の打ちどころがないが、同性からは「八方美人」「男に色目を使う」と陰で疎まれているのを気に病んでいた。

 そんな中、「色目でも何でも結果を残せばいい」「八方ブスよりはいい」という慎二にアプローチし、オフィスラブの相手に。再放送でこの辺の展開を不倫騒動と絡めて「ハマリ役」という向きもあったが、本放送の際は設定負けしないかわいさと清涼感が視聴者の目を引いた。一方、別れた凪に心を残す慎二に「同僚」と紹介される場面などでは、切なさも感じさせた。そこも不倫の立場と重なるのかもしれないが……。

 世間の反感が根強いのは、この『凪のお暇』の再放送で改めて浮き彫りにされた。そんな中で復帰の道はまだ遠いにせよ、女優として積み重ねたものまで全否定されるのはどうだろうか……とは思う。