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3年目の開幕戦を迎えるサンウルブズ! デビューを飾るFL姫野、CTB中村が意気込みを語る!

斉藤健仁スポーツライター
練習でアピールする姫野(中央)と中村(右) 撮影:斉藤健仁

 2月24日(土)、スーパーラグビー参入3年目、日本を本拠地とするサンウルブズは、いよいよオーストラリアの強豪ブランビーズとの開幕戦を迎える。その先発予定メンバーが22日(木)に発表された。

 今年からサンウルブズと日本代表の指揮官を兼任することになったジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が「(日本代表の)不動のメンバーが入っていないのでサプライズかもしれませんが、練習とメンタルで一番の選手を選んだ」というとおり、FLには日本代表のキャプテンであるFLリーチ マイケルではなく23歳のルーキー姫野和樹が、そしてインサイドCTBには経験豊富な立川理道ではなく、26歳の中村亮土が抜擢された。

3年目のサンウルブズ。今年注目すべき5つのポイント

サンウルブズ ブランビーズ戦の先発予定メンバー

◇練習から全力アピールで先発に抜擢された姫野と中村

 この試合でキャプテンを務めるSH流大とともに、姫野、中村にとってはこの試合がスーパーラグビーデビュー戦となる。

 

 今年でスーパーラグビー8年目を迎える経験豊富な指揮官は、中村に関しては「サントリーでの大一番でも素晴らしいパフォーマンスをしていた。昨年11月(の日本代表で)は、あまりチャンスはなかったが、今回はベストな状態で(サンウルブズに)入ってきたので彼の力量を見たい」。

 そして姫野については「トヨタ自動車ではキャプテンとして(ほぼ)全部の試合に出ていたが、サンウルブズではリーダーの負担もない。彼をLOではなく6番で使って驚かしてくれるところもあった。彼の成長をこれから見てみたい」と期待を寄せた。

 2人はトップリーグでのパフォーマンスはもちろんのこと、姫野は「練習から一つ一つ丁寧にやることを意識していた」、中村は「チームの役割を理解して自分の強みを活かしながらやっているところが評価されていると思うので、毎練習続けた」と言うように、毎回のセッションにおいて100%で取り組んだことも指揮官の評価につながった。

 特に姫野は、先週はベンチ外のメンバーで練習に参加していたが、得意のランとフィットネスでゲインを繰り返し、見事に先発を勝ち得たというわけだ。

◇「強みのランでどんどんゲインを切る」(姫野)

 昨年の開幕戦は実はスタンドで見ていたという姫野は 「緊張していますが、(開幕戦は)ベストメンバーで行くと(ジョセフHC)言っていたので素直に選ばれてうれしいですし、期待に応えたい」と破顔した。

 初のスーパーラグビー、そしてサンウルブズのジャージーを着ての試合に対して「自分の強みであるランの部分で、どんどんゲインを切っていければチームも楽になると思いますし、ディフェンスでたくさん身体を張りたい。ルーキーらしくやりたい」と意気込む。

 またブランビーズ戦の焦点の一つになると思われているスクラム、ラインアウトのセットプレーについては「(FWで)だいぶやりましたね! スクラムはチームでどう8人で組むか。数をこなせたことはよかった。(ラインアウトからのモールでは)後ろに回ることはほとんどなくて、(モールの)核になって身体を張りますよ」と自信をのぞかせた。

 2017年度のトップリーグで新人賞を受賞した姫野は、帝京大学からトヨタ自動車に入る前に「日本代表になる」「トップリーグで新人賞を獲得する」「サンウルブズに入る」「トヨタ自動車で日本一になる」という4つの目標を掲げて、そのうち3つを達成し、「自分の成長を感じます」と誇らしげに語った。

 ただ、姫野の目標は2019年のワールドカップで先発の座を射止めることであり、サンウルブズからジョセフHCにアピールすることは必要不可欠である。「まだまだ行きます! 突っ走ります!」と、サンウルブズでもルーキーらしく、初戦から全力でオーストラリアの強豪にチャレンジする。

◇「ディフェンスでチームを引っ張る」(中村)

 初のスーパーラグビーデビューに向けて中村は「今まで(スーパーラグビーは)ビデオで見て勉強していたりしたが、(実際に)プレーするにあたって、ワクワク感、楽しみ感があります。身体もいい状態でフィットしているし、トレーニング自体も良くできているのでいい感じできています」と、調子は良さそうだ。

 エディー・ジャパン時代から日本代表入りしていた中村は、この2年間、サントリーの2シーズン連続2冠に貢献したインサイドCTBであり、ジョセフHCにも「SOもCTBもできる」と認められ、昨年11月の日本代表メンバーにも名を連ねていた。

 ただ昨年11月はテストマッチに出られなかった悔しさをバネに、再び、サントリーで自分と向き合って試合のパフォーマンスを上げたことで、トップリーグの優勝に貢献し、今年、初めてサンウルブズのメンバーにも選出されたというわけだ

 アタッキングチームであるサンウルブズの課題は、昨年は671失点と全チームで一番悪かったディフェンスであり、特に、ジョセフHCは開幕前の合宿では「3フェイズ以内に72%のトライを取られていた」とセットプレーからのディフェンスに注力。

 指揮官は「(中村)リョウトは(インサイドCTBとしてサントリーで小野晃征、マット・ギタウと)いい10番とコンビネーションと合わせてきた」と、ランの部分だけでなく、ディフェンス面での活躍に期待を寄せている。

 中村も十分にそのことは理解しており、「このチームの中で、CTBはディフェンスの役割が大きく、ディフェンスコーチにも『リードしてくれ』と言われているので、システムを理解して引っ張って行けるような選手にならないといけない」と気合いは十分だ。

 サンウルブズはアタックでもディフェンスでも基本的な戦術は日本代表と同じで、ディフェンスは素早く前に出て、高いポジショニングを取って相手にプレッシャーを与えて、ミスを誘ったり、相手のボールを奪ったりするシステムを採用。中村は1対1のタックルで相手を止めることはもちろん、ミッドフィールドで10番、13番らの選手とコミュニケーションをとって穴や隙を作らないことが求められている。

 開幕戦から大きなチャンスを得た中村。「プレーの幅も広がって、質も上がっているので、もう一つレベルを上げて、チームの中での競争に勝っていきたい」と言うように、いいパフォーマンスをして定位置確保すれば、それこそが2019年ワールドカップにつながっていくはずだ。

◇開幕戦ではサンウルブズの「6」番、「12番」に注目!

 「きつかったですが、(練習内容は)大満足でした!」(姫野)、「3週間というスパンで言えば、ラグビー人生で一番きつかった」(中村)というプレシーズンの合宿を乗り越え、練習から全力で取り組んだことで、スーパーラグビー未経験ながら、2人は晴れて開幕戦で先発する。

 ラグビーに真剣に向かい合ってきた日々の努力は、間違いなく、試合のパフォーマンスにも現れてくるはずだ。そして、サンウルブズが勝利するのであれば、きっと姫野、中村はフィールド中央で躍動しているに違いない。

 2月24日(土)、優勝2回のオーストラリア強豪・ブランビーズとの開幕戦を迎えるサンウルブズの「6」番、そして「12」番の勇姿に期待したい。

サンウルブズ公式HP 

※今年もサンウルブズ戦を全試合放送するJSPORTSのHP

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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