Yahoo!ニュース

2月24日に開幕戦を迎えるスーパーラグビー3年目のサンウルブズ。今年注目すべき5つのポイント

斉藤健仁スポーツライター
今年から日本代表の主将を務めるFLリーチもサンウルブズに加わった(C)JSRA

 2月24日(土)、いよいよスーパーラグビー参入3年目のサンウルブズが東京・秩父宮ラグビー場で開幕戦を迎える。そこで、今年のスーパーラグビーの変更点や「新生・サンウルブズ」とも言えるチームの注目すべき点を紹介したい。

1 15チームへと削減。サンウルブズは南アから豪州カンファレンスへ

 過去2年、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン、日本と国境を越えて行われているスーパーラグビーは18チームが2グループ4カンファレンスで戦っていた。ただ今年から3チームが削減されて再び15チーム、5チームずつ3つのカンファレンスに分かれて開催されることになった。

 それにともないサンウルブズは南アフリカカンファレンス1からオーストラリアカンファレンス所属となった。そのため、移動距離は前年比35%減、時差の少ないオーストラリア勢とホーム&アウェイで計8試合、ニュージーランドと南アフリカのカンファレンスに属するチームとは4チームずつと対戦し、計16試合のリーグ戦を戦う。

 移動距離は全15チーム中トップであることには変わりはないが、サンウルブズは今年から南アフリカの遠征が1度となり、ホームの東京・秩父宮ラグビー場での試合が6試合となったことは、過去2年から見れば随分、戦い易くなったと言えよう。

 なおプレーオフには各カンファレンスのトップのチームと、その3チーム以外の12チームの中で勝ち点で上位5チームの計8チームが進出し、優勝を争う。

2 指揮官はラグビー日本代表ジョセフHCが兼任することに!

 もともとサンウルブズがスーパーラグビーに参入したのは、2019年に日本で行われるラグビーワールドカップに向けて日本代表の強化が大きな目的の一つだった。

 一昨年はマーク・ハメット、昨年はフィロ・ティアティアがヘッドコーチを務めていたが、2年間で3勝と思うような結果を出すことができなかった。そこで、昨年までは総括的な立場にいたラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が今年からサンウルブズのヘッドコーチも兼任。

 ジョセフHCはスーパーラグビーの指揮官8年目と戦い方を熟知しており、トニー・ブラウンコーチとともに、2015年にハイランダーズ(ニュージーランド)を初優勝に導いた経験を持ち、ブラウンコーチも昨年はヘッドコーチとしてハイランダーズを指揮していた。

 ハードワークを信条として、FWを鍛え上げてスーパーラグビーの頂点に導いたジョセフHC、そしてアタック&戦術コーチとして世界的に名声を得ているブラウンコーチら経験豊富なコーチ陣の手腕は大いに期待できる。

3 リーチも加入!メンバーはほぼ19年W杯日本代表候補で構成

 昨年から、メンバーを見るとサンウルブズ=ほぼ日本代表という形になっていたが、今年の47人のメンバーを見ると、24人が今年初めてサンウルブズに加わった選手だが、実に40人が2019年ワールドカップでプレー可能な選手で構成されている。

 2019年のラグビーW杯に選ばれる日本代表選手は、おそらく31名となるだろう。日本代表唯一の海外組であるNO8アマナキ・レレィ・マフィ(レベルズ)は実力から当確だが、今年のサンウルブズからほぼ選ばれると言えよう。

 2015年ワールドカップメンバーはPR稲垣啓太、HO堀江翔太、LO真壁伸弥、SH田中史朗、SO田村優、CTB立川理道、WTB福岡堅樹、FB松島幸太朗は昨年に続いて選出され、WTB山田章仁は復帰、さらに今年はチーフス(ニュージーランド)から日本代表のキャプテンを務めるFLリーチ マイケルも新たに加入。

 またジョセフHCが指揮官になってから日本代表に入りしたPRヴァル アサエリ愛、LO姫野和樹、ヘル・ウヴェ、FL布巻峻介、SH流大、CTBシオネ・テアウパ、ウィリアム・トゥポウ、ラファエレ ティモシー、WTBレメキ ロマノ ラヴァ、FB野口竜司らも参戦した。

 さらに昨年からサンウルブズでプレーしているLOサム・ワイクス、FL/NO8ヴィリー・ブリッツらだけでなく、身長201cmのLOグラント・ハッティング、南アフリカ代表選出経験もあるFLピーター・ラピース・ラブスカフニ、WTBゲラード・ファンデンヒーファー、FBロビー・ロビンソンらトップリーグで活躍する選手が加わったことで、選手層は一気に増した。

4 ジョセフHCの人脈で加わった頼りになる新戦力

 2019年のラグビーワールドカップに出場することはできないが、今年、加わった新戦力も地力のある選手が多い。

 

 ジョセフHCを慕って昨年はハイランダーズに在籍していたPRクレイグ・ミラー、SOヘイデン・パーカー、万能BKのジェイソン・エミリーの3人が加入。特にパーカー、エミリーは、身体はさほど大きくないが、ニュージーランドのU20代表経験者でスキルは高い。また「スクラム強国」ジョージア代表49キャップのHOジャバ・ブレグバゼは、セットプレーを支える一人となろう。

 2017年度、三菱重工相模原でプレーしていたCTBマイケル・リトルも突破力に長けており、キヤノンで新人ながら10トライを挙げたWTBホセア・サウマキも決定力が高く、キーマンの一人になりそうだ。

 ジョセフHCも「メンバーの10%が代表資格はない選手だが、(外国人選手と日本人選手の比率は)非常にいいバランスだと思います。」と今年のサンウルブズのメンバーに対して自信をうかがわせた。

5 キャプテンはFL/NO8ブリッツとSH流の2人!

 「負担は分担すべき」とハイランダーズ時代も、日本代表でも共同キャプテン制を好んでいたジョセフHCは、当然ながら、サンウルブズでもキャプテンは2人を選んだ。1人は昨年のサンウルブズでは試合によってはゲームキャプテンを務めたFL/NO8ブリッツ、もう一人は昨年の春のアジア勢と対戦した日本代表でジョセフHC自らキャプテンに指名した、まだスーパーラグビーの経験のないSH流だった。

 

 2人を選んだ理由を指揮官は「流は(サントリーでも)キャプテンとして成功しています。本当に質の高いリーダーで、ラグビー選手としても優秀です。試合の中でキャプテンやリーダーは本当に必要不可欠で、その任務を果たしたことは立証しているので、自然と彼を選ぶ形となりました。ヴィリー(・ブリッツ)は、チームの半分くらい外国人選手なので(選びました)。彼は行動で示すリーダーです。人としても感心しています」と説明した。

今年のサンウルブズの目標は「TOP5」

 過去2年間で3勝しかしていないが、サンウルブズは今年の目標は「TOP5(5位以内)」と高く掲げた。

 指揮官も、メンバーも一新された「新生・サンウルブズ」は2月24日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で開幕戦(13:15KO)のブランビーズ(オーストラリア)戦に勝利し、スタートダッシュを決めることができるか。

サンウルブズ公式HP 

◇サンウルブズ戦、スーパーラグビーを全試合放送するJスポーツのHP

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

斉藤健仁の最近の記事