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ラグビー日本代表WTB藤田がバーバリアンズに選出、イングランド代表と対戦も「良いチャレンジです!」

斉藤健仁スポーツライター
藤田に新たな勲章が加わることになった(撮影:斉藤健仁)

ラグビー日本代表歴代最年少キャップホルダーに新たな勲章が加わることになった。

5月24日、ラグビー日本代表のWTB藤田慶和(早稲田大4年)がイングランドの名門クラブ「バーバリアンズ」のメンバーに選ばれたことが発表された。すでに選出されていた同じく日本代表のNO8ホラニ龍コリニアシ(パナソニック)とともに23日に香港で行われた香港代表戦後、日本に帰国せずに、そのままイングランドへ向かった。

 バーバリアンズの公式twitterによると、藤田の選出理由は「ハイボールの処理が上手く、障害物競走のサラブレッドのように駆ける優れたWTB」
 バーバリアンズの公式twitterによると、藤田の選出理由は「ハイボールの処理が上手く、障害物競走のサラブレッドのように駆ける優れたWTB」

◇日本人としては4人目、5人目の快挙

「バーバリアンズ」とは、1890年にイングランドで創設された、特定のホームグラウンドやクラブハウスなどを持たず、試合や遠征の時のみ編成される、今年で創立125周年を迎える伝統的なクラブだ。

今回のバーバリアンズには日本でもお馴染みの元オーストラリア代表SOベリック・バーンズ(パナソニック)とFLジョージ・スミス(元サントリー)、元ニュージーランド代表LOブラッド・ソーン(元サニックス)、元南アフリカ代表CTBワイナンド・オリフィエ(元リコー)、サモア代表SOトゥシ・ピシ(サントリー)ら合計10カ国から選出され、総キャップ数は796だという。いわば「世界選抜」に近いチームである。

日本人としては1992年に林敏之氏、1996年に元木由記雄氏(ともに神戸製鋼)、そして2014年には現日本代表のSH田中史朗(パナソニック/ハイランダーズ)も選出されており、ホラニと藤田は4人目、5人目の快挙となる。

なお今回のバーバリアンズの指揮官はパナソニックの監督であるロビー・ディーンズ氏(元オーストラリア代表ヘッドコーチ)が務めており、5月28日はアイルランド代表(Ireland XV)と、31日にはラグビーの「聖地」であるトゥイッケナム・スタジアムでイングランド代表(England XV※)と対戦する。

※まだシーズン中のクラブからは選手は呼ばれなかったが、ワールドカップに向けたイングランド代表のトレーニングスコッドから元リコーのFL/NO8ジェームズ・ハスケルら10名が選出

日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は「ケガのリスクはありますが、バーバリアンズに選出されたことは名誉です。2人にはリラックスして、新しい選手と出会ったり、古き良きラグビーを楽しんだりすることは良い経験になるはず」とエールを送った。

◇「今までやってきたことを大舞台で出す」(藤田)

大学生ながらバーバリアンズに選出された藤田に、今の思いを聞いた。

――率直な感想は? どういった経緯で選出されたのでしょうか?

相当、嬉しいことです。ビックリしました。パナソニックの通訳を介して、5月の上旬くらいにディーンズ監督から連絡をもらいました。試合に出られるかわかりませんし、不安もありますが、良いチャレンジだと思います。ロンドンセブンズに続いて、またトゥイッケナム・スタジアムで、しかも世界の強豪選手と一緒にプレーすることができることは本当に楽しみですね。

――日本代表のジョーンズHCには何か言われましたか?

もしかしたら試合に出る機会があるかもしれません。「ビッグチャンスだから行ってこい!」と言ってもらえましたね。

――アイルランド代表とイングランド代表と対戦します。

本当に、アジアとの試合もそうですが、バーバリアンズの試合も一つ一つの試合が世界に、スーパーラグビーにつながっていると思っています。2月から3月にかけてニュージーランドに留学したときも、クルセイダーズのヘッドコーチのトッド・ブラックアダーに「いつも見ているから頑張れよ!」と言われました。バーバリアンズの試合も見てくれると思うのでそれがモチベーションにつながっています。

――試合に対する意気込みを教えてください。

本当に、世界中からすごい選手たちが集まってくるので楽しみですし、自分がどれだけ出せるかに挑戦していきたい。消極的にプレーしても選出された意味がない。自分が今までやってきたことを大舞台で出すということを意識してプレーしたいと思います。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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