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俳優組合ストが長引き、次に来られなくなる可能性は、日本大好きな「あの人」か?

斉藤博昭映画ジャーナリスト
今年3月、LAでの『ジョン・ウィック:コンセクエンス』プレミアより(写真:REX/アフロ)

7/14から始まった全米映画俳優組合(SAG-ASTRA)のストライキは、トム・クルーズ来日の直前だったこともあり、日本でも大きな話題となっている。映画やドラマの製作がストップしただけでなく、組合員の俳優たちは宣伝やイベント活動も行えないとあって、今後の公開映画には多大な影響を与えている。

トム・クルーズに続き、8/11公開の注目作『バービー』でマーゴット・ロビーらが来日する予定で、この夏はハリウッドスターの華やかな話題が続きそうだったが、マーゴットらの宣伝活動もストップするのは確定的。

映画界全体を揺るがすこのストライキがいつまで続くのか? 現時点では「わからない」のが実情。ただ、過去の俳優組合のストライキの例を振り返れば、1980年は3ヶ月、CM製作者に対して行った2000年のストライキは6ヶ月で、数ヶ月は続くのが常識となっている。各メディアも「少なくとも秋まで」「ひょっとしたら年内」と報じており、すぐに解決する可能性は低そう。

では、トム・クルーズ、マーゴット・ロビーに続いて、日本に来るチャンスが消えそうな次の大物スターは誰か? それは……みんなに愛されてるキアヌ・リーブスかもしれない。

キアヌは、当たり役となった人気シリーズの最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、日本で9/22に公開。ジョン・ウィック役は現在、彼のライフワークとも言え、そのプロモーションには、つねに積極的なキアヌ。過去3作では公開時に毎回、来日キャンペーンを敢行してきた。日本のラーメン、日本のウイスキーが大好きなキアヌは、宣伝以外でも来日時は“一般観光客”のように日本を楽しんでいることも、たびたび報道されている。

キアヌにとってジョン・ウィックのこの最新作は“集大成”という仕上がりで、しかも東京の大阪がメインの舞台のひとつになっている。本作には真田広之も出演しており、キアヌがリスペクトを捧げるサニー千葉(千葉真一)の愛弟子との共演は、彼にとっても特別な経験だったはず。公開前の来日キャンペーンにキアヌは確実に前向きになっているだろうし、その内容から日本では過去3作以上の盛り上がりも期待されている。

しかしストライキの現状を考えると、9月中旬のキャンペーンは、かなり難しそうな気配。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』には真田広之のほか、リナ・サワヤマもメインキャラクターとして出演している。当然、日本公開前のイベントにはキアヌとともに彼らも参加すると予想されていたが、SAGのストライキが終わらなければ彼らも宣伝活動はできない。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、すでにアメリカでは3月に公開され、基本的なプロモーションは終了している。日本の映画会社やファンからしてみれば、「例外」で来日キャンペーンを認めてほしい……と切実に訴えたいところだが、さすがにそれは無理だろう。

数ヶ月続くと予想される俳優組合のストライキ。なんとか早めに彼らの要求に応える打開策が見つかってほしい。そんな奇跡が起これば、キアヌ・リーブスの来日という消えかかっている夢も復活するのだが……。

これは大阪のシーン。ジョン・ウィックが「和」の空間で次々と敵を倒していく。
これは大阪のシーン。ジョン・ウィックが「和」の空間で次々と敵を倒していく。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

9月22日(金)全国ロードショー

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映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、ヤングマガジン、クーリエ・ジャポン、スクリーン、キネマ旬報、映画秘宝、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。

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