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アメリカ、全世界で新記録スタートの『アベンジャーズ』最新作。日本はコナンにどこまで迫れるか?

斉藤博昭映画ジャーナリスト
(C) Marvel Studios 2018

アメリカでは映画興行のサマーシーズンが始まり、その先陣を切ったのが『アベンジャーズ』最新作だ。これは日米同時公開。時差の関係で日本の方が早い公開となった。

そのオープニングの成績は、やはり怪物級の数字となった。週末3日間で、なんと2億5000万ドル! これまで最高だった『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の2億4796万ドルを上回る史上最高のオープニング記録である。同じマーベル作品『ブラックパンサー』と比べても125%の数字。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は上映時間が2時間30分であることを考えると、驚異的と言える。世界全体でもオープニング興収の新記録を樹立。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でも中核となる作品の第3弾であり、映画批評サイト、ロッテントマトでの数字も良好(批評家84%、観客93%)なので、このままどこまで数字が伸びるのか、期待が高まる。

過去の『アベンジャーズ』2作の北米での数字は以下のとおり。

アベンジャーズ

OP週末 2億743万ドル(歴代5位

→北米最終興収 歴代6位

→世界最終興収 歴代5位

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン

OP週末 1億9127万ドル(歴代7位

→北米最終興収 歴代14位

→世界最終興収 歴代7位

参考までに……

ブラックパンサー

OP週末 2億200万ドル(歴代6位

→北米最終興収 歴代3位

→世界最終興収 歴代10位(4/30現在)

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のオープニング成績を考えると、現在、最終の数字が歴代3位の『ブラックパンサー』にどこまで近づけるか。あるいは軽く追い抜きそうな勢いもあり、今後の楽しみになってきそうだ。ちなみに北米の最終1位は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、2位は『アバター』である。

日本のGWは、トップ定位置にコナンが

そしてほぼ同時に公開された日本。

「日本よ、これが映画だ。」というやや大げさなキャッチコピーで話題を呼んだ第1作。今回は「日本よーこれがトドメだ。」で勝負(物語は、トドメではないのだが…)する。アメリカや他の国ほど、MCUが日本で特大ヒットを記録しづらい状況であるのは周知のとおり。しかし徐々にファン層を広げ、「安定」のヒットをキープしているのも事実だ。

2012年の『アベンジャーズ』は、日本で公開週末2日間だけで5億93万円というハイアベレージで余裕の初登場1位だった。火曜日からの公開だったので週末までの6日間で13億円を突破していた。この数字から50億円を狙えるとも思われたのだが、翌週には3位にダウン。最終興収は36.1億円で2012年全体で9位となった。

続く2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は再び初登場1位を達成。週末2日間で7億9390万円と、1作目を大幅に上回った。こちらも数字上の目論みから、70億円あたりも視野に入ったのだが、やはり翌週は3位。最終興収は32.1億円で2015年の15位だった。

前2作とも翌週3位とはいえ、数字は悪くなかった。ともに夏休みの公開だったので、毎週のように話題作が公開されるため、ランクが落ちるのは仕方ないとも言える。

『名探偵コナン ゼロの執行人』は予想を上回るヒット街道を驀進中 (C) 2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
『名探偵コナン ゼロの執行人』は予想を上回るヒット街道を驀進中 (C) 2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

そして第3作の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の成績はどうなるのか。前2作に続いて1位を獲得するのか。そのためには強敵を超えなくてはならない。『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』だ。『アベンジャーズ』前2作は、北米ほか各国と違って、日本は公開時期を遅らせて夏休み映画とした。今回はGWに合わせての日米同時公開。作品の面白さを時間をかけて売る戦略から、世界的勢いに乗る方向性がとられた。前2作の世界公開がそれぞれ、5/4、5/1だったので、日本で同時公開するとGWの途中になってしまう。この3作目は同時公開すれば、まるまるGWに観客を呼べるという考えもあったはずだ。

しかし今回の「コナン」は、ものすごい強敵である。4/13に公開された劇場版シリーズ第22作は、公開3日間で16億7000万円という驚異の数字。昨年、邦画ナンバーワンとなった前作『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』も上回る出足となった。翌週末(4/21〜22)も8億2000万円で圧巻のトップをキープ。初登場1位を狙ったスティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』に大差をつけた。

ただ「コナン」も3週目となれば多少、動員は落ちるはずで、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が初登場1位の可能性はある。最終的に、興収68.9億円の前作を上回りそうな「コナン」を目標とするのは酷かもしれないが、『アベンジャーズ』前2作を超える興収、40〜50億円あたりを記録することに期待したい。

その大勢は今週末(4/28〜30)およびGWが終わった後の数字で見えてくるだろう。

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、ヤングマガジン、クーリエ・ジャポン、スクリーン、キネマ旬報、映画秘宝、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。

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