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北朝鮮の軍事偵察衛星は午前中に撮影 夜間撮影はゼロ!すべてが基地など固定対象物で、動く物体もゼロ!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮が11月21日に発射した軍事偵察衛星「万里鏡―1号」(労働新聞から)

 北朝鮮は軍事偵察衛星が11月21日夜に発射されて以来、北朝鮮の国営放送の「朝鮮中央通信」が連日、衛星を発射した国家航空宇宙技術総局(NATA)が金正恩(キム・ジョンウン)総書記に「偵察衛星が試験撮影した写真資料と偵察衛星に対する細密制御関連の内容を報告した」と伝えている。

 NATAがこれまで金総書記に報告した回数は計6回。最初の3回(11月22日、24日、25日)は金総書記が直接、国家航空宇宙技術総局を訪れ、報告を受けているが、残りの3回、即ち27日、28日、29日は電話による報告なのか、関係者が金総書記の居場所に出向いて報告しているのかは定かではないが、国家航空宇宙技術総局外で報告を受けている。

 そして、今朝の同通信によると、昨日(29日)も米国本土カリフォルニア州のサン・ディエゴ海軍基地と沖縄県の嘉手納空軍基地、それにエジプトのスエズ運河を撮影したようだ。

 これまで軍事偵察衛星が「撮影した」とされる地点は以下の通りである。

 22日が米国領のグアムのアンダーセン空軍基地とアプラ港など米軍の主要軍事基地

 24日が韓国の木浦、群山、平沢、烏山、ソウルの重要標的地域

 25日がハワイの真珠湾の海軍基地とホノルルのヒッカム空軍基地、それに韓国の鎮海、釜山、蔚山、浦項、大邱、江陵など重要標的地域とイタリアのローマ市

 27日がグアムのアンダーセン空軍基地、米国バージニア州のノーフォーク海軍基地、ニューポート・ニューズ造船所と飛行場、ワシントンのホワイトハウス、ペンタゴン

 29日がカリフォルニア州のサン・ディエゴ海軍基地と沖縄県の嘉手納空軍基地、それにエジプトのスエズ運河

 ノーフォーク海軍基地とニューポート・ニューズ造船所地域を撮影した資料からは「米海軍の原子力空母4隻と英国の空母1隻が捕捉された」とされている。

 イタリアのローマ市とエジプトのスエズ運河以外はすべて米軍基地が対象となっている。これら特定地域に対する撮影は「地上指令による」と、「朝鮮中央通信」は伝えている。

 北朝鮮の偵察衛星が本当に撮影しているならば、日米韓の安全保障上、大きな脅威となる。しかし、北朝鮮はこれまでまだ一枚も写真を公開していない。写真を公開しない限り、北朝鮮の発表を真に受けることはできない。

 北朝鮮が写真を公開しない理由は嘘をついているからなのか、衛星写真が軍事機密に属するからなのか、それとも解像度が不鮮明であるからなのか、どれか一つである。因みに日本では情報収集衛星で撮影された画像及び画像の分析結果は特定秘密保護法に基づいて特定秘密に指定されている。

 北朝鮮の国家航空宇宙技術総局は米国のノーフォーク海軍基地で「米海軍の原子力空母4隻と英国の空母1隻が捕捉された」と発表しているが、英空母の停泊は米英軍当局しか知らないことである。まして、軍艦旗で米国の空母と見極められたとするならば、北朝鮮の偵察衛星はそれなりの性能があるということになる。

 それでも、北朝鮮が撮影したものは空軍基地や海軍基地、それに建物などどれもこれも固定したものばかりだ。動く物体は撮影されていない。さらに、すべての写真が日の明るい内に撮られており、夜に撮ったものは以下のとおり1枚もない。

 22日のアンダーセン空軍基地とアプラ港などは平壌時間では午前9時21分だが、グアム時間は午前8時21分である。

 24日の木浦、群山、平沢、烏山、ソウルは午前10時15分~10時27分。

 25日の真珠湾の海軍基地とホノルルのヒッカム空軍基地は平壌時間午前5時13分だが、ハワイ時間は24日の午前10時13分である。また、鎮海、釜山、蔚山、浦項、大邱、江陵などは午前9時59分~10時2分の間に撮られている。

 25日のイタリアのローマ市は平壌時間17時56分だが、ローマ時間では午前9時56分。

 27日のグアムのアンダーセン基地はグアム時間で午前8時17分。

 27日の米国バージニア州のノーフォーク海軍基地とニューポート・ニューズ造船所と飛行場は平壌時間午後23時35分だが、米国時間だと26日午前9時35分。また、ホワイトハウスとペンタゴンも米国時間26日午前9時36分である。

 29日のカリフォルニア州のサン・ディエゴ海軍基地は平壌時間午前2時24分に撮影されているが、米国時間では28日午前9時24分である。また、沖縄県の嘉手納空軍基地は午前10時16分、そしてエジプトのスエズ運河は平壌時間16時36分だが、エジプト時間は午前9時36分となっている。

 北朝鮮が打ち上げた軍事偵察衛星が電波を使って撮影できるレーダー衛星ならば、夜間でも撮影できるが、カメラで撮影する光学衛星ならば、夜間での撮影は無理である。

 因みに米国も日本も「光学衛星」と「レーダー衛星」も備えているので夜間や悪天候であっても撮影ができる。

(参考資料:北朝鮮はなぜ、偵察衛星を予告日よりも早く「奇襲発射」したのか!)

(参考資料:北朝鮮が2009年の衛星発射時に日米のイージス艦を攻撃する特攻隊を編成!)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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