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韓国人はそれでも日本よりも中国か! 最新世論調査でわかった「韓国人の意識調査」

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
がっちり握手する岸田文雄首相と尹錫悦大統領(内閣広報室から)

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)保守政権の誕生で韓国は米国との同盟関係をより強固にし、ギクシャクしていた日本との関係を修復するなど自由主義陣営への旗色を鮮明にする外交を展開しているが、その反作用として中国との関係が悪化している。

 そうした折、中国のケイ海明駐韓大使が今月初めに韓国の李在明(イ・ジェミョン)野党代表と会談した際に「米国が勝利し、中国が敗北することに賭けるのは誤った判断だ」と尹政権を批判したことが明るみに出て、韓国民の怒りを買ったと伝えられていたが、最近の韓国人の複雑な対中感情を表す世論調査結果が2件立て続けにあった。いずれも6月に実施されている。

 一つは世論調査会社「Kstat」が6月9日から11日まで全国成人男女約1千人を対象に行った調査で、それによると、韓国人の60%が中国との関係が過去に比べて「遠のいた」と実感しており、当然のごとく「近くなった」は僅か11%しかなかった。

 ちなみに昨年まで疎遠な関係にあった日本との関係については45%が「近づいた」と回答し、「これまでと変わらない」の34%を上回っていた。

 それでも安全保障面での今後の関係では「中国と親しくすべき」が41%、「日本と親しくすべき」が35%と、中国との関係好転を望む声が6ポイントほど上回った。同じく「距離を置くべき」との回答も中国(23%)よりも「日本」(28%)の方が多く、依然として中国よりも日本に対する韓国人の警戒心が垣間見られた。ちなみに米国との関係では58%が「親しくすべき」と回答し、「距離を置くべき」は一桁の5%しかない。

 この世論調査では経済的側面からの関係についても質していたが、重要視する国のトップは米国(67%)、2位が中国(56%)、3位が日本(45%)という順番だった。

 もう一つは世論調査会社「メディアトマト」が19~21日にかけて同じく全国成人男女約1千人を対象に実施した調査で、この調査では米中対立下での今後の対中関係については「経済的実利の観点から接近すべき」との回答が73.9%に達し、「軍事安保の観点から接近すべき」との回答は17.9%にとどまった。

 安全保障は米国に依存し、経済では中国を重視する基本姿勢は変わっておらず、少なくとも国民の10人のうち7人が米国に偏重することで中国と対峙するような外交路線には反対していることがわかった。

 世代別では全世代で経済的実利の観点からの対中接近を希求していたが、中でも40代と50代では84.5%、82.8%に達していた。最も低かったのは若い世代(18から20歳前後)だが、それでも67.3%もあった。

 この2社の世論調査とは別途に6月には保守系のインターネットメディア「ニューデイリー」も14日から15日にかけて世論調査を行い、その結果を16日に公表していたが、ここでも韓国が戦略的に重要視しなければならない国のトップは米国(56%)で、次に中国(31%)となっており、日本は意外にも4位のロシア(2%)よりも1ポイント多い3%に過ぎなかった。

 また、尹錫悦政権の外交・安保政策については「評価する」43%、「評価しない」が55%と、これまた意外な結果が出た。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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