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なぜ北朝鮮は労働党中央委全員会議を開かない! 偵察衛星失敗が原因?それとも金総書記に「異変」

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
娘を連れて5月16日に偵察衛星発射準備委員会を訪れた金正恩総書記(労働新聞から)

 北朝鮮が「6月上旬に開催する」と予告していた労働党中央委員会第8期第8次会議が6月16日現在、開催されていない。不思議なことだ。

 確か、労働党政治局は5月29日に「革命発展に重要な意義を持つ政策的問題を討議するため」の党中央委員会第8期第8次全員会議を「6月上旬に開催する」と発表していたはずだ。

 今年2月に開催されたばかりの党中央委員会全員会議を上半期に2度も開くのは極めて異例ではあるが、予告した時期に開催しないのも実に珍しいことである。

 一体、何があったのだろうか?

 第8回党大会後の2021年1月1日に第8期第1次会議が開催されてから今回で8回目となる全員会議に金正恩(キム・ジョンウン)総書記は欠かさず出席し、自ら司会を担っていた。

 従って、開けない理由のひとつに金総書記の都合、即ち「健康上の問題」と関係があるのだろうか?

 金総書記は元国防省後方総局長の玄哲海(ヒョン・チョルヘ)元帥の死去1周忌に際して5月19日に平壌の新美里愛国烈士陵を訪れて以来、28日間姿を現していない。そういえば、その3日前に娘の「ジュエ」を連れて偵察衛星発射準備委員会を視察(16日)した時もそれまで27日間も消息を絶っていた。今年に限って言えば、1月も2日から2月6日まで36日間、公式活動を控えていた。

 1か月前後の不在は年に1度はあるが、上半期で3回も長期不在となると、「金正恩は肥満とアルコールとニコチン依存、さらには睡眠障害に悩まされている」と「健康不安説」を伝えた韓国の情報機関、国家情報院(国情院)の最新情報が気にならざるを得ない

 「国情院」によると、体重140kgの肥満はAIの分析によるもので、過度の飲酒と喫煙は「外国から大量の外国製タバコや高級つまみが持ち込まれている」との情報に基づいていた。また、不眠症については「北朝鮮当局が4月頃から最高位級(金総書記を指す)の人物の不眠治療のため最新医療情報を海外で収集していた」ことを根拠にしていた。

 もう一つの理由として考えられるのは軍事偵察衛星の発射失敗の影響である。

 党全員会議の「6月上旬」を予告した5月29日は北朝鮮が日本に「5月31―6月11日の間に衛星ロケットを打ち上げる」と通告した日でもある。

 党全員会議の開催日について単に「6月上旬」として日時を定めなかったのは軍事偵察衛星の発射とは無縁でないはずだ。偵察衛星発射の成功で雰囲気を盛り上げ、開催を考えていたとしてもおかしくはない。

 偵察衛星はおそらく計画通り、5月31日に発射したものの失敗したため予定が狂い、意気消沈して会議を開くに開けないのかもしれない。

 いずれにせよ、どちらとも関係がなく、単に準備状況が整っていないだけならば多少遅れたとしても今週中には開かなければならないだろう。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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