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尹政権が日本の「首脳会談」報道を「フェイク」と、韓日議連会長も日韓議連前会長の発言を「失礼」と批判!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
日韓議連役員と会談する尹錫悦大統領と鄭鎮碩議員(左から2人目)(鄭氏のFBから)

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日の際の発言の真偽をめぐって韓国では相も変わらず様々な波紋が広がっている。

 韓国大統領室は岸田文雄首相との首脳会談では元慰安婦や日本の水産物の輸入規制は一切議題に上がらなかったのに日本では「取り上げられた」と報道されたことに不快感を露わにし、「日本のメディアは虚偽のニュース、情報を流している」と、日本の報道姿勢を批判していたが、今度は3月29日の「共同通信」の報道に噛みついていた。

 日韓議員連盟(日韓議連)役員らとの会談で尹大統領が福島原発処理水の海洋放出問題について「時間がかかっても韓国国民を説得する」と発言した、と「共同」が報じたことを問題にしていた。

 尹大統領は首脳会談の翌日(17日)、新たに日韓議連会長に就任した菅義偉前首相らと会談したが、「共同」によると、同席した額賀福志郎前会長が尹大統領に福島原発処理水の海洋放出への理解を求め、同時に2011年から続いている日本産水産物輸入禁止措置の撤廃を要請したとされている。

 額賀氏の要請に対して尹大統領は「文在寅(ムン・ジェイン)前政権は(韓国国民が)理解するのを避けてきたようだ」と述べ、続けて「日本に対する文前大統領の政治的立場のために日本側の説明が韓国に十分に知らされなかった」と発言し、「時間がかかっても韓国国民を説得する」と述べたとのことだ。

 「共同」の報道が韓国メディアに取り上げられたことで問題視した最大野党「共に民主党」が尹大統領を「日本の言いなりになっている」と批判し、また、李俊錫(イ・ジュンソク)元「国民の力」代表までが「大統領室は報道内容が事実かどうか立場を明確に表すべきだ」とコメントするなど批判の声が沸き起こったことから韓国政府・与党は釈明を余儀なくされた。

 与党は相次ぐ日本の報道を「確認もされていないフェイクニュース」と非難し、また大統領室の関係者も「韓国と日本には反日感情と嫌韓感情を利用する勢力がある」との尹大統領の発言を引用し、一連の日本の報道を「嫌韓感情」を煽る勢力の報道であるかのようなコメントを出し、反発していた。

 しかし、昨日発表された大統領室の書面を通じての公式見解には「国民の健康と安全が最優先だ。福島産の水産物が国内に入ってくることは決してない」との原則的な立場表明はあったものの大統領がそうした発言をしたのかについての言及はなかった。

 その代りか、会談に同席した鄭鎮碩(チョン・ジンソク)韓日議連会長(前与党非常対策委員長)が昨日、FBを通じて「尹大統領はそのような話をしていない。むしろ、我が国民が不安を持っているので時間がかかっても国際原子力機関(IAEA)の主管の下に科学的で、客観的な真相を正確に把握し、(国民に)知らせることが重要であると述べていた」と反論していた。

 鄭会長は「私は全てを記録することを癖というか、習慣にしている。大統領の言葉を記録していたが、そのような内容の話は全くなかった」と綴っていたが、公開された写真をみると、鄭会長のテーブルの前にはメモ用紙は置かれていなかった。

 鄭会長はまた、「額賀氏が地元(茨城県)の問題を記してきた内容を長々と読み上げた際には、『少し失礼ではないか』と感じた」と付け加えていた。このことは裏を返せば、額賀氏が尹大統領に対して遠慮することなく日本側の要望を伝えていたことを意味している。

 尹大統領の帰国後に日本では額賀氏が尹大統領に対して「日本産ホヤの輸入再開を要請した」報じられていたが、当時大統領の訪日に随行していた大統領室の関係者は日本側の報道について「私はその場にいたが、ホヤという言葉は出なかった」と否定していた。鄭会長のFBは額賀氏が福島県やホヤ産地の宮城県を含む8県産の水産物の輸入の解禁を迫ったことを図らずも裏付けた格好となっている。

 尹大統領との会談後に日韓議連の新旧会長は即席のぶら下がり会見を開いていたが、額賀氏は「処理水の問題とか、輸入禁止の問題でも解決の糸口が見出されるのではないのだろうか。韓国政府もそういう客観的な情勢、化学的な分析が行われていることもあってそういう環境づくりに努力をしたいというような話だった」と述べていた。また、「尹大統領の話だが、客観的、化学的な分析によって政府が責任をもって(韓国の)国民に説明するようにすることが大切なのでそこはしっかりと客観的、化学的根拠が目に見えるように、分かるように形を作っていったらどうかとの話だった」と述べていた。

 ちなみに額賀氏のホームページをみると、尹大統領との会談で額賀氏は「岸田総理との間で日韓関係が改善に向かっていることを歓迎し、残された課題についても日韓両国政府が緊密に連携し、解決の道筋を付けて欲しい」と発言していた。

 尹大統領は多弁家で、歯に衣着せぬ発言で知られている。それがゆえに時に脱線し、物議を呼ぶことがしばしばあった。例えば、「(金のない)人は不良食品でも食べなくてはならない」とか、「手足で労働するのはアフリカでやることだ」とか、「極貧生活して学べなかった人は自由が何か分からないだけでなく、自由が個人にとってなぜ必要なのか、その必要性すら感じることができない」と言い放つ始末だった。

 直近では昨年9月国連総会出席のためニューヨークを訪問し、国際会議出席後、会場を後にする際に「議会でこの野郎どもが承認しないと、バイデンにとって非常に恥ずかしいことになる」と、朴振(パク・チン)外相ら随行者に語り掛けていたことが判明し、韓国や米国で少なからぬ波紋を呼んでいた。

 韓国では野党が「恥さらし」と非難の声を上げ、米国でも主要メディアが「韓国大統領が米国を侮辱」との題目で一斉に報じていたが、この時も朴外相が「尹大統領はそうした発言はしていない」と庇っていた。

(参考資料:「日本は虚偽の情報を流している」? 日韓首脳会談の内容を隠し通そうとする韓国政府が日本にクレーム)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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