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大胆不敵な北朝鮮のミサイル発射 北京五輪を前に1度ならず2度も!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
昨年9月(左)と今年1月の極超音速ミサイル(労働新聞から)

 北朝鮮が今朝、日本海に向け再びミサイルを発射した。

 発射の事実は日韓でほぼ同時に発表されていた。海上保安庁は午前7時29分頃、韓国合同参謀本部もおよそ1分遅れの7時半には公表していた。

 発射されたミサイルについては弾道ミサイルである可能性が高いとされているが、ミサイルの種類や高度、飛距離など詳細については何一つわかっていない。発射地点もまだ特定されていない。

 仮に今回も極超音速ミサイルならば、昨年9月28日、今年1月5日に続いて3度目の実験となる。但し、過去2回のミサイルは同型でなかった。

 1度目は「国防科学院が新たに開発した極超音速ミサイル『火星―8型』を試験発射した」と北朝鮮は伝えていたが、2度目では「極超音速ミサイルが試射された」とだけ報じられていた。「火星―8型」とは言及していなかった。異なった形態であったことは翌日に北朝鮮が公開した発射写真で確認された。

 北朝鮮は1月5日のミサイルについては「極超音速ミサイルである」として、「ミサイルは発射後分離され、極超音速滑空飛行戦闘部の飛行区間で初期発射方位角から目標方位角へと120kmを側面機動して、700kmに設定された標的に誤差なく命中した」と発表していたが、韓国国防部と合同参謀本部、国防科学研究所(ADD)は「北朝鮮の発表は誇張されている」として「極超音速ミサイルではない。飛行距離も700kmも出ていない」と、否定していた。

 1度目の実験では北朝鮮は飛距離など詳細を公表しなかったものの日韓の防衛当局は高度30km、飛行距離200km(450kmの説も)、マッハ2~3と推定していた。また、2度目の発射については高度50km、飛距離500km以上、マッハ6以上と推定していた。

 北京冬季五輪が2月4日から開幕することもあって、北朝鮮は同盟国の中国を刺激しないためミサイル発射は自粛するのではとの大方の予想に反して、年明け早々から1度ならず2度も発射したことになる。まして、前回の発射をめぐっては国連安保理常任理事国の米国やフランスなどが批判し、緊急会議を招集する動きが出ている最中に北朝鮮は2発目を発射したことになる。懲罰覚悟で発射するとは大胆不敵である。

 年末に開かれた党総会で金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢の流れは国家防衛力の強化を片時も緩めることなく推し進めることを求めている」「現代戦に相応した威力ある戦闘技術機材の開発、生産を力強く推し進めろ」との訓令を出したばかりだ。

 昨年は1月22日に短距離巡航ミサイルが2発発射されたのを皮切りに北朝鮮のミサイル発射は計10回あったが、今年はバイデン政権の対応次第ではもっと増えるかもしれない。

(参考資料:突然ミサイル発射に立ち会わなくなった金正恩総書記 過去5年間を検証する)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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