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進歩・保守問わず韓国の3人の元総理までが「竹島問題」で「東京五輪ボイコット」の声を上げた!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
東京五輪の地図から竹島削除を求めた丁世均前総理のホームページ(同氏のHPから)

 韓国は「コロナ」ではなく、韓国が自国の領土「独島」と主張する「竹島」の問題で東京オリンピックをボイコットする動きが顕著となってきた。

(参考資料:「原発処理水放出」に続いて今度は「竹島」を理由に再燃した韓国の「東京五輪ボイコット」の動き!)

 東京五輪のホームページの地図に「竹島」が記載されていることへの反発から韓国国内で東京五輪のボイコットを呼びかける声がインターネットを通じて拡散していたが、あっという間に政界に広がり、ついには総理経験者までもが「反対」の声を上げる事態に至っている。

 真っ先に口火を切ったのは朴槿恵前政権下で総理(2015年6月―2017年5月)を務め、昨年4月まで保守系最大野党「未来統合党」(現「国民の力」の前身)の代表だった黄教安(ファン・ギョアン)氏。

 「保守の中の保守」と称される野党の重鎮である黄教安元総理は昨年4月の国会議員選挙で李洛淵前総理の選挙区から出馬したが、総理経験者同士の一騎打ちに破れ、野党第1党の代表の座を降りていた。

 来年3月の大統領選挙で政権奪還を目指すため政界復帰を目指している黄元総理は26日に自身のSNSに「竹島表記」を韓国に対する「黙過できない挑発である」とみなし、文在寅政権に対して「日本の独島挑発に強く対処し、日本の誤った行動を国際的に世論化するべきだ」と迫っていた。

 日本に強い姿勢を示さなければならない理由については「仮に認めるようなことになれば、日本の挑発を固着化し、結果的に国際社会で我々の主張と名分を卑小化させる」との持論を展開していた。

 ボイコットとか、不参加という直接的な表現はなかったもののそれでも「世の中にどの国が、自分たちの領土を挑発する国の国際行事に何もなかったように参加するというのか。アメリカは日本と格別なパートナーであるにもかかわらず、公式的に自国民の日本訪問禁止を勧告している。国民と国土を守るのが政府の義務だからだ」と述べ、日本が表記を修正しない場合は東京五輪に選手団を派遣すべきではないとの考えを明らかにしていた。

 この黄元総理の発信に刺激されたのか、来年3月の大統領選挙出馬のため総理を辞任したばかりの丁世均(チョン・セギュン)前総理も同じ日に自身のフェイスブックに「日本のオリンピックの地図に表記された独島を削除してください」との見出しの文章を掲載していた。

 国会議長(2016年6月―2018年5月)から李洛淵氏の後を受け、昨年1月に総理に就任し、今年4月まで総理として文政権を支えていた与党次期大統領候補の一人でもある丁前首相は「独島は我々の領土だ。ただの領土ではなく、40年の痛恨の歴史が明確に刻まれた歴史の領土である」という故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の言葉を引用し「日本が最後まで拒否するならばオリンピック不参加など全ての手段を総動員しなければならない」と「徹底抗戦」を主張していた。

 そして、3人目が文在寅政権下の最初の総理(2017年5月―2020年1月)となった李洛淵(イ・ナギョン)氏である。

 今年3月まで与党「共に民主党」の代表の座にあった李元総理も昨日(27日)、自身のフェイスブックに「容認できない。表記された独島を直ちに削除することを日本政府に強く求める」と書き込んでいた。

 李元総理もまた「日本のこのような行為は人類の和合を追求する五輪精神にも反する」と日本の対応を批判し、国際オリンピック委員会(IOC)に対しても「迅速かつ断固たる措置を要求する」と圧力を掛けた。

 政界に厳然たる影響力を持つ与野党の元総理経験者が問題を提起したことは今後、他の有力者にも伝播し、ドミノ現象が起きることが予想される。特に注目されるのは、来月11日に代表選挙を控えている保守野党「国民の力」の動向である。

 代表戦は新保守の旗手である若干36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)前最高委員と「野党のマドンナ」と称されている羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)前院内代表との一騎打ちとなる公算が強まっているが、李氏の本籍は独島が帰属している慶尚北道(大邱)にあり、羅氏もまた2016年8月と2018年11月に2度にわたって日本政府の抗議を無視し、竹島に上陸し、「独島は我が領土」と気勢を上げたことがある。両人とも「領土論争」が再燃すれば、何らかのメッセージを発することになるだろう。

(参考資料:美しすぎる「野党のマドンナ」は「親日」ではなく「反日」だった!?)

 与党内ではその言動が最も注目されているのが、世論調査では丁世均前総理や李洛淵元総理よりも支持率の高い李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事であろう。

 李知事はこの件ではまだ口を開いていないが、人ぞ知る対日強硬派であるだけにこの問題で発言するのは時間の問題とみられている。野党陣営から出馬するかもしれない前検事総長の尹錫悦(ユン・ソッキョル)氏と並ぶ次期最有力大統領候補だけに彼の影響力は3人の元総理の比ではない。

(参考資料:「文在寅発言」よりも気になる次期大統領最有力候補の強硬な対日「3.1発言」)

 東京五輪の開会式に出席する意欲を示している文在寅大統領にとっては頭の痛い問題がまた一つ増えた。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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